現在、順調に運営している企業であっても、ここまでくる道のりでは様々なことがあっただろう。どのような苦労や失敗を乗り越え、どこに成功要因を見つけたのか。当業界のリーダーらから、それぞれが学んだことについて披露していただく本連載。第40回は、株式会社asken 取締役 道江美貴子氏にお話を訊いた。

 

小学生から料理好き、台所で過ごす

道江氏は、AIで食生活を改善するアプリあすけんを手掛けて成功した。あすけんは、食事を記録するだけで栄養バランスがグラフ化され、管理栄養士の未来(みき)さんから毎日アドバイスが届く。無理なく楽しく続けることができ、ダイエットに成功できることから、ユーザーは約750万人にのぼる。ここにくるまでの道のりは「山あり谷あり」というより「山あり山あり」ともいえよう。

道江氏に、管理栄養士を目指した理由を尋ねると、小さい頃から食べるのが好きだったからだという。小学生から料理好きで、しょっちゅう台所にいた。
「『パン屋さんになりたい』などと口にしていたら、高校に入学するときに母が管理栄養士の資格について教えてくれました」

大学で管理栄養士の資格を取得した後、株式会社グリーンハウス(以下、グリーンハウス)でキャリアをスタートさせる。グリーンハウスは、全国2,600ヶ所で社員食堂の受託運営やレストランデリカ事業などを行い、約2,000人の管理栄養士が所属する。自らの希望とは異なり、秘書として配属されたが、この間に、様々なポジションの人と関わり、マネジメントの考え方や周りとのコミュニケーションを実践ベースで身につける。その後、社員食堂を手掛ける事業部に異動し、約10年活動する。

あすけんは、どのように誕生したのだろうか。「2008年に、特定健診・特定保健指導の制度が始まることになり、それがきっかけでグリーンハウスの社内ベンチャーとして産声をあげたのがあすけんです。ʼ07年にメンバー募集の社内公募があり、手を挙げました。各企業がメタボなどをはじめとする生活習慣病の人にケアをすることが義務になり、その特定保険指導を管理栄養士や保健師が行うことが法律化されたのです」

従来、クライアントに食事を紙で提出してもらっていたが、クライアント自身がwebサイトに入力し自動で栄養計算できるようにしたのだ。そのため、クライアントの食事がすぐにわかり、改善アドバイスがしやすくなった。こ