株式会社フュービック(以下、フュービック)は2021年7月27日付で伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠)と資本業務提携を発表。提携を通じて、店舗に足を運ばなくても生活者の健康をサポートできる体制を強化する。さらに、フュービックは社名をnobitelに変更。その社名の由来や今後の展望に迫る。

コロナへの素早い対応が奏功し前年対比156%の集客を実現

フュービックはDr.stretchを展開するストレッチ専門店のリーディングカンパニーだ。全国に1,000人以上のトレーナーを擁し、生活者の身体の悩みを新たな切り口で解決してきたパイオニアである。

そんなフュービックだが、昨年の新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響がありながらも、’19年を上回る集客を実現してきた。その秘密は何だろうか?

「素早い対応に尽きます。従業員とお客さまにどのように安心してもらえるか考え、労働環境の整備と感染症対策を徹底してきたことが評価されたのだと思います」とCMOを務める竹内氏は話す。

コロナによる’20年の1回目の緊急事態宣言ではDr.stretchも例外でなく店舗をクローズしていた。しかし宣言が解除された6月以降からは、むしろポジティブな出来事が重なった。まず、生活者の健康意識が高まり、ストレッチの重要性を知る機会が増えたことだ。

次に、ライフスタイルの変化だ。周知のようにリモートワークが浸透し、平日の日中であっても時間をコントロールできるようになった。そのような要因が重なり、既存店の稼働率が高まった。

「極めつけは信頼関係です。実は、利用者の8~9割はお気に入りのトレーナーを指名したうえで利用するので、安心して通うことができています」と竹内氏は話す。だが、フュービックは現状に満足せず、さらなる仕掛けを構想し、今回の資本業務提携を決定した。

伊藤忠とのタッグにより新たなウェルネス領域に進出

フュービックも伊藤忠もトップアスリートやプロスポーツチームの支援などを通じてスポーツ領域とは密接に関わってきたという共通点がある。お互いのスポーツ領域にかける情熱が共感を生んだ。

「私たちは店舗ビジネスですが、生活者の全員が必ずしも足を運べるとは限らないので、店舗外でも健康のサポートができるようなプロダクトの開発を目指しています」と竹内氏は今回の資本業務提携の背景と目的を説明する。

具体的には、Dr.stretchで培ったコアバランスストレッチの技術と、伊藤忠が強みとしているアパレル領域を掛け合わせた商品を世の中に送り出そうとしている。発売が待ち遠しい限りだ。しかし、フュービックの大胆な仕掛けはこの資本業務提携に留まらない。

nobitel(のびてる)へ社名を変更し新たなステージへの挑戦

8月30日、フュービックという社名を株式会社nobitel( 以下、nobitel)へ変更を発表。新社名に変更したきっかけは何だろうか? 「コロナをきっかけに世の中がパラダイムシフトしたタイミングで、今の状況を第三創業期と捉え、社名を変更するに至りました」と竹内氏は話す。

nobitelの由来は、まずもって同社のストレッチ専門という強みの事業を、さらに伸ばしていくという決意を表している。目指す社会を表すタグラインは「カラダ柔軟、ココロ柔軟、ストレッチウェル」で、身体も心も絶好調な状態を、各サービスを通じて提供していくことだ。

「私たちは『ストレッチを文化にする』というミッションを達成するために企業活動を行っています。」と竹内氏は話すなかで、このタグラインはまさにしっくりくる。

しかし、従来型の店舗ビジネスに留まるわけではない。伊藤忠との新アパレル開発以外にも、DXを推進していくことで、オンライン上でも顧客体験価値を提供できるサービスを開発していく。nobitelの「tel」はテレコミュニケーションを意味する。これからまさにDXをしていくということも表しているのが、今回の社名変更の全体像だ。

「’21年秋には、別の大きなリリースを控えています」と竹内氏は得意げな表情で話す。フィットネスビジネスとしても、新しく生まれ変わった同社の新しいチャレンジを追跡していくのが楽しみである。