世界はコロナで変わったんじゃない。うわべだけのものが全部ばれ、本質的なものが要求されるようになったということです。企業は業績悪化をコロナのせいにしているけれど、ちゃんとした経営をしていない企業は以前からしていないんですよ。

こう看破したのは、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正氏であるが、総合業態を主力に展開していた既存のフィットネス運営企業にも、この言葉は当てはまるのではないだろうか。

実際に、この10数年の間に様々なコンセプトの小規模業態に囲まれた総合業態のフィットネスクラブの業績は、ダウントレンドをたどっていたのではないか。

しかし、やり方次第で、再生は可能と考える。

では、どうしたらよいのか? 重要な3つの条件を挙げてみた。

1.新規入会者の運動習慣づくりのサポート

総合業態であろうと、対象顧客を定めることは大事だろう。例えば、「フィットネス初心者」をメインの対象顧客にして、訪問時や入会時から、「丁寧に」運動習慣づくりをサポートしていくのである。

「丁寧に」と書いた。「フィットネス&スパLEALEA」(株式会社ラストウェルネス)や「メガロス」(野村不動産ライフ&スポーツ株式会社)、「ディーズスポーツプラザ」(株式会社ディーズ)が取り組んでいるように、新規入会者が、クラブのもつすべてのアイテム・設備、プログラム・サービスをよく理解して、使いこなせるようにきちんと案内したり、一緒に利用したりしながら、メンバー同士を結び付けるような取り組みをして、クラブに安心感をもって、そして定期的に来ることができるようにしていくのである。

一定の期間、たとえ追加のフィーをいただいてでも、こうして運動習慣づくりやクラブに馴染めるようにサポートしていくことは重要だ。

当然のことのように思えるかもしれないが、コロナ前はできていなかったのではないか。今もまだできていないクラブがほとんどだ。

一時的に業績は下がるかもしれないが、入会者が継続的に利用できるようにする仕組みが機能していないクラブは、構造的な欠陥を抱えているといえる。

まずは、制約条件理論(エリヤフ・ゴールドラット)でいうところの「ボトルネック」を解消しなくてはならない。

そこを解消せずして、セールスやプロモーションを強化するのは、ナンセンスだ。バランスループ(負の連鎖)を生じさせているに等しい。永遠に誰も幸せになることはない