高地トレーニングスタジオSOLERA(以下、SOLERA)は2022年6月末に京都府京都市にオープンした。今までのフィットネスジムらしさを取り払い、運動に対して苦手意識がある人でも通いやすい空間の演出にこだわっている。また、低酸素空間で行うヨガやストレッチなどのスタジオレッスンが、心身のコンディショニングにおいて会員から人気を集めている。

村松正憲氏
高地トレーニングスタジオSOLERA
株式会社オリーブの木 代表取締役

 

医療業界から転身!なぜ今、高地トレーニングなのか

村松氏は元々、世界的な医療機器メーカーに勤務していた。そこから高地トレーニングスタジオを始めるに至った経緯は何だったのだろうか?

「私は医療の分野に身を置いていたとき、仕事としてオペに立ち会うことが多かったのですが、健康であることがいかに大切か、この目で見てきました。そのためか、国全体の医療費の増加に大きな課題を感じるようになりました。そのなかで、海外ではすでに高地トレーニングが糖尿病の治療で臨床応用の一歩手前まで研究されていると知り、大きな可能性を感じたのです」と村松氏は胸の内を話す。

論文や研究などを調べていくと、いわゆる予防医療においても、低酸素トレーニングは様々なメリットがあるとわかった。これなら医療費の増加に歯止めを掛けられると思い、一念発起して挑戦することを決めた。しかもコロナ禍で。ただ、かえってそのおかげで、afterコロナにフィットした施設をデザインすることができたと言えるのかもしれない。

新旧融合のサービスでフィットネス体験をアップデート

SOLERAの名前の由来は、ワインの醸造方法の1つとして知られている“solera system(ソレラシステム)”から来ている。古いワインに新しいワインを継ぎ足して製造していく方法で、低酸素やデジタル技術などの新しい要素を積極的に取り入れている。

「コロナ禍でリモートワークが拡がり、運動不足を実感される人が増えました。しかし、従来型のジムでは通いづらいと感じる人がいます。そういう人にこそ通っていただきたいと思い、コンセプトを設定しました」と村松氏。

まず、筋トレ器具は一切設置していない。低酸素ルームが2つあり、1つは自走式トレッドミルやバイクマシンが設置されている有酸素ルーム。もう1つはスタジオとして活用している。

そして、もう1つは空間デザイン。一見、美容院と見間違えるほどオシャレで、会員に落ち着きを与えている。ストレッチエリアに設置するコンディショニンググッズのデザイン性にまで、強くこだわっているという。

これらの工夫により、今まで運動習慣を持っていなかった人たちのニーズを捉えてユーザーからも好評を得ている。「コロナで運動不足になってしまったけど、楽に効果が出て通いやすい施設がないか」という考えを持つ人に、まさに打ってつけの場所となっている。

高地トレーニングスタジオで行うレッスンが人気を集める秘密

SOLERAで人気を集めているのが、ヨガやストレッチなどのプログラム。いわゆる、鍛えるというよりは整えることに主眼を置いたレッスンが支持されている。低酸素空間で行うと、どのようなメリットがあるのだろうか?

「低酸素の状態は、目に見えないかたちで身体に負荷が掛かっています。酸素が薄いので、身体はより多くの酸素を取り込もうとする生体反応が起きます。それにより酸素の運搬能力が向上します。そのような環境でヨガやストレッチを行うと、日常生活で疲れを感じづらくなったという声を多数いただいています。また、低酸素空間では運動の時短効果が知られているので、早く楽にダイエットされたい人にとって嬉しいみたいですね」

村松氏はさらに続ける。「特に人気なのが、マッサージボールを利用したプログラムです。リンパをマッサージしながらコンディショニングの方法をお伝えすると、その良さを体感いただけるので、店頭販売をすると喜んでご購入いただけます。その後、自宅や職場でもセルフケアを行う習慣が身に付き、特に座り仕事が多い人はQOL(生活の質)が高まったと喜んでくださります」

低酸素の認知度を高めより多くの人に健康を届けたい

村松氏はこれからも、新しいコンセプトの施設へ未顧客層を招き入れ、フィットネス人口の増加に貢献していく。

「高地トレーニングは、マラソン選手のような心肺機能を高めたいアスリートに愛用されているイメージがありますが、一般の方もタイムパフォーマンスのいい運動によって未病予防ができることが、もっと知られていくように頑張りたいと思います」と意気込む。

地域の健康寿命延伸に向け、志は高く取り組んでいく。