進化を続けるSPORTEC2026には、フィットネス業界の次代を左右する機器・テクノロジー・経営支援サービスが世界中から集結する。最新トレンドを“見る”だけでなく、“体感し、自社導入まで具体化できる場”として、今年も大きな注目を集めそうだ。

  • TSO International 株式会社
    セールス部門
    執行役員 栗原 謙氏
     

パフォーマンスを高める世界のスポーツ機器・用品・サービスが一堂に会する「SPORTEC2026」が、7月8日(水)・9日(木)・10日(金)に東京ビッグサイト東展示棟で開催される。トレーニング機器やリカバリー商材、スポーツテクノロジーなど多彩な分野を網羅し、国内外の企業・専門家が集結する本展示会は、スポーツ・フィットネス業界の“今”と“これから”を体感できる場として進化を続けている。セミナーや学術連携も充実するなか、どのような価値を来場者にもたらすのか。TSO International株式会社でセールス部門の執行役員を務める栗原 謙氏の見解をもとに、その全体像に迫る。

変化の只中にあるフィットネス市場

フィットネス市場は堅調に成長を続けているが、その内実は数年前とは明らかに異なる様相を呈している。かつては総合型クラブを中心に、マシントレーニングやスタジオ、プールといった複合的な機能を提供するモデルが主流であった。しかし現在は、ピラティスやコンディショニング、ボディメイク、ビューティー領域など、特定の目的や価値に特化した業態が急速に増加している。

ユーザー側も「何となく通う」から「目的を持って選ぶ」へと変化し、施設選びの基準はより明確になった。栗原氏は「市場は伸びているが、同時に選ばれる理由がなければ埋もれてしまう可能性がある」と指摘する。つまり、成長市場である一方で、事業者ごとの差が可視化されやすい局面に入っているということだ。こうした環境下で、自社の立ち位置や次の一手を考える上で、業界全体の動きを俯瞰できる場の重要性は高まっている。

リカバリーが競争力になる時代

その中でも近年、特に存在感を高めているのがコンディショニングおよびリカバリー領域である。

従来は「どれだけ鍛えるか」「どれだけ負荷をかけるか」といった“攻め”の要素が中心だったが、現在は「いかに回復させるか」「どうすれば最適な状態を維持できるか」といった“整える”視点が重要視されている。

ストレッチマシンやマッサージ機器、可動域改善を目的としたプログラムなど、関連する商材やサービスは確実に広がりを見せている。こうした流れはトップアスリートの世界でも顕著であり、科学的なリカバリーの導入によって競技寿命が延びている事例は少なくない。

この考え方が一般ユーザーにも浸透し始めていることは、フィットネス事業者にとって大きなチャンスと言えよう。SPORTECでは、この分野の最新動向を横断的に把握し体感できるため、自施設における新たな付加価値のヒントを得る場として機能しているのだ。

テクノロジーがもたらす“再現性”

フィットネス業界のもう1つの重要な変化に、テクノロジーの進化によるトレーニングの高度化が挙げられる。

動作解析や姿勢評価、筋活動の測定、さらにはトレーニングデータの蓄積と可視化により、個々の身体特性に応じた指導が可能となっている。従来は指導者の経験や感覚に依存する部分が大きかったが、現在はそこに客観的なデータが加わることで、より精度の高いプログラム設計が実現している。

「機器が第三者的な視点として介在することで、指導の質と成果の再現性が高まる」と栗原氏は話す。これは属人化の解消やスタッフ教育の効率化にもつながる要素であり、経営的な観点からも無視できないポイントだ。SPORTEC では、こうしたテクノロジーを実際に体験しながら比較検討できるため、導入判断をより具体的に進めることができるのも来場者にとって有益なポイントだろう。

世界の動向を国内で捉える価値

SPORTECの大きな特徴の1つが、海外との強固なネットワークである。

主催であるTSO International株式会社は、欧米やアジアの主要展示会に積極的に足を運び、現地で注目されている企業や製品、サービスを日本市場に紹介している。その結果、会場には“これから日本に広がる可能性のあるトレンド”が集約される構造が生まれるようになっている。

さらに、米国の業界団体HFA(Health&Fitness Association)との連携により、海外の市場動向や経営トレンドを共有するセミナーも実施される予定だ。

通常であれば時間やコストをかけて海外に赴かなければ得られない情報が、国内で効率的に入手できる点は大きな魅力である。特に多忙な経営者やマネジメント層にとって、この“情報収集の圧縮”は極めて価値の高い機会となるだろう。

体験型コンテンツが示すSPORTECの新たな方向性

今年のSPORTECでは、ピックルボールといった体験型コンテンツの強化も見逃せないポイントとなる。これらは単なる集客イベントではなく、「誰もが参加できる運動機会の創出」という明確な意図を持って導入されている。

ピックルボールは省スペースかつ低負荷で実施できるため、フィットネスクラブだけでなく公共施設や地域コミュニティへの展開も期待されている。体験型コンテンツは、新規顧客の獲得だけでなく、既存施設の活用方法を見直すきっかけにもなる。実際に体験することで初めて見えてくる導入イメージは数多く、現場に直結するヒントを得られる点は特徴といえる。

また、賑わいを見せるイベントは、今年も見逃すことができない。「マッスルゲート(MUSCLE GATE東京スポルテック大会)」はボディコンテストの登竜門として有名だが、日本最高峰と言われるボディコンテスト「SPORTEC CUP(Wellni SPORTEC CUP 2026)、日本のトッププレゼンターのレッスンが堪能できる「FITNESS SUMMIT JAPAN 2026」も継続して開催される。

昨年注目を集め、ウェルネス業界を席巻したといっても過言ではない、日本を代表するウェルネス事業者No.1決定戦「アイデア ピッチコンテスト『Wellness Leaders Award 2026』も開催される。昨年より規模を拡大し、今年は全国12都市で予選大会を開催。7月9日(木)にはSPORTECの会場で決勝大会が行われる。出展社からも来場者からも、熱い視線が注がれるはずだ。

学術連携が生み出す新しい視点

SPORTECでは展示会と並行して、「学術領域」との連携も進められていることを読者は知っているだろうか。

日本スポーツパフォーマンス学会(JSSPR)や「Sports Informatics and Technology 2026(SIT)」といったシンポジウムが同時開催され、研究者と事業者が交差する場が創出される。

今年はさらにその連携が強化され、研究成果を会場内で体験できる展示も拡充される予定だ。エビデンスに基づく製品やサービスの重要性が高まる中、こうした取り組みは事業の信頼性向上にも寄与する。単なるトレンドの紹介にとどまらず、その裏付けとなる理論やデータに触れられる点は、他の展示会にはない特徴といえるだろう。

得た気づきをどう活かすかが重要

展示会は総じて、単に情報を集める場ではなく、得た情報をもとに「次のアクションを考える場」である。SPORTECは展示やセミナー、体験、そして人との出会いを通じて、多角的な視点が得られる。その中から自社にとって何が必要かを見極め、どのように取り入れていくかが重要になってくる。

栗原氏は今年の開催に先立ち、「来場することで、自分たちの立ち位置や課題が自ずと見えてきます」と語る。

日常業務の中では得にくい気づきに触れることで、事業の方向性を見直す契機にもなるだろう。変化が加速する今だからこそ、こうした場をどう活用するかが、次の成長を左右する要素となる。

日本最大の国際スポーツ・健康産業専門展「SPORTEC」。世界中からスポーツ・健康産業に関わる民間企業や行政団体が、今年は約600も集結する予定となっている。フィットネスやスポーツ・医療・介護といった事業に関わる読者は、ぜひとも会場へ足を運び、幅広い情報を収集し、熱を肌で感じ、今後の事業に役立ててほしい。