株式会社カーブスジャパン(以下、カーブスジャパン)が手がける女性専用サーキットトレーニングジム「カーブス」は介護予防に一役買っている。女性は特に平均寿命と健康寿命の乖離が大きい。全国に約2,000店舗、会員数約70万人を誇る同社の取り組みがなぜ支持され、どのような効果があるのか訊いた。

歩行能力を向上させる科学的に証明されたプログラム

齋藤 光氏
株式会社カーブスジャパン 常務執行役員 兼 戦略企画部長

カーブスではプログラムを有酸素運動と筋力トレーニングを交互に繰り返すサーキットトレーニング24分、ストレッチ6分の計30分で構成している。
店舗の面積は平均して40坪程度とコンパクトなスペースであり、水回りの設備もほぼ要しないのが特徴だ。そのため、初期投資が総合型クラブと比較して小さく、さらにFC展開をしたため出店数をあっという間に2,000店舗まで伸ばすことができた。

会員さまの平均年齢は約65歳。ターゲットとなるのは、運動をしたいと思っていたが、従来型のジムには通えなかった層である。カーブスの会員さま全体で、ほかの総合型クラブに通った経験がある人はわずか5%未満に止まるというから驚きだ。

一般的に多くの女性は50代後半くらいで体力の衰えを実感し、それを改善したいという課題を抱える。カーブスはその課題に寄り添い、ソリューションを提供する。

介護予防をするうえで特に重要となるのが歩行能力の維持だ。まず、下肢の筋力の維持、そして増強が欠かせない。それに加え、バランス感覚や柔軟性も身体を動かすことで機能低下防止を心がける必要がある。

カーブスが提供するプログラムで効率よく効果を出せることが科学的に証明されている。筑波大学や国立健康・栄養研究所などと連携し、脚の伸展力、大腰筋の太さ、屈伸力などに効果が現れることを突き止めた。

さらに、身体の痛みについてもカーブスのプログラムを実施していくなかで改善が見られた。痛みがあると、ますます身体を動かさなくなるという悪循環からの脱却に最適だ。

その町にすでに存在していたコミュニティを活性化

カーブスはいわゆる一つの集会所のような役割を果たしている。小規模であるため、商圏は自ずと狭くなる。そうなると、その店舗に通っている会員さまは元々の顔なじみである確率が高い。

会員さま同士の共通点も多く、会話もますます弾む。なかにはカーブスに通ったことがきっかけで中学時代の同級生と再会したという事例もあるそうだ。

また、スタッフと会員さまのコミュニケーションも活発だ。

「会員数は総合型のクラブと比較して少ないため、スタッフは会員さまの顔と名前が全員一致しています」と齋藤氏は言う。

こうした場があると、運動不足および会話不足の解消が行われ、認知機能の低下予防にも効果を発揮する。

運動無関心層への啓発活動でフィットネス市場全体の拡大を

「感染予防と経済の両立が必要です。また、過度な自粛による健康被害も報告されているなかで、カーブスの会員さまはそれを理解して今でも継続的に足を運んでくださります」と齋藤氏は話す。

すでにフィットネスジム未経験者を数多く取り込むことに成功しているカーブスであるが、さらにマーケットを広げることを目指している。

「運動をしようと思ったこともない運動無関心層に、運動の大切さをより一層啓発していきたいと思っています。何も手を打たないと歩行能力などが衰えていくことを皆さまに知っていただきたい」と語る齋藤氏。その眼光は鋭い。

運動無関心層がフィットネスに参加することで、フィットネス業界の市場規模、需要がますます増加し、健康寿命の延伸に寄与することができるためだ。

その具体的な施策の一つが、男性専用のサーキットトレーニングジムである「メンズカーブス」である。男性にもサーキットトレーニングの需要が一定数存在し、現在すでに5店舗出店している。

また、地域によっては自治体から介護予防プログラムを受託しているフランチャイジーもおり、地域貢献にも手を抜かない。

カーブスが提供する12週間の介護予防プログラムは他社と比較して、プログラムの継続率およびプログラム終了後のフィットネス参加率が顕著に高く、保健師の間でも好評だ。

カーブスは今後も、フィットネス業界を盛り立て、日本全体の健康産業の中心プレイヤーとして君臨し続けるだろう。