会員制健康ビジネス専門のコンサルタント、田村真二氏にフィットネスビジネス・マーケティング戦略を連載でご紹介いただいている本稿。コロナ前に戻っていない日本のフィットネス業界でもプラネットフィットネス(米国)などのHV/LP(High Volume/Low Price:大型&格安)業態にヒントがあるという。
フィットネス各社が収益構造の改革を進めています。当社がまとめた主要フィットネス11社合計(単独上場企業および上場企業の子会社で業績公開企業を含む)の2023年3月期第1四半期(2022年4~6月)売上高は前年同四半期比で11%の増収となりました。オンラインを活用した新たなサービス提供、会費単価および会費外収入増取り組み等による客単価アップにより収益拡大傾向が見られます。しかし、コロナ前(2019年4~6月)と比べると8割弱の水準にとどまっており、今後は「既存事業の収益力向上」とともに、9割を超えるノンカスタマー(非顧客)を対象とした「新たな需要創造」による事業の成長・拡大・展開に向けた取り組みが課題となるでしょう。
プラネットフィットネスコロナ前を超える会員数 1,650 万人
現在、アメリカ、イギリスの多くのクラブでは、日本と違いマスクの着用はなく、スタジオの人数もコロナ前と同様の運営になっています。とはいえ、 IHRSAの国際責任者であるアリソン氏によると、「(コロナ禍で)アメリカのクラブの25%は永久に閉鎖、ブティック系は30%が閉鎖に追い込まれ、総合型クラブ以上にブティック型クラブで打撃を受けた」(Fitness Business 通巻121号参照)とあり、アメリカのダメージには日本以上の深刻さが窺えます。
そうしたなか、1992年創業、会員数世界No.1のプラネットフィットネスは8月6日、第2四半期(2022年4~6月)の決算を発表しました。それによると、「第2四半期には、約30万人の純新規会員が加わり、期末会員数はパンデミック前を超える1,650万人(店舗数は2,324店)に達した」とのことです。コロナ禍をものともせずまさに桁違いの会員数ですが、驚くのはそれだけではありません。
330万人以上の10代の若者にジムの無料利用を提供
同社CEOクリス・ロンドー氏は、「現在330万人以上の10代の若者