ルネサンス フィットネス会員の新規入会者数及び在籍会員数が好調に推移

株式会社ルネサンスの2024年3月期第2四半期の決算(連結)は、売上高211.55億円(前年同期比6.4%増)、営業利益2.81億円(同191.6%増)、経常利益2.14億円(同763.9%増)、純利益1.5億円(-)となった。当該第2四半期連結累計期間においては、社会経済活動の活発化に伴い、スポーツクラブの新規入会者数や在籍会員数が概ね好調に推移したことにより、売上高は計画どおりとなった。コスト面においては、全社的な省エネ対策や国の電気・ガス価格激変緩和対策事業により光熱費を抑制できたことから、計画を下回って推移。一方、昨今の物価上昇下での従業員の生活の安定やパフォーマンスの発揮を目的とした、平均5%の給与水準引き上げを7月より実施した。

同期間における日本経済は、経済活動の正常化や賃上げの加速等により、物価高においても景気の緩やかな回復が見られた。その一方、国際情勢の不安定化や為替相場の変動による資源価格の高騰等、先行きは依然として不透明な状況が続いている。フィットネス業界においては、建築費や光熱費をはじめとする各種コストの上昇等、外部環境の厳しさが増すなか、多種多様な業態が広がり市場は活況を呈している。また、ライフスタイルの変化に伴う健康課題の顕在化により、人々の運動や健康への意識は、ますます高まりを見せている。

こうした状況のなか、同社は「生きがい創造企業」という企業理念のもと、「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」を長期ビジョンに掲げ、生涯現役で働くための健康維持・増進や、医療費等の社会保障費の抑制につながる‟治療から予防へ”の取り組みを通じ、健康長寿社会の実現および地域の社会課題の解決に取り組んでいる。

スポーツクラブ事業では、筋力トレーニングやサウナ、猛暑によるプールの需要に合わせた入会プロモーションにより、フィットネス会員の新規入会者数および在籍会員数が好調に推移したことから、当第2四半期連結会計期間末の在籍会員数は390,918名(うちオンライン会員数45,620名、前年同期比8.3%増、オンライン会員数に関しては、前年同期比80.3%増)となった。部門別では、テニススクールの会員数が前年同期比▲1.4%と減少した。

既存クラブの動向としては、売上高は、前年同期比4.2%増、9月末会員数は1店閉鎖しているにも関わらず同1.4%増、会費単価も前年同期比で180円上昇している。一方、月間平均退会率は、値上げの影響もあり、瞬間的にやや上昇し3.2%となったが、現在は例年並みに落ち着いてきている。

フィットネス部門の会員構成は、50歳以上が56%と、前年同期比でほぼ横ばいとなっているものの、新規入会者に関しては、20~30歳代がボリューム層となっており、その構成比が微増してきている。

子ども向けの事業として、運動能力と非認知能力を育む「KIDS FIT®」の導入を開始。2023年度中に全国30店に導入を予定している。

また、昨今の各種コストの上昇への対応と、人材および設備への継続的な投資を通じて付加価値を高めていくために、7月以降順次フィットネス会員、および成人スクール会員の価格改定を実施した。なお、コスト面において、今期開業の総合型スポーツクラブ4施設の開業費用2.48億円を、当第2四半期連結累計期間に計上している。

介護および介護・医療周辺事業では、リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」等が順調に推移し、売上高は前年同期比13.1%増となった。介護リハビリの取り組みにおいては、リハビリ特化型デイサービス、訪問看護ステーション、居宅介護支援、児童発達支援・放課後等デイサービス等の複数のサービスの提供とその連携を通じ、利用者のQOL向上を目指している。8月には、フランチャイズ施設の「ルネサンス 元氣ジム武蔵関(東京都練馬区)」を新規開設。また、がんに罹患された方の運動支援を推進し、「大阪国際がんセンター認定 がん専門運動指導士(以下、「がん専門運動指導士」)の養成・資格認定事業に取り組んだ。現在、がん専門運動指導士は全国で150人以上となり、各地のスポーツクラブやパーソナルトレーニングジム等で活躍している。また、同社のスポーツクラブおよびリハビリ特化型デイサービス元氣ジムに順次配置することで、がんに罹患された方が安心して運動できる環境づくりを開始している。

 

企業・健康保険組合向けの健康づくり事業では、健康経営の取り組み支援を推進し、年々増加する企業の労働災害防止に向けた「転倒災害予防プログラム」等、同社の運動と健康づくりのノウハウを活かしたオリジナルプログラムの受託件数が増加した。

さらに、オンラインレッスンサービス「RENAISSANCE Online Livestream」(以下、「ROL」)においては、住友生命保険相互会社のVitality会員の利用増加をはじめ、大同生命保険株式会社が取り組む中小企業の健康経営の普及・推進活動や株式会社U-NEXTが運営する動画配信サービス「U-NEXT」へのROLの提供等、企業を通じた健康づくり支援を加速してきた。現在、24時間週720本以上のライブレッスンを配信している。

そのほか、様々な企業および顧客の抱える健康課題への対応に向けたオリジナル健康コンテンツの開発・制作では、株式会社スクウェア・エニックスより相談を受け、オンラインRPG「ファイナルファンタジーXIV」(以下、「FF14」)の新生10周年を記念したオリジナル体操動画「エオルゼア体操」の制作に協力し、7月下旬にFF14公式YouTubeチャンネルで公開され、好評を得ている。

地域・自治体向けの健康づくり事業では、自治体とともに地域住民および地域内の企業等に向けた健康増進に取り組んでいる。7月に愛知県大府市および株式会社トヨタシステムズと「大府市働く世代の睡眠改善実証事業」に関する覚書を、9月に神奈川県座間市と「健康増進等に関する包括連携協定」を締結。また、学校の水泳授業を取り巻く課題解決に向けて、スポーツクラブ近隣の学校や地域活性化起業人を派遣している地域での水泳授業のサポートに取り組み、当第2四半期連結累計期間において、前年度の約1.5倍となる25自治体、50校にて水泳授業を実施した。

ベトナムに展開するスポーツクラブでは、ベトナムの物価上昇に合わせ8月より順次会費の改定を実施し、会員単価の適正化に取り組んできた。また、ハノイ市の店舗で実施するスイミングスクールにおいては、幼稚園や小学校に向けた水泳授業の拡大を図っている。

連結子会社の株式会社BEACH TOWNでは、公共施設等官民連携事業(PPP)および公募設置管理制度(Park-PFI)、並びに民間企業との連携による地域のにぎわい創出に向けた企画・提案に取り組んでいる。

また、持分法適用関連会社の株式会社東急スポーツオアシス(以下、東急スポーツオアシス)では、4月以降、ルネサンスより3名が経営に参画し、新たなマネジメント体制の構築やサービスの付加価値向上に取り組んできた。当第2四半期連結累計期間においては、スポーツクラブ事業の収益性の改善と、物販を中心とするホームフィットネス事業が好調に推移し、業績は改善傾向にある。

資本事業提携を結ぶアドバンテッジアドバイザーズ株式会社との取り組みにおいては、店舗開発の強化、全社的な運営の効率化、事業ポートフォリオの再構築等、複数のプロジェクトを進めてきた。中長期的な企業価値の向上に向け、引き続きアドバンテッジアドバイザーズ株式会社の知見とルネサンスのノウハウを活用し、諸施策の着実な実行を目指す。

なお、ルネサンスは、積極的なM&Aおよび事業継承を通じたスポーツクラブの店舗数拡大を出店戦略に位置付けている。2023年8月10日公表の「持分法適用関連会社である株式会社東急スポーツオアシスの株式追加取得に関するお知らせ」にも示していたが、東急不動産株式会社が保有する東急スポーツオアシスの株式のすべてを、2024年3月31日(予定)に譲り受けることを決定している。これにより同社は、売上高でフィットネス業界最大規模となる。

また、7月に大阪市東成区に新規開設した「スポーツクラブ&スパ ルネサンス 今里24」および2023年10月2日公表の「KSC wellness フィットネスクラブ金町・金町スイミングクラブの事業及び固定資産(信託受益権)の譲受に関するお知らせ」にも記載されていたが、これらについても事業・施設継承の取り組みの一環となる。

同社には施設の継承~リノベーションに関して業界トップの経験があり、ノウハウも蓄積していることから、それらを強みに、今後もこうしたM&Aおよび事業継承の案件に取り組む機会は、多くなるものと予想される。

フィットネス業界のリーディングカンパニーとして、同社は総合型スポーツクラブの価値向上とお客さま一人ひとりの「生きがい創造」を、今後も追求し続けていく意向を示している。

なお、当第2四半期連結累計期間においては図1の施設を新規開設、退店し、株式会社BEACH TOWNの施設を含む当第2四半期連結会計期間末の当社グループの施設数は、スポーツクラブ169施設(直営105施設、業務受託62施設、ルネサンス ベトナム2施設)、スタジオ業態2施設、介護リハビリ43施設(直営32施設、フランチャイズ11施設)、アウトドアフィットネス15施設(直営4施設、業務受託11施設)の計229施設となった。

図1

通期の売上高は、コロナ前の95%に到達

下期の取り組みとしては、以下の4つに取り組んでいくことを挙げている。

事業間のシナジー創出

2023年11月に訪問看護ステーション「ルネサンス リハビリステーション富士見台」を「スポーツクラブ ルネサンス 富士見台24」内に新規に開設。周辺の既存施設とも連携して、運動と介護ケアの両面から、スポーツクラブと訪問看護ステーションが一体となって地域の健康づくりに貢献していくことを目指す。

BEACH TOWNとしての取り組み

京王電鉄の事業パートナーとして、聖跡桜ヶ丘における会員制アウトドアフィットネス施設のプロデュースを実施。2023年10月に「RIVER PARK 聖跡桜ヶ丘」を開業している。

新規出店、および運営受託施設

新規開業施設としては、現在のところ、「スポーツクラブ ルネサンス 熊本光の森24」(2023年10月開設)、「スポーツクラブ ルネサンス・イオンモール座間24」(同)、「RIVER PARK 聖跡桜ヶ丘」(同)、「ルネサンス リハビリステーション富士見台」(同年11月開設)の4施設となっている。

M&Aおよび事業・施設継承による拠点数の拡大

2024年3月31日に、同社は、東急スポーツオアシスを連結子会社化する予定である。東急スポーツオアシスとは目指す方向が近似していることに加え、店舗立地や取扱商品やサービスに関しても互いに補完できるところが多いため、両者の強みを持ちより、営業力・案件開発力の強化等、シナジー効果を発揮する機会を多く見込むことができる。また、2024年3月には、「KSC wellness フィットネスクラブ金町・金町スイミングクラブ」を譲受することもすでに決定している。

2024年3月期の通期の決算(連結)予想としては、売上高440億円(前年同期比7.9%増)、営業利益10億円(同47%増)、経常利益3.5億円(同12.4%増)、純利益1億円(-)と発表している。

この通期の決算予想の数値をコロナ前の2018年3月期の売上高462.29億円、経常利益38.01億円と比較すると、売上高はおよそ95%、経常利益は9.2%の水準にとどまることになる。売上高は、ほぼコロナ前の水準まで回復しているものの、経常利益は、まだ低く、来期以降、収益性を高めていくことが期待される。

2027年度、売上高750億円、営業利益55億円を目指す

同社は、長期ビジョンとして、「人生100年時代を豊かにする健康ソリューションカンパニー」を掲げ、その実現に取り組んでいる。図2のイメージの通り、これまでスポーツクラブ運営で得た様々なノウハウをほかの市場に連携させることで、事業領域を拡大していき、今後も、健康に関する複数の社会課題に対して、ノウハウを掛け合わせ、課題解決と成長の実現を図ることを目指す。

図2

とりわけM&Aを事業成長における重要な戦略と位置づけている。2027年度には売上高750億円、営業利益55億円という過去最高益の達成を、そして創業50周年を迎える2029年度には、健康のソリューションカンパニーとして、Well-Beingな社会の実現に貢献していることを目指す。

同社は、2024年5月の通期決算発表時に、「ルネサンス長期ビジョン・中期経営計画」を発表することを予定している。年2回の詳細な決算説明会に加えて、こうした長期ビジョン、中期経営計画まで丁寧に伝えようとする姿勢は、フィットネス業界においては同社が最も際立っており、文字通りリーディングカンパニーに相応しく、多くの関係者から信頼を寄せられることになるだろう。