小型のパーソナルスタジオや、マイクロジムが増えている。なかでも、経営が順調な施設の成功要因は何だろうか。本連載で、マーケティングや経営・運営の手法に迫る。第61回目はD-HEARTS。一流のトレーナーで精鋭されたパーソナルジムの魅力とは。
■コンセプト
本物のトレーニングを提供し続けるパーソナルジム
D-HEARTSは、同業者の中でも評判の高い伊勢龍顕氏が代表を務めるパーソナルトレーニングジム。かつてはボディビルダーなどの一部の人しか出られなかったコンテストへの一般参加も、垣根が低くなったことにより、ここ数年では、パーソナルトレーニングの需要が増加している。当然、D-HEARTSにとっては、同業者と言われるパーソナルジムも増加し、その分パーソナルトレーナーも増えている。
こうした傾向は好ましいことだが、弊害もあると伊勢氏は警鐘を鳴らす。
「正直、正しいトレーニングの仕方を知らずに、指導をしている『なんちゃってトレーナー』が増えてきていることは否定できません」
コンセプトは、正しいトレーニングをお客さまに伝えていくこと。これは、裾野が広がることにより、パーソナルトレーニングがより身近になることはよいが、それによって価値を下げたくないという想いから生まれている。
D-HEARTSの名前にもあるようにハートフルで、顧客がポジティブになれるジムを運営方針の1つとしている。実際に、トレーナーに会いたいから来ているという顧客も多い。本物のトレーニングを指導できることに加え、人柄も良い、ソフト面とハード面を兼ね備えた「良いトレーナー」がいるパーソナルジムなのである。
■マーケティング
圧倒的なプロダクト力でサービス起点のマーケティング
D-HEARTSは、いわゆるマーケティングの4Pの中でもProduct(商品)に最も注力をしている。コンセプトにもあるように、「正しいトレーニング」が最大の武器だ。
伊勢氏に正しいトレーニングとは何を指すのかと尋ねると「ケガをせず