変化に適応し生き残る
当社は事業承継を中心に様々な事情によって譲渡いただいたクラブを引き継ぎ運営していますが、事業を通じて「地域の運動の場を守る」ことが当社の社会的役割の1つだと考えています。当社が引き継がなければ、その地域から消えてしまう運動の場を維持することで日本のフィットネス参加率を微力ながら底支えできているのではないかと思います。
日本のフィットネス参加率を向上するには、日常生活における様々なタスクより上位に運動を組み込んでもらう必要があります。しかし多くの人は、仕事、家庭、恋愛、趣味、娯楽、友だち付き合いなどが運動よりも上位のタスクとして存在し、その対応に追われています。
私が前職で海外赴任していたとき、現地の同僚が定時後や週末を楽しむ姿は、日本とは大きく異なりました。就業時間中からオフを楽しむモードになっていましたし、帰るときは「やっと休める」ではなく「さあ楽しむぞ」という雰囲気でした。日本では、運動に対する意識だけでなく、文化的な違いや日本人特有の忙しさ―労働時間の長さ、睡眠時間の短さ、エンターテインメントの多さなど―も含めて、できること、すべきことを考える必要があると思います。
多様なジム・スタジオの出現によって進行していた顧客の総合クラブ離れは、コロナ禍において一気に加速しました。またYouTubeなどの動画コンテンツや、質の高いホームトレーニング機器が普及したことで、ジムに行く必要すらなくなってきました。さらに追い打ちをかけるように、光熱費の高騰も続いています。この先、コロナ禍以前の状態に戻ることはないでしょうから、今の状況に適応したビジネスモデルを再構築せねばなりません。
課題がある一方で、良い変化も見られます。SNSの普及により、それまで限られた人しか興味の無かったトレーニングに対する認知度は大きく向上し、刺激を受けてトレーニングを始める人も増えています。こうした良い意味でのトレーニングのコモディティ化は、この業界にとって良い変化だと思います。
オンライン・オフラインのフィットネス商品が増え