行動経済学という言葉を聞いたことがあるだろうか? 行動経済学とは、読んで字のごとく、人間の経済行動の仕組みを理解し、様々な経済現象を明らかにする学問のことである。

経営者やマーケティング担当者は、理解している(もしくは感覚的に分かっている)人も多いだろうが、本連載では、行動経済学の基本を理解するとともに、フィットネスクラブ経営に役立てる方法についても紹介していきたい。

行動経済学を理解することで、これまで経験即や感覚的に行ってきた集客やキャンペーンなどを辞め、狙いを持った施策を打つことなどができるような情報をお伝えしていく。

■人間の行動は思ったより複雑

人は日々、モノを売ったり買ったりを、日常的に行っている。当然、この経済行動の中では、なるべく安いものを買いたいし、高く買ってもらいたいという心理が原則となる。経済学的には、これを合理的な行動(合理的選択理論)と言い、人は「どのような状況においても自分の利益を最大化しようとし、一貫して自分の損失を最小化しようとする」と定義されている。

しかし、現実の人間の経済行動を観察すると、そう単純ではない。実際には、安いものよりも高いものを欲しがったり、欲しくもないものを買ってしまったり、他人の欲しいものが、自分も欲しいものになったりと、合理的選択理論では説明できない現象が多くみられている。この経済学的には不可解な現象を説明するのが、行動経済学なのである。

経済学で有名な、需要・供給曲線(基本的にはこれが正しいケースが多いことは前提として)のみでは説明できない事象も、世の中には存在しているのである。

■なぜダイエット時にも食べてしまうのか?
人間のとる行動は必ずしも正しくない

行動経済学では、しばしば不合理行動という言葉が用いられる。不合理行動とは、通常の経済理論に従う合理的な選択を行わないことを指している。つまり、人は自分の利益を最大化するための合理的な行動を必ずしもできないということである。

例えば、人は自分にとって最善の選択をすると思っているにもかかわらず、短期的な利益に惹かれて長期的な損失を被ることがある。ダイエットを決意したが