宮城県仙台市に3店舗を構えるパーソナルトレーナージム「Revive」は、解剖学、栄養学、脳科学などの専門分野を持つトレーナー陣が集うプロフェッショナル集団。その代表トレーナーを務める佐々木優介氏は、本来あるべき身体の機能を取り戻すコンディショニング指導を得意とする。その手腕が好評で、口コミで会員を0から集め、退会率も極めて低い水準を保っている。そして、トレーナーは会員のためにも「真の身体のスペシャリスト」であるべきだと改めて痛感させられた。その価値は、現代医療をも凌駕する。
運動が人生を変えるきっかけと知りトレーナーとして業界に飛び込む
Reviveの代表トレーナーである佐々木氏は異色の経歴の持ち主で、ファーストキャリアは百貨店の正社員としてスタートする。しかし、ある出来事をきっかけにフィットネス業界へ進むことを決めた。
「私は元々、体重が100kg以上の肥満体型でした。しかし、運動を始めてから30kg以上の減量に成功し、身体だけではなく人生が変わったのです。その素晴らしさを多くの人に伝えるべく、トレーナーを志しました」
佐々木氏は少年期から現在に至るまで宮城県仙台市で過ごしている。まず最初の勤務先として選んだのは東北地域最大級の総合型フィットネスクラブである。そこでトレーナーとして歩み始めたのだが、決して平坦な道ではなかったという。
「業界に飛び込んだときは、トレーニングさえ指導できればいいのだろうと考えていましたが、勤務先のクラブは教育レベルもトレーナーの質も高く、必要となる知識量はこんなに多いのかと驚愕しました。そこの指導方針では、まず会員さまの姿勢評価からスタートするので、そこでトレーナーとして勉強を進めていくなかで、身体の奥深さを知っていきました」
佐々木氏は、勉強をし始めると驚異の集中力を発揮し、NSCA-CPTの資格をわずか3ヶ月で取得した。その直後に、業務委託のトレーナーとして別のクラブに所属することとなる。
コロナによる休業期間を自己研鑽に費やすことで拓けた道
そのクラブに所属して約1年が経った頃、コロナが流行し始めた。ちょうど、大御所お笑い芸人の志村けんさんが亡くなってしまった時期である。世界が未知のウイルスに恐怖するなか、フィットネスクラブの営業自粛が相次ぎ、佐々木氏もその期間は完全に仕事をストップせざるを得なかった。
「今、私にできることは何かと考え、解剖学の基礎から猛烈に勉強することにしました。この期間も、たまたま3ヶ月です。そのおかげで、身体の構造や動きの原理をより深く理解することができました。さらに、世間的には巣ごもりのせいで肩こりや腰痛といった不定愁訴に悩む人が一気に増え、そこでコンディショニングの大切さを強く実感したのです」
休業期間が明けて営業を再開したときに、佐々木氏は自身の指導の質が解剖学の知識のおかげで格段に上がったことを実感した。不定愁訴に対する改善のためのアプローチをいくつも提案できるようになったのだ。
「このときの私のクライアント様に、開業・独立支援を行っている方がいらっしゃりました。その方から『早く独立をして自分の店を出した方がいい。パーソナルジムは今後どんどん増えていくだろうから、早めに参入した方がいいよ』とおっしゃっていただきました。それがきっかけとなり、現在のReviveを立ち上げたのです」と佐々木氏は当時を振り返る。
そして、独立の道を選ぶのだが、驚くべきことに誰一人として過去の顧客を自身の店舗に移籍させていないというのだ。「ギャンブルだと思われるかもしれませんが、一方で、自分の実力を試したかったのです。私は『仙台市×コンディショニング』という競合の少ないマーケットで勝負すれば勝算はあると思い、店舗をオープンしました」
実際、オープンから現在に至るまで、口コミで多くの会員が足を運んでいるのだから、その見立ては正しかったと言い切れるだろう。まさに、有言実行である。
負荷を掛けたトレーニングを開始するまでに2~3ヶ月は必要
では、Reviveではどのような指導を行っているのだろうか?
「私たちの指導理念は『マイナスを0に、0をプラスに』です。現代社会はどうしても座位の時間が長く、姿勢やバランスを崩されてしまう方が9割以上いらっしゃります。そういう人たちにいきなりウェイトトレーニングを始めさせるのは言語道断です。私たちは、姿勢、重心位置、可動域、それから目の動きなどを鑑みて、トレーニングを始められるかどうかの基準を定めています」と佐々木氏は説明する。
つまり、9割の人はトレーニング開始前に、まずはコンディショニングで身体の歪みを元通りに戻す必要があるということである。
「その次のステップでは、自重トレーニングを極めてもらいます。自分の体重をしっかりとコントロールできるようになれば、日常生活においても不定愁訴に負けない身体を手に入れられます。自重トレーニングと聞くと、簡単そうに思う会員さまもいらっしゃるのですが、物理学の知識があれば自重であっても相当な負荷のトレーニングができます。会員さまの中には、自重トレーニングだけでも30分続けられない人がいるくらいです」と佐々木氏は笑顔で話す。
ここまでが、「マイナスを0に」の部分である。週に1回のペースで通ったとしても、このフェーズは早くて2~3ヶ月を要する。この期間だけでも、姿勢や歩行の改善によって、脚が痩せる、ウエストが引き締まるなどの効果を十分実感できるという。
そして、この後に初めて自重トレーニングの中でも負荷の高いプライオメトリクストレーニングやウェイトトレーニングへと進んでいく。ここからが「0をプラスに」の部分である。ここまで辿り着くために、適切な順序があることは理解できただろう。
「昨今、YouTubeやInstagramといったSNSからの発信で筋トレブームが起こっていますが、その裏で弊害もあると思っています。身体が大きい人、フォロワーが多い人が言うことが正しいという風潮が生まれ、コンディショニングを無視したボディメイク寄りのトレーニング情報が蔓延しています。また、誤ったストレッチの情報は、特に怪我のリスクが高いと思います。身体は奥が深いので、例えば腰が痛くなってしまうのは様々な原因が考えられます。『とりあえず、腰痛は腹筋を強くすれば改善します』と指導をする人もいるみたいですが、そういう人の身体に真摯に向き合っていないような指導を撲滅したいですね」と佐々木氏は力説する。
YouTubeやInstagramを使えば無料で簡単に情報収集できる時代だからこそ、何が本当に正しい情報なのか、見極める必要がある。それが難しい人は、餅は餅屋と割り切ってReviveのようなジムに通うように勧めたいものだ。
Revive の会員のうち医療従事者が7割を占めるわけ
現在、Reviveに通っている人の7割程度が医師や看護師などの医療従事者である。なぜなのか?
「2つ理由があると思います。1つ目は、病院というのは皮膚科や内科など、専門分野がしっかり分かれています。だからこそ、彼ら彼女らは『餅は餅屋』と割り切ることに慣れていて、うちのようなコンディショニングジムを選んでくれているのだと思います。2つ目は、私たちも解剖学や理学療法の知識があるので、専門用語を使って説明しても納得してもらいやすいことです。そうした背景から、口コミで医療従事者の方々に広まっていったと思います」と佐々木氏は言う。
つまり、医師や看護師でもセルフケアすることができない領域を、トレーナーが解決できると言い換えられる。しっかり身体について勉強をしていれば、医療よりも先に必要とされる素晴らしい仕事だと言えるのではないだろうか?
日常生活における改善の実感が高い継続率を生み出している
Reviveの新規入会者(会員からの紹介を除く)が通い始めるきっかけこそ「ダイエット」「気分転換」が多い。だが、実際に通ってみると、それ以上に「日常生活の改善」を体感できるため、1年以上継続的に通う人が大多数を占めている。
具体的に多い声としては「身体の不定愁訴を感じなくなった」、「仕事の生産性が上がった」、「今までの自分は絶好調だと思っていたが、それは勘違いだったと気づいた」などである。ただトレーニングを指導するだけではなく、少しずつコンディショニングの必要性を啓発し続けることで、これらを実現している。「ただただキツいトレーニングをさせ続ければ、継続率は下がるでしょう。 Reviveの会員さまの場合、『キツかったし筋肉痛は来ているけど、身体は軽くなった!』というお声もかなりいただきます。そういう質の高い指導を続けていると、お客さまはなかなか退会されませんね」と佐々木氏は断言する。このような優良店が、全国に増えていくことを願うばかりである。
東北6県で愛されるジムを目指し医療や自治体との連携を加速
Reviveは今後、さらに出店を加速していく。まずは、「宮城と言えば Revive」と認知されるようなジム、そこからさらに東北6県への展開を進めていき、愛されるジムへと育てていく。
それと並行して、東北の健康問題を解決するために様々な取り組みを行っていく。「1つ目は医療との連携です。直近では、頭痛専門脳神経外科の院内で緊張型頭痛に対する手技・運動指導サービスを開始します。運動不足や姿勢不良が頭痛の原因の半数を占めるので、そこへアプローチできればReviveの提供するコンディショニングの素晴らしさをPRするとともに、診察の待ち時間のストレス解消・医院の顧客満足度向上も期待できます。2つ目は県や市との連携です。実は宮城県は、歩数が少ない人、メタボの人が多いんです。地域の公民館でコンディショニング教室を開催していきながら、この課題も解決していきます」と意気込む。
「トレーナーは人の身体に携わります。だからこそ、コンディショニングをはじめとした身体の隅々までの知識をインプットして指導に活かす重要性を、業界の多くの方に知っていただきたいです」と佐々木氏は訴える。
筋トレで見た目を変えるだけでなく、コンディショニングでその人の「人生」を変えよう。