ピラティスで在籍数を増やす

在籍数を増やしたい。どのような解決方法があるだろうか。そんな課題を持つ方にぜひ知ってほしいのが、ホテルヒューイット甲子園スポーツクラブVivo(以下、Vivo)の取り組みだ。Vivoでは、この8月から、折り畳み式ピラティスマシンフォルダブルリフォーマー(以下、リフォーマー)を活用した指導サービスを提供して成果を上げている。

  • 株式会社サップス
    常務取締役
    事業統括
    髙田泰生氏

スタジオという資源の捉え方

Vivoは、株式会社サップスが運営しているクラブで、本店は甲子園駅から徒歩5分、ホテルヒューイットの5階にあり、リニューアルにより充実したマシンエリアやスタジオ、シミュレーションゴルフやファンクショナルエリア、プール、岩塩浴、エステなど、圧巻のハードを誇る。

髙田氏は、コロナ当時を振り返る。

「コロナ前、実は、関西で初めてピラティスリフォーマーを導入していたが、当時、東京でも銀座等で他社の出店が細々とあった頃で、まだ爆発はしていなかった。大阪梅田にそのトレンドが来るときにコロナ禍に入った。3割ほど落ち込み、今まで通りでは回復は難しいと思った」

社内で、スタジオの再活用について議論していた。宝塚の店舗で、スタジオに設置型リフォーマーを置いていた。

「リフォーマーの横でヨガをしていたが、どうしても定員が少なくなってしまう」

定員を減らさずに、ピラティス以外のほかのレッスンも行えないだろうか。話し込んでいると、社長が手書きのスケッチを渡してきた。

「こんなのは、つくれないだろうか」

折り畳みできるピラティスリフォーマーだった。

バックグラウンドを活かしながら開発と実装

Vivoを運営している同社は、地域性とフィットした総合型業態のスポーツクラブVivoや、女性専用のヨガ&ピラティススタジオのVivo Bearsiなど複数のブランドを展開している。運営ノウハウを蓄積させていたため、その経験をもとに開発に乗り出した。

開発・製造過程では、レッスンの提供側目線と、メーカー目線が絡み合い、徹夜で、ネジ1つから調整したこともあった。

現場と製造が一体となった。

半年ほどで、安定供給に至った完成品は、パーツが少なく、なんと女性でも組み立て約1分。省スペースで収納でき、上質で美しい。

 

スタジオでは、『はじめてのリフォーマー』というレッスン名で展開。エリアによって多少名称を変え、会員の様子に合わせてプログラムもアップデート。50代女性を中心に連日満員になっている。

自店で十分な成果が出せたことで、同社は、このリフォーマーやプログラムを事業者向けに販売することにした。

ピラティス進出をサポート

さらに、同社では、リフォーマーの販売だけでなく、Wellness Colours Academyでインストラクターの養成、クラブへの出張指導だけでなく、リフォーマーでの自社のオリジナルプログラムも提供することにした。

「通常のマシンメーカーにはない、実店舗を持っている。そこには会員がいて、実際に試すことができる。だからこそ、改良するべきこともわかる。会員がどのように慣れていくか、何が求められているかが解像度高くわかる」(髙田氏)

Wellness Colours Academyの養成を受けて、レッスンデビューした会員もおり、性格も柔らかくなったとか。つまり、会員のお墨付きということなのだ。

トレンドを押さえよ

髙田氏は、これから事業者に求められることについて、こう述べる。

「総合型業態は苦戦してきましたが、その中にブティック型業態としてリフォーマーを導入することで、強みが活き、新たな顧客層への認知拡大にもつながるのではないでしょうか。例えば、8〜9月、SEOではヨガよりもピラティスがきっかけの入会のボリュームが増えています」

つまり、未顧客・ライトユーザーにとっての選択肢の1つとしてピラティスを選べるようにすることが重要なのではないか。

ピラティスが在籍数に貢献することは確認できていよう。ただ、マシンだけでは参入は難しい。

でも、会員とインストラクター、双方の反応がわかっているソリューションがあったとしたらどうだろう。検討してみてはどうか。