株式会社パルバル湘南スポーツクラブ(以下、パルバル湘南)はJR東海道線や相模線が通る「茅ヶ崎」駅に1店舗を構える。成人向けのフィットネスクラブのほか、キッズ向けのスイミングスクール、スポーツ教室、そしてダンススクールなどを運営している。2020年10月から導入したエイベックス・ダンスマスターのK-POPクラスが前例にないほどの盛況を見せていると聞きつけ、その秘密を紐解く。

本気で教えるダンススクールがK-POP を導入した理由とは

  • 山田 琢氏
    株式会社パルバル湘南スポーツクラブ バイスマネージャー
  • SeulA さん
    エイベックス公認ダンスインストラクター
  • 石川沙南ちゃん
    K-POP クラス受講生代表

パルバル湘南のダンススクールは地域でよく知られている。多くのプロダンサーやアーティストを輩出してきたプログラム、エイベックス・ダンスマスターを’05年から導入し、今では延べ300名近い数の受講生が、日々レッスンに励んでいる。

「HIP-HOPを中心に、本格的なダンスを教えてきました。ダンスの先生が曲を選定し、それにオリジナルの振り付けを考案して指導するというものです」と山田氏は話す。しかし、ひとつ課題があった。それは、子どもたちが踊りたい曲がレッスンで使われるとは限らないということだ。ダンスはジャンルも多いし、もちろん様々な曲があるため致し方ない面はあるが、子どもたちは正直だ。

もちろん、K-POPが子どもたちの間で大人気ということは2~3年前から感じ取っていた。エイベックスもサービスを開始していると知っていたものの、一歩が踏み出せなかった。K-POPが本格的なダンスレッスンというよりも、ライトユーザー向けのコンテンツになってしまわないか危惧していたためだ。しかし、ある出来事をきっかけに山田氏の考えに変化が生じる。HIPHOPを習っていたご息女3人の全員が、鏡の前でK-POPを熱中して踊っているのを目の当たりにしたとき、「K-POPのもつパワーはすごい」と改めて痛感させられたのである。しかし、クオリティには妥協できない。そこで長年の取引があるエイベックスに白羽の矢が立てられた。

募集後すぐに定員を上回りK-POP レッスン数を大幅増加

1回のレッスンを60~90分で行い、3ヶ月ほどで1曲を踊れるようにする。子どもたちはコンテストやオーディションに出場すること、BTSやNiziUなどの聴いたことのある大好きな曲を踊れることをモチベーションに、毎週楽しくレッスンを受けにくる。

「ひとりで鏡の前で踊るより、みんなと一緒に踊ることが楽しいです。また、先生が韓国のダンスならではのポイントをしっかりと教えてくれて、上達が早くなります」と受講生代表の石川沙南ちゃんも笑顔で話してくれた。沙南ちゃんのようにスクールに通いたい子どもたちが、30名近くキャンセル待ちをしているほどの大盛況を見せており、元々2クラスだったものを5クラスにまで増やさざるを得なくなっている。それだけK-POPは子どもたちを惹きつけるキラーコンテンツとなっているようだ。

当初の集客はSNSや自社HPのみを通じて低コストで行った。予算をかけた広告を打たずとも集客ができるのは、K-POPの何よりの強みである。

本当のK-POP を教えられる人をエイベックスから輩出し続ける

ほかのクラブも、既存のダンススクールのなかにK-POPのクラスを導入する検討をしているかもしれない。

確かに、人は集まるかもしれないが、一方でK-POP特有の難しさもある。「韓国式のダンスは日本より動作ひとつとっても基準が厳しいです。Youtubeのダンスをただ見てマネするだけでは、とてもではないですが伝えきれない文化的な違いや芸術的な違いがたくさんあります」そう話すのは公認インストラクターのSeulA(スラ)さん。彼女はK-POPの本場である韓国で東方神起やKARA等のバックダンサー、日本でもBTSのバックダンサーやNiziUのダンスレッスンを担当した韓国人ダンサー率いるプロダンサーチーム「TeamMARU」に所属しているダンスインストラクターである。

沙南ちゃんも小学生ながら、SeulAさんのレッスンの真の価値を理解している様子だった。エイベックスとしては、今後も彼女のような公認インストラクターを増やしていく。それが子どもたちの夢にも直結する。何を隠そう、受講生の中から多くのアーティストを輩出しており、NiziUのメンバーの一部もエイベックス・ダンスマスターの出身だ。

これだけの実績を出しているダンススクールがほかにあるだろうか?そんなエイベックスは、全国の子どもたちに楽しいダンスの場をつくるだけでなく、フィットネスクラブにとっても力強いコンテンツを提供していく。