私たちが携わるフィットネスクラブ事業のビジネスモデルは、ザックリ言うと、健康になりたい生活者が、事業者の独自の価値提案を受け入れて、お金を支払い続けてくださることだろうが、その独自の価値提案をするうえで欠かせないのが、パートナーの存在である。そして、そのなかでも、現場最前線で顧客へのサービス提供を担うインストラクターやトレーナーの存在が大事なのではないか。

今日も私は、この原稿を書く前に、フィットネスクラブで汗を流してきたが、スタジオの「アドバンスエアロ」のクラスは満員だった。コロナが収束するにつれて、かつては当たり前だったこの状況が戻ってくる。今後、スタジオを大型化したり、(場合によってはプールを切り離すか、なくすかして)スタジオを複数化したりするクラブや規模の大きめのジム・スタジオ型のクラブを新設する、あるいはコンセプチュアルなブティックスタジオを新設する動きが出てくるだろう。そこでは、インストラクターやトレーナーがいきいきと働けるようにすることが求められよう。

そうした未来が明らかなのに、日本では、パートナーであるインストラクターらのフィーをさらに下げ、職務の拡充を図ることを避けている現状が散見される。とても残念だ。そうした事業者には、エンドユーザーが見えていないのではないだろうか。このままではインストラクターのクラブ離れが進み、その先でエンドユーザーのクラブ離れが進んでしまうのではないか。大変、危惧する。 

今号の特集で、Les Mills Internationalのアサハラ・クリストファー氏が、『Global Fitness Trend Report 2021』と題するフィットネスユーザーのインサイトに迫るレポートの概要を紹介していた。このレポートは、日本人1,778人を含む世界15 ヶ国総計12,157人に調査した、近年では最大規模のフィットネスユーザー調査で、数々の重要な知見を示している。

特に重要なのは、日本のフィットネスユーザーの69%が「(フィットネスの)初心者」であり、その初心者のうち、およそ96%が、1つのクラスに興味を持っているということ。そして、初心者がフィットネスクラスに求めるものトップは、日本でも世界でも「インストラクターのクオリティ」だった。潜在顧客が入会するクラブを選ぶときの重要ポイントとして「人材」が多く挙がり、優れたインストラクター