新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染拡大を機に、多くのフィットネスクラブでは退会者や休会者が増え、厳しい状況を余儀なくされている。株式会社THINKフィットネス(以下、THINKフィットネス)も例外ではないが、施設に協力的な会員の存在や、フィットネスツールの開発・販売も手がける自社の強みを活かして安全・安心な施設づくりに取り組んでいる。

田代 誠氏
株式会社THINK フィットネス 取締役 ゴールドジム事業部長

会員の中心は働き盛りの40~50代
周囲へ配慮し退会・休会を選択

THINKフィットネスが展開するゴールドジムでは、2020年の緊急事態宣言の発出に伴い、4~5月にかけて直営店全店を休業した。

再開後の6月、会員の戻りは休業前の60%程度であったが、8月には80%と、日ごろからトレーニングを習慣化している会員が多い特性もあり、ほかのクラブと比較して早い回復をみせていた。

「働き盛りの40~50代の方が多いので、ご本人の意志というよりも、会社や家族に配慮しての休会・退会が多くありました。一方で、6月の入会は休業の反動か例年より多く、7月もそれなりにありましたが、8月からはやや伸び悩んでいる状態です」

回復途中にあった’21年1月7日には1都3県に再び緊急事態宣言が発出。ゴールドジムでも密な状態を避けるため、20時以降はスタジオプログラムやスクールの実施を控えるなどの対応を行っているが、ジムの営業時間短縮は行っていない。

「営業時間を短縮してしまうと仕事帰りにしか利用できないビジネスワーカーの方がトレーニングできなくなってしまいます。また前回休業した際に、ご高齢の会員さまから『この年齢になると、休業期間中に落ちた体力を取り戻すのがとても大変』というご意見をいただきましたので、会員さまの健康のためには感染対策を徹底しながら通常通りジムの運営を続けることが大切だと判断しました」

日々換気やマスクの着用、トレーニング中の会話を控えるなど、会員にも様々な協力を依頼しているが、「皆さん真面目に守ってくれる」(田代氏)のは、日ごろから真摯にトレーニングに励む方が多いためであろう。換気がしづらいスタジオやロッカーには同社が代理店として販売する循環式空気除菌装置を設置するほか、指先まで覆いながらもトレーニング感覚を妨げないグローブを開発するなど、自社のネットワークや強みを活かして、感染対策を行いながらも快適にトレーニングできる環境づくりに励んでいる。

設備のレンタルで初期投資を抑えスタッフの労力を軽減

当面は大きく入会が増えることが期待できない今、喫緊の課題は経費を極力削減することだ。なかでも大きな割合を占める水道光熱費を下げるべく、各店の支配人は以前にも増して意識高く取り組んでおり、すでに結果も表れてきている。

設備面でもコスト削減と運営効率の向上を目指し、’20年12月にオープンした立川店では東京ガス株式会社の『レンタフマルチ』を導入。同サービスは、業務用マルチ給湯器(タフジェットマルチ)をレンタルにて契約することで初期投資を抑えられるほか、データセンターで運転状況を24時間遠隔監視しているため、もしものときにも素早く対応してくれる。

「かつてはお湯が止まって初めて故障に気づくなどのことがありましたが、レンタフマルチであれば遠隔で運転状況を監視してくれるだけではなく、異常を検知すれば自動で修理を手配してくれるので、スタッフが定期的にチェックをしたり、業者に連絡する手間もなくなりました」(ゴールドジム事業部 課長 兼重武史氏)

同社では、かつては故障時に備えて各店舗で予備の給湯器を保管していたが、その必要がなくなりスペースの有効活用にもつながっている。遠隔監視のデータに基づき給湯器の適正な設置台数がわかるため、過剰設置防止に役立ち、極力無駄を排除した運営を実現できるとあって、ゴールドジムではすでに複数の店舗で同サービスを契約している。

THINKフィットネスでは今春、これまでとは異なる施設特徴をもつ新店を海浜幕張にオープンする予定だ。田代氏は「常に、私たちにとって最適なものを提案しようという姿勢でいてくれるので、こちらも気軽に相談することができます。継承物件も多いので、リニューアルの際の設備チェックに協力してもらうこともあります」と、これからも東京ガスのサポートを得ながら、コロナ禍にあっても安定的な経営体制の確立に取り組んでいきたいと考えている。

効率的な経営には、運営面と設備面、双方からの取り組みが欠かせない。THINKフィットネスではそうして生み出された余力や資金を新たなサービス提供やさらなる環境整備に注いでいくつもりだ。

「自分の健康は自分で守る」。コロナ禍でその意識を強くした人々、そして既存会員の健康維持・向上に応えるべく、取り組んでいく。