今後、健康産業は成長していくのだろうか。また、成長するために何が重要になるのだろうか。そして、前途有為な学生がそこで活躍するために何が求められるだろうか。本稿では、健康やスポーツ、フィットネスの教育者に、健康産業の可能性と学生が活躍するためにフィットネスクラブ運営企業がするべきことを訊く。今回は、筑波大学の髙橋氏にお話を訊いた。
若者がフィットネスに近い環境を
どのように構築していくか
フィットネスやスポーツは人々の健康度を高め、生活を豊かにするところに真の価値がある。
筑波大学で、スポーツ社会学や政策学を研究のテーマとしている髙橋氏は、スマートウェルネスシティ(以下、SWC)政策開発研究センターの副センター長も務めている。SWCは、ウェルネスを街づくりの中核と捉え、市民全員が参加し、健康的な生活を送ることのできる街づくりを目指すものである。
髙橋氏は、これからの街づくりの一環として、特に若者の身の回りにフィットネスやスポーツがある環境を、いかに整えるかが大切だと説明する。
「民間でも公共でも、昔からあるフィットネス施設では20~30代の若者をほとんど見ることはないのではないでしょうか? それくらい若者の運動離れは深刻です。これからは、産官学連携で、健康・医療とスポーツ・フィットネスをミックスし、より幅広い年齢層が参加できる仕組みやサービスを作っていかなければなりません。フィットネスクラブも例外ではなく、例えば自治体と連携し、若者向けのイベントを行うことなども必要になってくるのではないでしょうか」
たしかに、多くのクラブで20~30代の層の集客には苦戦しているといえよう。髙橋氏は、その理由についてもこう言及する。
「これは民間に限らず、行政にも同じことが言えますが、若い世代を引き込むには、やはりデジタル化に対応することが必須となります。ここで言うデジタル化とは、ただ機械を設置するということではありません。若者は常にデジタルデバイスを身に着けていて、多くの情報と切り離されない状態になっています。そこをうまくついたサービスが必要なのです。セグメントによって、情報の入り方が全く違うわけですから、そこを間違ってしまうと、どうしても的を射ない施