株式会社コンセントでサービスデザインチームを立ち上げ、顧客視点での新規サービス事業開発や体験デザイン、またそれを生み出す組織やプロセスをつくるデザイン活動に従事する赤羽氏による連載。今回は、デザインスプリントの実行手順の3日目のワークについて解説する。
3日目の目的は試すアイデアを決めて試作の準備を終えること
デザインスプリントの3日目まで来ました。3日目は、午前中に意思決定を行い、午後に試作の準備を行います。
事業開発やデザインなどでも「発散–収束」という基本的な創造的プロセスの思考法がありますが、デザインスプリントでは2日目までが発散で、3日目からは収束に入る折り返し地点です。
収束=意思決定
収束するということは、それまでの議論や検討をまとめるということ。そこから先は引き返さない、引き返せない点(Point of No Return)です。それゆえに、通常の議論のかたちで決めようとすると、色々な懸念事項がいっきに噴出してきて、収束のつもりが発散になってしまうことが良くあります(図1)。
それではいけません。明日には試作をして明後日にはユーザーテストが待っているので、今、決めなくてはなりません。そのための意思決定の方法が「3ステップ投票」です。
意思決定の準備:ソリューション・スケッチのギャラリー
投票に入る前に、2日目につくった、見ればわかる説明不要のソリューションスケッチを壁に貼り出します。ちょうどアートギャラリーの展示のように、スケッチを壁に並べます(図2)。これを皆で黙って眺めて、小さい赤いドットシールを貼っていくヒートマップ投票から始めます。この段階では、どれが、誰のアイデアなのかはわかりません。
投票ステップ①:ヒートマップ投票
ヒートマップ投票では1人1〜2分、各アイデアの前に立って、良いと思うところはアイデアの全体でも部分でも、いくつでも投票を行います。ヒートマップは図3のように、活性度の高いところや人気の多いものを表現するものです。これを投票でつくって、全体から注目すべきアイデアの傾向を洗い出します。また、このときにアイデアへの質問、疑問があればポストイット