• 岩崎 真宏氏
    一般社団法人 日本栄養コンシェルジュ協会 代表理事

    医学博士、管理栄養士、臨床検査技師

岩崎氏の対コロナTips

「健康には、『歩くこと』『野菜を食べること』『水を飲むこと』『良く寝ること』が大原則。島根に移住していましたが、スーパーが近くになかったので、毎日歩いて片道1時間半をかけて買い出しに行き、料理もかなりしました。おかげで体重も減って、調子もいいです!」

運動指導者からも厚い支持を受けている栄養学習プログラム「栄養コンシェルジュ」を開発した岩崎真宏さん。コロナ禍で進められた、食事と感染率、死亡率に関する数々の研究論文からメンタルへの影響についてもデータに基づいて解説してくれた。

「近年研究の内容が、特定の成分に関することから食事の様式に関することにシフトしてきていますが、メンタル面でまず明らかなのが、『加工食品を摂る機会が多いほど、うつ病のリスクが高まる』ということです。コロナ禍で収入が減り、感染を恐れて安いレトルト食品やインスタント食品を買い込んで家にこもった人ほど、メンタルに悪い影響を受けました」

ホールフードで、多品目摂ることが食事の質を高める

食事や栄養に関する研究では、「食事の質が高いほど、精神障害のリスクが低い」ことが明らかになってきている。「食事の質」は、これまでに「ダイエット・クオリティ・スコア」として定義づけられている。その定義とは「脂肪(特に飽和脂肪酸)の摂取量が少ない、食物繊維、さまざまなビタミンやミネラル、果物、魚、野菜、全粒穀物製品などの摂取量が多い」こと。日本でも以前から言われていた「多品目食べましょう」ということが、医科学的にも「質の高い食事」として定義づけられた。

さまざまな研究で、この食事内容の質を高めることが精神疾患のリスクを下げることが示されており、できるだけ加工されていないホールフードを多品目食べることが、メンタルを整えることがわかっている。

免疫力もメンタルもフルーツより野菜

コロナ禍で、さまざまな食材を食べる量と感染率や死亡率の相関が研究されているが、意外にも、フルーツを積極的に摂る人は、感染リスクが高いことがいくつもの論文で示されている。

これはフルーツに含まれる果糖が身体に炎症を起こす作用があることが考えられる。その他にも、リスクを高める食材としては、肉やミルク、たんぱく質や、特定のミネラルも挙げられている。これらの報告は、摂取量が多くなるとリスクが高まるということであり、悪い食品という意味ではないので誤解のないように注意してほしい。

一方で、食べれば食べるほど感染リスクや死亡リスクを下げるのが、野菜。また、野菜摂取が多いほど、「不安」や「緊張」「幸福感の喪失」「要求の高まり」など知覚ストレスへの抵抗力もあるという研究も数多い。コロナ禍で、感染を心配する人には、とにかく野菜を摂ることが勧められる。

野菜は色彩で食べる。「野菜たんぱく」にも注目

「ホールフードの野菜を多品目食べる」ことの有効性から注目されてきているテーマが、「Eat a Rainbow」。野菜の色の違いにより、含まれる栄養が違うことに着目して、「いろいろな色の野菜を食べる」こと。さらに同じ色の野菜でも、それぞれの野菜に含まれる栄養成分が異なることから、「同じ色でも、いろいろな野菜を摂ること」が勧められている。

また、野菜に含まれるたんぱく質も「ベジタブルペプチド」として注目されている。大豆に「大豆たんぱく」があるように、ブロッコリーやトマトをはじめ、あらゆる野菜にもたんぱく質があり、そのたんぱく質が身体のさまざまな炎症を抑える働きがあることが明らかになってきている。野菜はあらゆる食品の中で、唯一、摂り過ぎても心配がない食品。

これまで世界的に食事の構成の中で、野菜は「副菜」として優先度が低かったが、今後は、野菜を優先的に摂るとともに、色彩豊かに多品目摂ることの重要性が啓発されていく。

■新サービス
野菜摂取の手間を解決する、粉野菜

前から食事における野菜の重要性を啓発してきており、実際に生活の中で野菜を摂りやすい環境をつくろうと、「粉野菜」を開発した。野菜は身体にいいとわかっていても、買って帰るのが重くて面倒だったり、保存期間が短く、料理するにも手間がかかるなど、野菜を多く食べるうえでの課題が多くあった。

これを解決するべく、無農薬野菜を収穫後すぐに乾燥させ、粉にする技術を開発、「かける粉野菜」と「飲む粉野菜」として商品化した。農家とも連携して廃棄野菜削減や農作物消費を促し農業活性化にも繋げる。これを常備しておけば、コロナ禍でメンタルを崩す要因となったインスタント食品でも野菜の栄養もしっかり摂取できることになる。7色の野菜の粉がブレンドされており、最新の食事研究の示唆に対応した商品となっている。