セルフボディメンテナンス
高齢化社会における日本で、フィットネス事業者でなくても気をつけたいのが生活習慣病の予防だ。その中でも高血圧は、喫煙と並び、生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因とされている(厚生労働省e-ヘルスネット)。では、フィットネスクラブでどのように高血圧にアプローチしたらよいのだろうか。そのヒントは、セルフボディメンテナンスにある。
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株式会社プロフィットジャパン代表取締役菊賀信雅氏博士(医学)
ありふれている高血圧
日本では、高血圧の人の割合は、2人に1人と言われる(高血圧治療ガイドライン)。もはや珍しくない。
実際のところ、自クラブが高血圧の人を対象顧客にしていなくても、医者に運動するよう勧められたとお客さまが来ることはよくあるだろう。しかし、クラブからすると、高血圧という取っかかりのニーズに対するアプローチには手応えがなく、正直どのように対応していいかわからないと思うスタッフもいるのが実情ではないだろうか。
それは逆に言えば、準備ができていれば会員の健康をサポートでき、喜んでいただけるということでもあろう。
そこで注目したいのが、菊賀氏がFitness Business通巻134号で紹介した論文だ(Fitness Business No.134 P108 Retention◎会員定着)。
パッシブストレッチにより血圧が下がることについて紹介し、身体の柔軟性が高いほど、血管も柔らかく、高血圧発症リスクが低いことを伝えている。柔軟性の高い身体、つまり柔らかい身体づくりは、高血圧予防につながるということだ。
その柔らかい身体づくりの一例として、ストレッチはどうだろうか。「高血圧」に対応するために、その前段階の、「高血圧予防」に効果のある柔軟性の高い身体づくり=ストレッチなら、フィットネスクラブでも取り入れることができるのではないだろうか。
1回で血管年齢3.8歳相当の若返り
高血圧が予防できるマシン
身体が硬い人がストレッチを習慣化できるようサポートしてくれるマシンがある。プロフィットジャパンの、セルフボディメンテナンスのラインナップ、『ボディフレックス』シリーズ(全4台)だ。
セルフボディメンテナンスは、ボタンを押して乗っているだけで自動的にマシンが動き、たった5分間でダイナミック(動的)ストレッチができる運動療法のマシンだ。
国内で初めてクイックマッサージサービスをしていた同社が、マンツーマンでのサービス提供に留まらず、もっと多くの方々に提供することを目指し、全国展開のコンビニフィットネス®︎での30年以上にわたるノウハウを活用し開発した。
運動前に関節を動かすことで、代謝が上がるだけでなく、肩こりや、腰痛、姿勢矯正や疲労回復などの効果を感じられる。弾力性のある丈夫な血管と、高血圧、動脈硬化の予防が期待できる。「スタッフは、最初にインストラクションこそ必要になるものの、一度、会員が使い方を覚えてしまえば、その後は会員がセルフで使用できる」(菊賀氏)
ボディメンテナンスは、コンビニフィットネス®︎(中高齢者フィットネスクラブ)の主要サービスとして25年以上前からフランチャイズ店に導入されている。
製造は国内で職人が行っており、なんと25年間使用しても修理1回とシートの張り替えでメンテナンスが済むほど耐久性に優れているという。
さらに、第78回日本体力医学会学術大会(佐賀)での「ボディメンテナその柔らかい身体づくりの一例として、ストレッチはどうだろうか。「高血圧」に対応するために、その前段階の、「高血圧予防」に効果のある柔軟性の高い身体づくり=ストレッチなら、ンス装置を用いた他動的軽運動が動脈スティネスに与える影響」という演題にて1回のセルフボディメンテナンス実施で血管年齢3.8歳相当の改善が平均で見られていると発表された。ボディメンテナンスには、エビデンスがあるのだ。
カテゴリーエントリーポイントにストレッチを
厚生労働省は、疾病別のプログラムを開示している(「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」)。そこには、筋トレや有酸素運動が列挙されているが、現実的にはそれらはフィットネスクラブでの使用となる。だがそこには、「継続して運動している人は2割しかいない」とも記載されている。裏を返せば、8割は運動していないということだ。
その8割に、身体が硬い人や高血圧などの生活習慣病の人が含まれていることは想像に難くない。そのような人々が「ストレッチだけで高血圧が予防できる」とわかり、クラブにあることを知ると、運動一本と思われがちなクラブの印象が変わるのではないか。
セグメンテーションの際に、高血圧の人を対象顧客から外そうとせずに、クラブに来てもらうきっかけとし、ストレッチを通してクラブに来ることを習慣化できるよう、サポートしてみてはどうだろうか。特に、高齢者が多くを占める総合型業態は、ストレッチから始めて、徐々に運動の習慣化へご案内するとよいのではないか。
高血圧を減らせれば、色々な社会課題も解決していくことだろう。