前号で紹介した株式会社IRIEから続報だ(通巻135号P25参照)。
同社は、主な対象顧客である、健康・美容意識が高く、流行に敏感な女性の課題解決をさらに進めるべく、2024年11月、もともと運営していた『あいりー骨盤整体半田院』を『Be irie ~ total body design ~(以下、Be irie)』にリニューアルし、パーソナルジム×水素吸入機×整体×エステというビジネスモデルを確立しようとしている。
穂満氏は、どのように市場機会を見ているのだろうか。
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R-body Inc.株式会社IRIE代表取締役穂満 悠氏
カテゴリーエントリーポイントを複数用意
同社は、24時間ジムであるIRIEフィットネス碧南店を愛知県で運営し、その一角でパーソナルトレーニングを行なっている。碧南店のオープン前から、あいりー骨盤整体高浜院、同知多巽ヶ丘院(ちたたつみがおか)、同半田院の3店舗を運営。リニューアルの経緯を、穂満氏はこう語る。
「約1年前から構想していた。骨盤整体院でエステを展開していて、同じ対象顧客でも様々な課題解決方法があることから、健康産業として事業ポートフォリオを見直そうとしていた。地域柄的と利益率からして高単価×少人数を検討。飲食などの他業種は初参入のハードルが高く、24時間ジムは不足しているが、パーソナルジムは飽和状態で集客が難しく、価格競争は必至。それ単体では8割のジムは1年持続できないほど、競争が激化していた。そこで、もとの整体院としての機能は維持しつつ、パーソナルジムの利用に加えて、キャッシュポイントであり、カテゴリーエントリーポイントになるサービスとして水素吸入機やエステを設けることにした」(穂満氏)
世の中の物価が上昇するなか、価格を訴求する24時間ジムの構図を疑問視したという。
対象顧客ごとにジャーニーを整理し、仮にボディメイクを目的として入会しても、その後、整体とエステ、パーソナルジム、水素吸入機などにより、異なる体験ができるようにした。水素吸入機は、ドクターズ・マンのH2JI1を導入。コンディショニングやリカバリー等の面で重宝しているという。
人材採用を重視する
同社の人材採用についても、訊いた。パーソナルトレーニングでは、ボディビル等の大会での実績を評価し、ブランディングしようとしている。
「商品が多角的にあるからこそスタッフの教育は重要だが、実績のある者は、自分のエゴを押し付けたりせず、他人に優しく、合わせることができる」
Be irieは、ボディビルの大会にも協賛し、選手が試合前日に、カット出しなどで利用できるようにしているともいう。
会員とのコミュニケーションに重点的に取り組み、今のところ、最上位の会員種別である月会費30,000円(税抜)のVIP会員が、売り上げの多くを占めているという。
水素吸入機は、吸収が早い
前号で、水素は、全身へ回るスピードが最も早いのは吸入であることを紹介した。
「吸うことの抵抗を減らすため、週末は会員限定で夜にシーシャを提供しようとしている。シーシャは近辺に設置している店舗がないため、ここでの会員さまとの深いコミュニケーションから、水素吸入機を使用するきっかけにもなり、インサイトの発見にもつながる」
最後に、今後の展望について訊いた。
「ペルソナがざっくりしすぎている事業者が多いように感じます。対象顧客の解像度を上げ、そこに合った商品・サービスを構築することで、最大限の売上につながるのではないでしょうか?例えば、初心者向けとしているのに、高重量のダンベルがあったり、具体的な便益が記載されていないのに『地域最安値』が謳われたりしています。整合性をとっていくことが大切になると思います」
同社は、事業ドメインを「フィットネス」ではなく「健康産業」としていることから、会員とのコミュニケーションの機会や仕組みを見直し、クラブライフのクオリティ向上に、努めていくのだろう。