『LIFESHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社刊)を機に、「人生100年時代」という言葉が日本にも浸透して久しい。各地でも、100歳まで生きることが普通になる時代に向けて健康的に年齢を重ねていけるよう、様々な活動が始まっている。佐賀県・武雄市にあるメディカルフィットネス施設「TAKEOPOWER」でも、テクノジムのBIOCIRCUIT(バイオサーキット)を導入し、健康寿命の延伸に向けた取り組みがされている。
幅広い年代・目的に対応するため総合クラブ並みのアイテムを用意
医療法人なごみといやしが運営するTAKEOPOWERは、同じく同医療法人が運営する「なごみといやしのクリニック」の院長である丸山誠代氏が「人生100年時代」到来に向け、自立した生活ができる期間を1日でも延ばすには運動からのアプローチも重要と考え、2019年にオープンしたメディカルフィットネス施設。
全5フロアからなり、1階に通所リハビリテーション施設、2階にホットヨガスタジオ、3階には機能回復を目的とした医療リハビリテーション施設のほか、ZUMBAやエアロビクスなどが楽しめるスタジオ、岩盤浴室、そして4階をジムフロアとし、様々なマシンを揃える。5階には、現在は新型コロナウイルス禍(以下、コロナ禍)により休業中であるが、武雄市の山々を見渡せるカフェを備えるなど、総合クラブ並みの豊富なアイテムを揃えている。
多彩な設備に魅了され、利用者も30~60代を中心に最高齢は81歳と幅広く、利用目的もダイエットから、高血圧や膝痛緩和など身体の疾患改善など様々であるため、最初のカウンセリングでのヒアリングが重要になる。
「自力での歩行が困難な方は同じビル内にあるデイサービスをお勧めします。そのほか、運動履歴からフィットネス初心者の方には専門用語を使わないなど、まずは“運動=楽しい”というイメージをもっていただけるように意識しています」(スポーツトレーナー江口駿太氏)
現在の会員数は355名(うち法人100名)、男女比は3:7と女性が多くなっている。5月からは月3,500円(税別)のレギュラー会員を追加するなど、より幅広い方に利用していただけるよう、柔軟性を高めて取り組んでいる。
身体の変化を示すことで会員のモチベーションを維持
ジムフロアには、BIOCIRCUITを中心に、同じくテクノジムのSKILROW(スキルロウ)、SKILLMILL(スキルミル)、SKILLBIKE(スキルバイク)、そしてKINESIS(キネシス)とフルラインナップを揃え、スタッフが医師と連携しながら一人ひとりの方に最適なトレーニングを提供している。SKILROWとSKILLBIKEにおいては、漕いだ距離が目の前のスクリーンに映し出され、利用者同士で競い合うことができることもあり、あるご高齢の夫婦もよく利用しているそうだ。江口氏と同じく同施設でスポーツトレーナーを務める吉永瑞基氏は、「意外に負けたくないという気持ちが強いのかもしれません。『競争するのが楽しい』と、来館される度、利用されています」と語る。“だれかと競い合う”こと自体が、ご高齢の方にとっては新鮮なのかもしれない。
メディカルフィットネスの特徴上、ご高齢の方のほか、リハビリのために利用されている方も多いが、生活習慣病改善後の継続率も高い。ここで江口氏、吉永氏が口をそろえるのが、筋肉量など身体の変化を定期的に示すことと、ささいな変化も見逃さず、褒めることの大切さ。さらには、「来館期間が空いてしまっても、まずは来館してくれたことを褒めています」と述べる。いくつになっても褒められることは嬉しいはずだ。さらに体組成の結果などから、自分が進化していることを感じることで、モチベーション高く運動を継続してくれるのだという。
自動調整機能によりご高齢の方にも安心を提供
筋力トレーニングと有酸素運動を繰り返すことで、短時間で効率的に全身を鍛えられるBIOCIRCUIT。その特徴は、専用アプリのAIに制御されたマシンにより、シートの高さや負荷を自動で調整してくれるほか、それぞれの目的に合わせたトレーニングプログラムを提供してくれることにある。
初回利用時に一人ひとりの身体や目的に合わせた設定を行えば、2回目からは専用のリストバンドにてシステムにチェックインするだけ。会員はマシンのコンソールに表示される「次は○番(のマシン)へ」の表示に従って移動すればよく、各マシンのシートの高さや負荷はすべて自動で調整してくれる。
江口氏は、BIOCIRCUIT導入経緯について次のように語る。
「我々スタッフは、ジムでの指導やスタジオレッスン、さらには事務作業といろいろなことに対応しなければなりません。BIOCIRCUITならば、業務の効率化をサポートしてくれると考えました」
吉永氏も、「トレーナーがつきっきりで対応する必要がないことはとても助かります。生まれた余力で、会員さまのフォームをチェックするなど、スタッフとマシンにより、充実したサポートが実現できていると思います」と語る。
それでも、ご高齢の会員さまも多いなか、マシンを使いこなせるか、当初は懸念もあったという。
「最初にマシンを紹介すると『魅力的だけど使いこなせるか心配』と少し戸惑われますが、最初にきちんとご説明すれば、その後はチェックインすれば負荷などは自動調整で、変更も簡単なので『使いやすい』という声を多くいただいています」(吉永氏)
江口氏も、テクノジムのマシン特有のブラックを基調にしたスタイリッシュなデザインに「見て、圧倒される方もいます」と笑うも、「コンソールに表示される波線から円が外れないように動かすだけで正しいテンポが把握できるなど『とても助かる』というお声もたくさんいただきます」と続ける。
実際、取材時にも60~80歳の方が、慣れた様子でBIOCIRCUITを利用していた。その80歳の男性会員は「自分の体力に合った負荷で調整されているので安心してトレーニングできます。もう無理はしたくありませんから」と笑顔で語っていた。
高血圧を改善するため週2~3回利用しているという60代の女性会員も、「自動で調整してくれることは本当にラクです。最初は自動で調整されていることに気づかなかったのですが、『身体にフィットしているな』ということは感じました。薬の効果もあるかもしれませんが、血圧も今は非常に安定しています。ここに来ることでリラックスできるし、通ううちに顔なじみの方もできて楽しく、これからも通い続けます」と、TAKEOPOWERでのトレーニングがすでに生活の一部となっていることを述べていた。
限られたスタッフ数での対応を可能に必要な方へのサポートを手厚く
1周わずか15分で全身を鍛えることができるBIOCIRCUIT。幅広い年代の会員が通うなかで、吉永氏は「短時間で全身を効果的にトレーニングできる点は、時間のない方に最適だと思います」と、魅力を語る。さらに江口氏は「最初に設定してしまえば、あとはひとりで、かつ自分のペースでできることもいいですね」と述べる。実際、会員の1人は「以前は賑やかな施設に通っていましたが、ここは静かに自分のトレーニングに集中できるのがいい」と語っていた。自身のペースでトレーニングを行い、その合間にスタッフとの会話を楽しむというメリハリのある利用方法を実現できることが好まれているようだ。
利用が集中しやすい時間帯など、一人ひとりの会員さまに目を配ることが難しいときはどうしてもある。そんなときに、スタッフの役割の一部をマシンが担ってくれることは、大きな助けとなるだろう。特に、これから深刻化するであろう人材不足の問題や、コロナ禍により、しばらくはスタッフ数も限定しなければならないとなれば、なおさらだ。マシンに今よりもう少し働いてもらうことで、スタッフは必要な方に必要なサポートをより提供できるようになる。TAKEOPOWERでは、これからも「人生100年時代」に向け、介護を必要としない生活の実現に、BIOCIRCUITを活用しながら取り組んでいく。
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