フィットネス事業者がポストコロナを見据えて、改めて変化対応、変化創造していくために、既存店のリ・マーケティングや新規店のマーケティング、さらにはフィットネスクラブの機能を代替するような新サービスのイノベーションをどのようにしたら実現できるのか? キーポイントをわかりやすく示した。

実現したい世界をイメージせよ

リ・マーケティングをするにせよ、マーケティングをするにせよ、先立つものがあろう。それは、なぜ(他社や他人ではなく)自社や自分がそれをするのかといったパーパスと、もてる固有の資源によってこの世界をどう変えたいのかというビジョンだ。パーパスやビジョンの源泉には、沸き立つような強い興味や関心があるはずだ。それがなければ、事業に注力できるはずがない。また、人々の共感も呼べまい。

妄想を構想に変え実装していくには、興味や関心と結び付いたビジョンからバックキャストしてロードマップを描き、適正な市場・顧客を選び、その市場・顧客のペイン(不)とゲイン(快)にピタリと対応したソリューションを解像度高く提案・提供していくことが大切になろう。

コロナ禍によって大きな影響を受けて価値観や態度を変えた生活者や社会がこの先どう変容していくのか、まずは複数のシナリオを描いてみて、それに対応してどんな役割が果たせるのか、自社や自分のあり方をイメージしてみるとよいだろう。その際には、既成の価値観に引きずられることなく、ゼロベースで想像していくことが大切になる。

市場を再定義せよ

これまで何となく「フィットネス市場」「スポーツ市場」などと自社の市場を定義し事業に取り組んできた事業者がほとんどだろうが、市場が飽和化してくるなか、市場を既成の価値観のまま捉え、従来と変わらないマーケティングを続けていると、潜在的な需要を顕在化して新規顧客を獲得できないばかりか、既存の顧客も離れていってしまう。

市場を再定義して、対象顧客の本能に刺さるようなコンセプトやストーリーをつくり、効果的に訴求していくことが求められよう。レッドオーシャン化した市場ではなく、「既存放置市場」「新規未知市場」となっているホワイトスペースがきっとあるはずで、そこにはブルーオーシャン