2017年より一般社団法人日本フィットネス産業協会が開始した国家資格、フィットネスクラブ・マネジメント技能検定。その記念すべき第1回目の1級の試験で見事合格した方々に、対談形式で、学びを進めるにあたってのポイントなどを聞いていく。さらに毎回、過去問よりいくつかの問題をピックアップし、出題の意図や、そこからの気づきを解説。資格取得のために勉強するのではなく、実務に活かすためにいかに学ぶべきかを感じ取ることが大切だ。先輩たちの話を参考に、自分なりのスタイルを見つけて効率よく、学びを進めてほしい。(以下、敬称略)

【お話を訊いた方】

JR 東日本スポーツ株式会社 事業推進部門 運営推進部 運営管理グルー グループリーダー 後藤利章氏

株式会社ルネサンス 新規事業プロジェクト プロジェクトリーダー 南雲政人氏

要点を咀嚼して図式化 簡潔にすることで覚えやすく

南雲:

テキストを最初から順に進めていくのでは、途中で挫折してしまうかもしれません。私はまずざっと読んで、自分の弱い部分、反対にあまり勉強をしなくても大丈夫そうな部分のめどをつけて、勉強の時間配分を行いました。

後藤:

1級は出題範囲が広く、テキストの内容も多い。そのままでは頭になかなか入らないので、私は内容を図式化するなど自分なりに頭に入りやすいかたちにして、ノートに整理しました。告知から試験日までが短かったこともあり、効率性はとても重要でした。

南雲:

私はマインドマップにして整理しました。キーワードをマインドマップにすることで、振り返りやすくしたのです。1級を受験するためには3冊のテキストを学習する必要があるのですが、メリハリをつけることが大切だと感じましたので、アドバンスのテキストはこの方法で勉強し、インターミディエイトとベーシックのテキストはアドバンスのテキストに含まれていない部分だけに絞って勉強することにしました。

私たちは1回目ということで出題傾向もまったくわからず手探り状態でしたが、今なら過去問で傾向を把握することができるので、また違う勉強法があるのかもしれません。解答解説集を活用するのも有用だと思います。

後藤:

出題形式はおそらくマークシート方式だろうという読みはあたっていたのですが、「このなかから正しいものを選べ」ではなく「正しいものがいくつあるか選びなさい」であったことは予想外でしたね。

南雲:

テキストにない事柄なども出題されていましたね。とくに政府の健康に関する取り組みなどは知っておいたほうがいいと感じました。3級は、日々の経験である程度網羅できるかもしれませんが、1、2級はテスト勉強のほかに、日ごろの情報収集が大切になると思います。

後藤:

実技についても、1級は与えられた問いに対して、自分なりにプロセスをつくっていくことが必要だったので、運用業務をしっかり経験していることが大切だと感じました。自分の会社や自分の立場に置き換えて問題を理解できないと、難しいかもしれません。

南雲:

筆記については、文字数の制限が1,200字程度と短く、コンパクトにまとめることに苦労しました。日ごろからロジカルシンキングや、簡潔かつわかりやすく要点を伝えるスキルを磨く努力をしていると、役立つかもしれません。

後藤:

テキストは、考え方を整理するうえではとてもよかったですね。苦手な分野の把握だけでなく、「ここは自分のこれまでの考え方で間違っていなかったんだな」と、さらに自信を深めることもできました。

健康に関する政策など、日々の情報収集が鍵(※1級第1回学科 問6)

南雲:

日本の政策に関する出題です。商品やサービスの開発や、販促や競合対策を考えるうえで、世の中のトレンドを知っておくことはとても重要ですが、実際は目の前のことに忙殺されてそこまで意識できていない方も多いと思います。より広い視点をもつことが大切だと気づかされた問題でした。

後藤:

私はこの問題から、日本の政策とクラブの在り方をつなげて考えることの大切さを感じました。政策などは、先を見越してつくられているので、急に180度路線変更することはまずありません。例えば近年なら、「人生80年」から「人生100年」に変わったことで、今80歳の方があと20年間フィットネスをがんばるためにはどうしたらいいのか?と考えるきっかけになりました。私は今40歳ですから、あと60年間フィットネスを続けるためには生涯いくらかけることになるのだろうか、その費用を出せるのか?などと考えると、そもそも今の会費は適正なのか?とも、漠然とですが考えるようになりました。要するに、「周りが価格を下げたから当社も下げよう」ではなくて、「将来こうなるから、この価格で売っていこう」、そのような考え方が大切だと感じました。

南雲:

「入会金ゼロ」はお客さまにとって確かに魅力的ですが、そういうメッセージだけで今後、本当に販促・集客し続けられるでしょうか? 見学や体験のときに、お客さまに対してどういうお話をしたら運動の必要性を理解してくれるのか、日本の政策をきちんと知ることで、そのような説明にも活かすことができると思います。さらに、この試験を通じて、自クラブの進むべき道やフィットネスクラブの存在理由などについても、日ごろからきちんと考えておくことが必要だと感じました。