24時間無人フィットネスジム「ECOFIT24(エコフィット24)」のフランチャイズ展開を軸に、急速に事業を拡大させているエーイーシー株式会社(本社愛知県名古屋市、以下同社)は、カルチュア・エクスペリエンス株式会社(以下、CX)が展開するウェルネス事業「TSUTAYA Conditioning」と協業し、今年4月20日に女性専用の少人数制マシンピラティススタジオ「TSUTAYA Conditioning PILATES 覚王山店」(愛知県名古屋市)をFC店舗としてオープン、新たな業態展開へと踏み出した。

  • エーイーシー株式会社
    代表取締役CEO
    中村康宏氏

無人ジムの実績を活かすとともに有人ジムのノウハウを吸収する

スタイリッシュな空間を特徴に61 店舗を運営する「ECOFIT24」

「ECOFIT24(エコフィット24)」は、愛知・東海地方を中心に全国で61店舗(2026年7月1日現在)を展開しており、24時間無人運営、月会費3,278円(税込)で、現在の総会員数は5万人、今年度中に総店舗数100店舗となる見込みの注目施設である。独自開発のアプリによる会員管理の効率化や、低投資での開業を可能にする自社製マシンの活用など、会員の利便性と事業オーナーの投資効率を両立する画期的なビジネスモデルを打ち出すことで実績を積み重ねている。同社代表取締役の中村康宏氏は「1人のオーナーが複数のFC店舗を運営されることもあり、オーナーの利益を優先的に追求する当社の姿勢を認めていただいた結果と捉えている」と語る。

ECOFIT24の店舗拡大に注力を続ける同社が、今回FCとして協業したTSUTAYA ConditioningはCXが展開するフィットネス施設。“ココロとカラダを整える”をコンセプトに、これまでにない「運動以外の楽しみがある、頑張らなくていいジム」を標榜している。運動初心者でも使いやすい全自動AIマシンサーキットやストレッチマシン、ヨガ、マシンピラティススタジオなどを備えるほか、「代官山蔦屋書店」のブックコンシェルジュが選書した本が並ぶブックラウンジ、セルフスタイルのカフェなど、「整えるジム」の理念を体現する施設構成となっている。

エーイーシーとCX で研究を重ねて利用されているリフォーマー

CXが計200店の出店を目指す中で、25~40坪規模で展開するブランドが「TSUTAYA Conditioning PILATES」だ。ピラティスに特化した店舗で、10台以下のピラティスマシンによる少人数制グループレッスン(月4回/月8回)を提供するほか、ミニブックラウンジも備えている。このブランドでのFC加盟で事業参入となった経緯について、中村氏は次のように語る。

「当社では、リフォーマーが普及する前から自社製のピラティスマシンを製造・販売しているが、2020年からTSUTAYA Conditioningの施設にリフォーマーを納品してきた。事業についてはかねてより理解しており、興味を持って見てきた。当社には、ECOFIT24を通じ無人ジムのノウハウは豊富にあるが、有人ジムのノウハウがない。そこで有人店舗の事業を模索するため、ともに協業関係にあるTSUTAYA Conditioningに加盟をした」という。さらに中村氏は「当社が目指すのは『無人でも有人と同等のサービスを提供するジム』。その意味で有人ジムのノウハウがないのは致命的ともいえる。この機会に有人ジムのビジネスを学びたいと考え、FCでの出店を決めた」。

ミニブックラウンジ

TSUTAYA Conditioningに、同社が導入するリフォーマーは、CXが各店舗のお客さまと、CXが運営するインストラクター斡旋システムに登録する全国約3,500名の声も活かし、両社でその仕様について研究を重ねてきた。製造元の中国工場と細かく打ち合わせを重ねてマイナーチェンジを行い、改善点をこまめに反映してきた。その都度ユーザーにも確認を求めるなど、現場との密な連携を図ってきた。

 

「値段より、体験やサービスで選ばれている」実感

エーイーシーが開業した「TSUTAYA Conditioning PILATES 覚王山」

同社のTSUTAYA ConditioningのFC1店舗目となるTSUTAYA Conditioning PILATES覚王山店は、市営地下鉄東山線「覚王山駅」から徒歩1分の好立地にあり、店舗面積は約35坪。エーイーシーとCXの間で情報交換をしながら条件に合う物件を探した。

覚王山エリアは人口が多く、居住者層に高所得者が多いというデータもあり、駅に至近の好条件の物件に決定したという。なお同店は、TSUTAYA Conditioningブランドの愛知初出店となった。

「女性専用」「少人数制」「初心者向け」「一人1台専用マシン」「完全予約制」「自由に練習ができる」「選べる回数プラン」という7つの特徴はTSUTAYA Conditioningの全店舗に共通するが、同店の最大の特徴は「24時間、ピラティスができる」という点で、現段階では同店が唯一の24時間営業店舗だという。

これは、同社が開発し、ECOFIT24で導入している管理システムを取り入れ実現したもので、レッスン開催の時間帯以外は、すべてセルフ利用となり、月額料金(月4回:税込13,200円、月8回:税込19,800円)にセルフ利用料金が含まれるため、自由な時間帯で回数の制限なくセルフでピラティスができるのが、覚王山店の特徴だ。

オープンから2ヶ月余の会員状況は、1キロ圏内の居住者が大半を占める。無料体験からの入会が好調で、年代別に見ると20代が約20%、30代が約30%、40代が約15%、50代が約20%となっている。

近隣のピラティス施設と比較して料金設定が若干低くなっているが、「価格より、体験やサービスで選んでいただいている実感がある」と中村氏は言う。無料体験では、トレーナーがレッスンを行った後にピラティスや施設の説明を行うなど十分なコミュニケーションを図るため、レッスン体験者への訴求力が高い。またレッスン以外にもセルフ利用が24時間可能なことも入会動機につながっているという。中村氏は「レッスンで習ったことを、好きな時間に自分一人でやりたい」というニーズが合致していることも好調の一因と見ている。同店ではセルフ利用の来店率が非常に高く、CXのFC本部でも「魅力的なデータ」と注目しているという。体を動かした後に、ミニブックラウンジで本を読むという過ごし方ができる点も、好印象や他施設との差別化につながっているといえる。

同社にとっては初の有人店舗となる同店だが、「改めてECOFIT24との違いを感じている」と中村氏は話す。集客面において、無人のECOFIT24では価格面でのアピールが効果的だが、TSUTAYA Conditioningでは「人がいることで得られる安心感」を打ち出す必要がある。web広告でも施設のアピールポイントがそれぞれに異なる。クリエイティブ戦略をさらに練って、会員入会につなげていけるノウハウも蓄積していくという。オープン2ヶ月余で損益分岐点はクリアできているが、同店ではさらなる研究や挑戦も進めたいとしている。

「最も研究したいのはインストラクションの部分で、お客さまが何を指導に求め、有人ジムにどのような期待をしているのかという点。まだ手探りだが、そのニーズを今後AIなどのテクノロジーに落とし込んで無人ジムに活かしていくことも我々の重要な研究テーマ」(中村氏)という。

2つのブランドで積極的に事業展開を図るための「基礎固め」

「ECOFIT24」で培った無人運営のノウハウが投入された

同社のTSUTAYA Conditioningブランドでの今後のFC展開については、現時点で覚王山店の他、今年2店舗の開業が予定されている。そのうち1店舗は東京・八王子市の駅そばに出店予定でECOFIT24との併設型となる見込みだ。もう1つは名古屋市内のロードサイドでの出店で、こちらも立地により、ECOFIT24との併設型・直営店舗を適正に判断していくという。覚王山店が住宅近接立地、八王子がECOFIT24併設、名古屋のロードサイド立地と、立地環境が異なる店舗で運営することで、会員の動きに変化が出ることが予想されるが、同社ではモニタリングの意味も含めて3店舗を運営したいとしている。

ECOFIT24は「100店舗」を目標に掲げてスタートしてきたが、TSUTAYA Conditioningにおいては、「数を増やすことも大切だが、有人と無人のノウハウを合体させた、他社にないような新しいサービスをCXさんとともに作ることができれば、もっと面白い展開ができるのではないか」と中村氏は話す。

一方、ECOFIT24の店舗展開は今後も拡大傾向で、店舗数が伸びている関東・東海・関西のほか、既存の24時間ジムが少ない九州では直営店舗を中心に進めるなど、様々な施策を打っていくとしている。

ECOFIT24とTSUTAYA Conditioningという2つのブランドで戦略的に事業展開を図る同社だが、現在は社員教育、特にマネージャークラスの育成にも注力しているという。同社の社員数は約70名で、「まだ新しい会社なので、ここでしっかり基礎を固めておくことで、今後の事業展開にもプラスに働くようにしたい」(中村氏)。

24時間無人ジムでフィットネス業界に革新をもたらした同社が、自社エネルギーを蓄え、今後TSUTAYA Conditioningとの協業を経て、どのような新業態を生み出すのか、さらに注目していきたい。