グローバルに活躍するトップトレーナーに訊く
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リー・ニュエン氏Les Mills Japanマネージングディレクター
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エリン・モウ氏Les Mills Internationalプログラムディレクター(GRIT)
今年10月に開催されたLES MILLS LIVE Londonでは、四半期に一度行われる最新プログラムの撮影を行った。その撮影にプレゼンターとして登場したエリン・モウ氏に、複数のプログラムを教えることについて、インストラクター、会員、クラブにとってどのようなメリットがあるか、リー・ニュエン氏がインタビューを実施。エリン氏はニュージーランドを拠点に、LES MILLS GRIT、BODYCOMBAT、 BODYJAM、LES MILLS BARRE、LES MILLS TONE、LES MILLS CORE、 BODYPUMPのインターナショナルトレーナー/プレゼンターとして活躍している。(以下、敬称略)
―インストラクターになった理由と、Les Mills との出会いを教えてください。
エリン(以下略):フィットネスは私と切っても切り離せないものです。エアロビクスインストラクターだった母の影響を受け、私もエアロビクスの競技会に出ていました。ですから、私は音楽に合わせて動くことにインスピレーションを受け、また情熱を持っていました。2007年にLes Millsのジムに通い始め、’08年にBODYCOMBAT の認定を受け、翌’09年に初めてクラスを教えることになったときは、とても興奮したのを覚えています。教えることがとても楽しみでした。
―BODYCOMBAT を最初のプログラムとして選んだ理由は? また、最初のプログラムを習得する上で一番大変だったことは何ですか?
パワーをもらえるプログラムだからです。ダンサーとして培ったコーディネーション能力を必要とする動きや、テンションが上がる音楽が気に入りました。BODYCOMBATのようなワークアウトは、経験したことがなかったので、とてもユニークに感じました。
実は、最初にBODYJAMの認定研修を受けるよう打診があったのですが、私はどうしても先にBODYCOMBAT にチャレンジしたかったのです。すでにダンサーだった私は、あえて BODYCOMBATで新しいスキルを身につけたいと思いました。自分の身体と語彙を鍛え、知識を増やし、学習する。やったことのないワークアウトを行うことは、自分自身を訓練することでもありました。
参加者としてフロアにいることと、ステージの上で話をしながら同時にエクササイズをすることには大きな違いがあります。大変だったのは、知識、スキルアップ、学習、新しい語彙や動き、そしてテクニックをすべて身につけること。本当にインスピレーショナルで正しいテクニックを体現したいと思うからこそ、それらがすべてできるよう肉体的なコンディションを整えることは、同時に楽しいチャレンジでもありました。
―2つ目のプログラムは何でしたか?また、2つ目のプログラムを持つことで指導の仕方に良い影響は見られましたか?
BODYCOMBATにチャレンジした後、 BODYJAMの資格を取りました。元々ダンサーだったので、すぐに、そして自然になじむことができました。またBODYJAMを教える際は、より自信を持って、より自然体でいることができました。
異なるエッセンスを持つプログラムを教えることで、それぞれのプログラムが互いに与える良い影響を実感することができます。指導に自信がつくと、ステージでの存在感が増し、より的確な指導ができるようになります。ステージが居心地良いと感じると、会員とより強いつながりを築くことができるようになるのです。
―では、複数のプログラムを教えることでクラブが受けるメリットにはどんなものがありますか?
クラブが受けるメリットとしては、より多くのクラスを担当・代行できるインストラクターが増えることです。同じプログラムを担当するインストラクターが1人か2人だけよりも、複数人で担当することにはメリットがあります。それは、彼らが団結してつながりを持つ小さなチームができることです。その関係性の中で、より忠実で強い絆を持ち、気持ち的にも満たされたインストラクターが育つので、そこに仕事以上のものが生まれます。1人でやっていると、誰とも交流せず絆や友情も築けないので、ただ仕事のように感じてしまいがちです。複数のプログラムを複数のインストラクターが担当すれば、互いに絆を築き、チームをつくることができます。それが、会員との絆を深めることにもつながるので、会員は特別に感じるでしょうし、クラスに何度も足を運び、他のクラスも体験してくれるようになります。
会員は複数のプログラムを受講しているなかで気に入ったインストラクターがいれば、そのインストラクターについて行くようになります。その結果として、プログラムに関係なく、グループフィットネス全体への参加率が上がるのです。
―Les Mills Japan が日本へ進出した際にエリンも来日しましたが、日本の会員やクラブの雰囲気について、どのような印象を持ちましたか?
日本の会員は素晴らしいと思います。礼儀正しいところが大好きです。でもそれだけでなく、とても情熱的で活気があり、オープンだと思います。インストラクターを信頼し、プログラム、ワークアウト、音楽を愛し、何でも挑戦しようとします。ステージ上のインストラクターを心から尊敬しているから、ついてきてくれるのです。一方、他の国の会員は、より控えめで遠慮がちな人もいるので、彼らとつながりを持つには時間が掛かるかもしれませんね。
日本の会員や消費者はLes Millsというブランドに100%忠実だと感じます。Les Millsのウェアを着た会員をたくさん見たのも初めてですし、あれほど携帯電話などの私物にサインを求められたこともありませんでした!彼らのような消費者が一度会員になることは、生涯の会員になることなのだと強く感じています。Les Millsの製品に投資することは、ブランドやインストラクターに対する彼らのコミットメントでもあります。これはどこにでもあることではありません。だからとても特別なのです。
―日本のクラブは熱心な Les Mills ファンと長い関係を築くことができています。クラブが新規会員を獲得するための秘訣は何でしょうか?
今のトレンドを知ることではないでしょうか。例えば、もし日本でダンスが流行っているのであれば、SH'BAM やBODYJAMのクラスを増やしてみるのはどうでしょう?
また、スター級のインストラクターを育てることも有効です。SNSを活用して、彼らの素晴らしい才能をどう活かすか、クラブでの影響力をどう高めるかを検討してみてはどうでしょう?
インフルエンサーでもあるインストラクターが、ひとつのプログラムだけでなく複数のプログラムを持っていたなら、より多くの人に、より大きなマーケットにリーチすることができます。例えば、LES MILLS GRITのインストラクターがBODYCOMBATやLES MILLS COREを教えることができれば、インストラクター自身のステータスが上がり、クラブがSNSなどで彼らを紹介することで、彼らのフォロワーを取り込む機会も増えるでしょう。彼らは、より幅広い人々に説得力を持って語りかけることができるからです。また、Z世代やミレニアル世代のインストラクターを見つけることで、若い世代にもアピールすることができます。
―日本のインストラクターへのアドバイスはありますか?
日本のインストラクターと一緒に仕事をした経験から言うと、彼らは運動神経がとても優れています。また、コーチングが素晴らしいと思います。彼らは自分の仕事、自分の役割を真剣に捉えています。まるで会員のように、とても情熱的で、献身的です。
インストラクターが複数のプログラムを担当することは、フィットネスに多様性をもたらすので素晴らしいことだと思います。技術的な能力が向上し、スキルアップして、強い知識基盤を与えてくれます。例えば、 BODYCOMBATとLES MILLS COREを教える場合、LES MILLS COREで学んだことをBODYCOMBATにも応用できますし、その逆もしかりです。すべてが混ざり合い、互いに好影響をもたらすのです。
また、複数のプログラムを持つインストラクターは、重要な要素であるパフォーマンス、コネクション、テクニックに対してオープンになっているので、より上達が早いのです。成長を止めず、学ぶことを止めないことで、より多様な指導ができるようになるため、自信にもつながります。また、決して飽きることはなく、エキサイティングで新鮮な気持ちを保つことも魅力だと思います。