スモール事業者が増えてくるのは当然の流れ

ラスクル、ケアプロ、博報堂、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA、Aub、未来創造機構、ミーミル、トラス、JCC、テックフィード、キャディ、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、JAXA、セルム、FVC、日本農業、JR東日本スタートアップ、ガラパゴス…。

ミスミに入社して新規事業開発に従事し、その後同社の創業者の田口弘氏とともに新規事業の専門会社エムアウトを創業した後、守屋氏自身が、新規事業の立ち上げや起業に関わった会社が、これらだ。全部で52事業。

シリアルアントレプレナーやパラレスアントレプレナーと呼ばれる起業家が近年増えてきているが、これほどの事業に関わってきた人物は少ないのではないか。その道30年。前半の20年間のビジネスマン時代は「5勝7敗5分」と負けを経験しているところもいい。

なぜならそれだけ難しい事業に挑戦しているということであり、人は勝ちだけではなく負けの経験からこそ重要な教訓を得られるからだ。まさに、新規事業の立ち上げや起業の達人といえよう。

そんな守屋氏に、スモールビジネス立ち上げ~成功へのヒントを訊いた。まず起業における成功と失敗についてだが、守屋氏は近著『起業は意志が10割』(講談社刊)のなかで、次のように述べている。「成功=着手しきれた時、失敗でも十分にやった時。失敗=着手しなかった時、実行を見送り続けた時」。

何もしないことの愚かしさよりも、たとえ結果として失敗するにしても行動を起こし、精一杯にやろうとする逞しさをもつ人物のほうが、成功に近づけるということだろう。

では、ビジネスに着手した後、初期の段階を十分にやり切り、成長へと向かうためにはどんなことがポイントになるのだろうか?

それには、スモールな事業から着手したほうがいいのだろうか?

「いや、大前提として、スモールから始めるのがいいかどうかは、その起業家本人がどう考えているかによると思います。世界市場を視野に入れてスケールすることを目指している人が、『スモールでいい』とは言わないでしょう。逆に、隣人の喜ぶ顔が見たいと思っている人は『スケールしたい』などとは言わないでしょう。そもそも何をしたいのかということが一番大事になります。たまたま実現したいことがスモールで済むことでしたら、それはスモールから始めるのがいいということになるでしょう