会員制健康ビジネス専門のコンサルタント、田村真二氏にフィットネスビジネス・マーケティング戦略を連載でご紹介いただいている本稿。今回は「オリエンタルランドに学ぶ、稼ぐ力を高める客単価アップ戦略」。業績を急回復させた同社の戦略がフィットネス事業者にも参考になると語る。
開園40 周年を迎えたTDL
コロナ禍のどん底から業績急回復
今号は、常識から脱出し、自社のビジネスの業績アップを加速させるにはどうすればいいかについてお伝えします。秘訣は、これまでの「うまくいっていないやり方」や、「この業界ではこうあるべき」という常識的な考えを覆すことです。
それに関する最適な事例を紹介します。今年4月15日に開園40周年を迎えた東京ディズニーランド(TDL)などを運営するオリエンタルランドの取り組みです。
オリエンタルランドの業績は、コロナ禍による臨時休園などの影響で2021年3月期は入園者数が2019年3月期の約77%減となる756万人に激減し、売上高は同63%減、営業利益と最終利益は1996年の上場以来、初めて「赤字」に陥りました。
売上高が約35%減のフィットネス業界をはるかに上回る減収幅となったオリエンタルランドでしたが、その後、稼ぐ力は急回復しています。昨年4月に発表した中期計画では、2024年度の連結営業利益は1,000億円、連結営業キャッシュフローは過去最高となる1,285億円以上の計画で、現在はそれを上回るペースで進んでいます。稼ぐ力を取り戻した同社の改革は、フィットネス各社にとっても参考になることでしょう。
「シン・稼ぐ力」の秘訣は、「客単価第1、客数第2」への戦略転換
「2024年度の入園者数はゲストの体験価値向上を最優先に進め、(コロナ禍前比約2割減の)2,600万人レベル、ゲスト1人当たり売上高は(同約2割増の)14,500円レベルと想定」(株式会社オリエンタルランド2024年度中期経営計画より)。
つまり、オリエンタルランドはコロナ禍をきっかけに、入園者数を追う戦略から、体験価値向上や売り上げに寄与する客単価アップ施策の取り組みで収益を確保する戦略への転換に舵を