株式会社サンベルクスホールディングスはスーパーマーケットであるベルクスのほかに、ベルクススポーツクラブ(以下、ベルスポ)および、ベルクススポーツジム(以下、ベルジム)というフィットネスジム2店舗を運営している。特に注力しているのが少人数で行うサーキットトレーニング(以下、サーキット)である。

  • 枦山 猛氏
    株式会社サンベルクスホールディングス スポーツクラブ事業部
  • 村山さとみ氏
    ベルスポ/ ベルジム スタジオディレクター

系統の異なる2つのジムを効果的に組み合わせ

2014年11月にベルスポが東京都足立区花畑にオープンし、そのあと’19年5月にベルジムが埼玉県草加市谷塚にオープンした。都道府県こそ違うが、距離としては3kmほどしか離れていない。それぞれの面積は約300坪と約400坪。

名前こそは似ているが、ジムの特色は天と地ほども違う。

「ベルスポは有酸素運動やスタジオを中心としたライト層向けのジムになっています。一方でベルジムは、しっかりトレーニングしたい男性をターゲットにしたジム特化型のジムです。一時期は男性が9割を占めたこともあります。器具にもこだわっていて、20kgバーだけでも8種類揃えています」

本来は別々のジムではあるが、距離が近いため両方の店舗を利用したいというニーズが増えた。それに応えるべく、通常の月会費7,500円にプラス500円支払うことで両方の店舗を利用できるようにした。

そのどちらのジムにも設置されているのがサーキットである。

他社事例の参考と、現場で培った経験を掛け合わせた独自の設計

サーキットを導入するにあたって参考にしたのがカーブスだ。

「カーブスの誇る高い継続率に着目しました。しかし、我々は彼らとまったく同じことをやるのではなく、ジム・スタジオ型のクラブに彼らが成功している要素を応用できないだろうかと考えました」。枦山氏は導入経緯を、こう語る。

「元々はサーキット自体をあまり肯定的に思っていませんでした。一方で、消費者から支持されているので、何か理由があるのだろうと考えたのです」

実際に導入してみると、今まで集客に困っていたトレーナーも集客できていることに気づき、サーキットの導入効果を改めて実感した。

ベルスポおよびベルジムのサーキットの特徴はレジスタンストレーニングに特化していることだ。90秒を1クールとして8種目を合計で12分掛かけてトレーニングしてもらう設計にしている。

デジタルのタイマーが常に稼働していて、会員さまはそれを確認しながらいつでもサーキットを利用できるようにして、ハードルを下げている。また、円形にマシンを設置せず、あえて背中合わせのレイアウトにすることで、トレーニング中は自分の世界に集中できるようにしている。

スタッフ一丸となってお客さまのサーキットの利用を推奨

通常は、会員さまが入会されるとまず行うのがオリエンテーションだ。しかし、ベルスポでもベルジムでもサーキットがオリエンテーションを代替している。元々のオリエンテーションの方式でトレーニング器具の使い方を指導しても、なかなか会員さまが定着しなかったことが課題であった。それを解決するためにサーキットを導入している。

「サーキットであればひとりのトレーナーが複数の会員さまを同時に見ることができます。オリエンテーションより効果的に指導ができるだけでなく、コミュニケーションも取りやすいのです。まずは週に1回、1周でもいいからサーキットをしてもらうように促すことで、初心者層の継続を促そうとしています」

サーキットエリアの近くにはスタッフが常駐しており、フィットネスジム初心者の方にサーキットでノウハウを徹底的に伝えるようにすることで、その後にほかのエリアも安心して利用できるようにしていくことが継続率向上の鍵となっている。

マシンの性能やサイズにこだわり、それを継続的に利用していただくことで、会員さまの身体に明らかに変化が出始めた。床が摺り切れるほどサーキットを利用してもらった成果だという。さらに、特にベルジムのほうではサーキットから一般エリアへ巣立っていく勇気を、もてない層のパーソナルトレーニングの需要が増えた。

現在は、セールス研修に力を入れていると枦山氏は話し、サーキットを中心にサービスを提供する意義をスタッフ全員に伝え続けながら、お客さまにより付加価値を提供できるスタッフを増やすべく、彼らの意識改革に奮闘中だ。