欧米ではロックダウン中にオンラインフィットネスが広がった。
ジョンソンヘルステックは、欧米のフィットネスクラブを通じて、メンバーの自宅にバイクを設置し、スタジオレッスンを受講できるようにするサービスを既に展開しているが、同様のサービスの日本での展開を計画している。
サービスの概要や今後の展開について、ジョンソンヘルステックジャパン株式会社代表取締役高橋 達夫氏、同社マーケティング部部長輿水 亮氏に訊いた。
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高橋達夫氏ジョンソンヘルステックジャパン株式会社 代表取締役
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輿水 亮氏ジョンソンヘルステックジャパン株式会社 マーケティング部部長
フィットネスクラブ経由で、バイクとコンテンツをサブスクモデルで販売へ
まずジョンソンヘルステックのグローバル本部が、欧米のフィットネスクラブを通じて、メンバーの自宅にバイクを設置し、スタジオレッスンを受講できるようにするサービスを始めた背景についてジョンソンヘルテクジャパン株式会社代表取締役高橋 達夫氏は、次のように説明する。
「欧米では、多くの国が、コロナ下、ロックダウンとなりました。それにより、大きくフィットネスユーザーの行動が変わりました。グラフ1は、マッキンゼー社がまとめた『SportingGoods Report 2020/2021』 からのデータですが、ご覧いただいてわかる通り、ジムに行けなくなったユーザーの多くは、スタジオには行かずに、ストリーミングやアプリなどを利用してフィットネスを続けていました。
それらに次いで多かったのが、ネットに接続した器具を利用してのトレーニングでした。
また、トレーナーから直接指導してもらうようにしたユーザーもいました。
それからグラフ2を見ていただくと分かる通り、コロナ前と比べて今後増えていくだろう身体活動はどんなものかとの問いに、1人でもできるアウトドアエクササイズを挙げるフィットネスユーザーが多かったのですが、それを除いて多かったのが、デジタルインストラクションを伴うホームエクササイズや自宅でのセルフエクササイズ、さらにヨガ・ピラティスやバーチャルトレーニングでした」
欧米は、デジタルを活用したホームフィットネスに急速に、ユーザーがシフトしていったことが、読み取れる。
さらに、同氏は、重要な視点として、次の点を強調する。
「ユーザーは、単にトレーニングを自宅でデジタルを活用してするようになっただけではなく、睡眠やメンタル、栄養や日常的な行動など、健康的なライフスタイルがとれるように、それぞれの専門家に相談したり、自分自身で調べたりして、最適化しようとしていたのです」
つまり、ポストコロナを見据えて、フィットネスクラブは、会員に対して、オフライン、オンラインの両方をユーザー都合で選べるように、そしてサービスを拡充して、トータルにヘルシーなライフスタイルがとれるような提案をしていくことが必要になるということだ。
そこで、ジョンソンヘルステックジャパンとしては、まずホームフィットネス用のマシンにBluetooth・FTMS機能をつけた。これによりZWIFTなどのアプリと連携できることになり、さらにそうしたアプリを活用してトレーニングをする際には、マシンでのパフォーマンスが画面内にも反映されるようにもなるという。
そして、この次に、いよいよフィットネスクラブ経由で、「マトリックス」ブランドのホームフィットネス用バイクと専用コンテンツをサブスクモデルで販売していただき、ネットフリックスを見るようなイメージで、自宅でのエクササイズを楽しめるようにしようと計画している。一定期間の縛りはあるが、バイク代も含めて、月額3,000~ 5,000円程度で会員に提供し、クラブと同社でレベニューシェアしていく。
クラブは、本サービスを起点に、会員がオフライン、オンラインにかかわらずヘルシーなライフスタイルを実現できるように、その他のサービスも含めたバリュージャーニーをデザインして、提供していくことになるのだろう。
既に、欧米のフィットネスクラブでは、こうしたサービスを既に始めている。
「こうした企業の予測では、このようなサブスクリプションサービスを会員の1〜5%ほどが利用してくれるのではないかとみている」(高橋氏)ようだ。
高橋氏は、フィットネスクラブに置くバイクと家庭用のバイクを組み合わせて、関係者―会員・インストラクター・クラブオーナー―がそれぞれにハッピーになれる構図を脳裏に描いている。
世界180人以上のインストラクターが登場、プログラムも定期更新
オンラインプログラム「iFit」を搭載した「マトリックス」ブランドのバーチャルサイクルとは、どのようなものなのだろうか?
同社マーケティング部部長輿水 亮氏に訊いた。
「バイク自体の高性能さは、すでにお使いになっているみなさまからたいへん好評いただいているのですが、やはり最大の魅力は、そのコンテンツです。
アプリと連動していて、大きく見やすいタッチスクリーンで観たり操作できたりするのですが、マトリクスオリジナルのコンテンツ―Sprint 8(20分間で完結する効率的HIIT系プログラムを用意)、バーチャルアクティブ(世界中の実在する美しい景色30コースを臨場感の音で提供)、ターゲットトレーニング(パーソナルゴールを設定し、進捗を3色のカラーでフィードバック)―に加えて、iFitとの提携で供給されることになったコンテンツが素晴らしいのです。
さらに、Googleストリートビューで好みのルートを設計した後、そこをなぞるように走ることができたり、オンラインでスタジオクラスにアクセスできたり、YouTubeやネットフリックスや音楽などを自由に楽しめます。
それからZWIFTなどのアプリとも連携できますので、楽しいエクササイズを拡張的に楽しむこともできます」
iFitとの提携で供給されるコンテンツには、15の双方向のプラグラムが定期的に更新され配信されるので、会員は飽きることがないという。
そのコンテンツは、世界50か国以上の場所で撮影されたもので、180人以上のワールドクラスのインストラクター・トレーナーが主演している。
さらにオプションで、こうした優れたインストラクター・トレーナーのLIVEレッスンにも参加することができるという。
「『マトリックス』ブランドの創設から20年ということもありますので、12月のSPORTECでは、大々的に『iFit』を搭載したバーチャルサイクルを展示して、そのハードとコンテンツの魅力を多くのみなさまにお伝えしたいと思っています」
デジタルテクノロジーを活用した、ジョンソンヘルステックジャパンのフィットネスサービスがクラブだけではなく、会員の自宅や勤務先にも届けられることになり、ユーザーは時間や場所を選ばず、シームレスにリッチなフィットネス体験を楽しめることになった。
ハイブリット時代にふさわしい新しいフィットネスライフスタイルが拡がるきっかけになるのかもしれない。