会社の望む働き方ではなく、自ら働き方をコントロールできる技術や能力をもった人物の育成に力を入れる遠藤一佳氏による連載。

現在のトレーナーが抱える課題を指摘し、それを解決する策の1つとして、自分のジムをもつことを提案する。さらに結びでは、自身の新たな活動についても紹介する。

 

 

 

 

前回のおさらい

2020年の連載テーマは「トレーナーが自分のジムをもつための5ステップ」です。

本連載では「自分のジムをもちたい」と考えている人を対象にメッセージを送ります。前回は「なぜ、トレーナーが自分のジムをもつべきか」を3つの理由から論じました。

理由1.組織の中でくすぶっているトレーナーが多い
理由2.会社に勤めていても各自の給料は上がっていかない
理由3.「自分でやる」のがもっとも効率的

もはや会社についていっても個人は幸せになれないのです。時代は何もかも変わりました。電話、手紙、テレビといったシステムは、インターネットやスマートフォン、SNSといった手段に境目なく代替えされています。

そのクライマックスは人間のAI化でしょう。人間は働くという行為さえ機械に奪われているのです。

このことを逆から見れば、人間は「かなり暇になった」ということができます。各種技術の発展により日常生活のスピード感は飛躍的に改善したからです。にもかかわらず、多くの人は戦後間もなく制定された労働基準法に基づいて働いています。

さらにいえば、昨今の経済は昭和の時代のような右肩上がりではありません。儲かっているときに忙しいのならわかりますが、収入が減っているのに働く時間が変わっていないということは、まさに「貧乏暇なし状態」になっているのです。

前回も記しましたが、仕事というのは最終的にすべてを自分の意志で決定するものです。働く場所も、働く時間も、働く仲間も、対象顧客もすべて自分で決めるべきものです。その状態を目指し、実現すべきです。

誰の何を解決したいのか

今回は「トレーナーが自分のジムをもつための第1ステップ」を記します。

まず考えるべきは「誰の何を解決したいのか」を自分に問うことです。これは当業界に限りませんが、この原理原則が恐ろしいほどに軽視されています。

例えば「起業塾」のようなところへ行くと、何をやりたいかがわかってない人が山のようにいます。「わからないから来ているのだ」と言