年を追うごとに進んでいく少子高齢化。そして年に40兆を超える国民医療費。日本が早急に解決しなければいけないこれらの課題には、あまりに強い相関があるだろう。医療技術の高度な発達により、人生100年時代が到来したと言われているが、それは必ずしもポジティブな文脈ではなく、無理な延命と捉えられてもおかしくない。そして、これらの課題を解決するための最たるソリューションこそ、医療領域に特化したフィットネスである「メディカルフィットネス」だろう。本記事では、北海道の道東エリアで唯一本格的なメディカルフィットネスを提供しているPHYSITに密着した。

大森達也氏
株式会社Physit 代表取締役社長

未熟な自分への悔しさが開業のきっかけに

北海道の北見市(1号店)と網走市(2号店)に店舗を展開している「PHYSIT CONDITIONING」(以下、PHYSIT)は、整骨院を併設しメディカルフィットネスを提供するスポーツクラブだ。「夢を叶え、最高の人生を送るための身体づくりをサポートします」というコンセプトの元、道東エリアにおける人々の健康を幅広く担っている。

代表トレーナーである大森氏は、札幌の整形外科病院で、プロスポーツ選手やオリンピック選手などのトップアスリートの治療やトレーニングに従事。これまでにコンサドーレ札幌や全日本女子スキージャンプのトレーナー、2018年平昌五輪銅メダルを獲得したカーリングチーム「ロコソラーレ」のチーフトレーナーも経験してきた。

現在は、公益社団法人北海道理学療法士会理事・道東支部長として、地域医療にも携わるとともに、日本オリンピック委員会 強化スタッフとしてサポートおよびトレーニング指導を行っているだけでなく、地域の子供たちが将来の国際大会での活躍を目指すためのスポーツ普及と育成のサポート活動にも精力的に取り組んでいる。

そんな大森氏がPHYSITを開業した経緯、そしてメディカルフィットネスを提供し始めた背景には、目の前のお客さまに手を差し伸べることができなかった過去があった。

「私は体育学校を卒業後、トレーナーとしてスポーツクラブに就職しました。その際、『ゴルフをすると腰が痛い』『朝野球で肩の調子が良くない』など、身体の不調を訴える会員さまが多くいらっしゃいましたが、残念ながら当時はそれらの悩みを解決できるだけの設備もなかったですし、自分の知識やスキルも足りておらず、とても歯痒い思いをしました。そういった方々を救いたいという思いから、その後理学療法士の免許を取得し、札幌の整形外科病院を経て、20年越しに、メディカルフィットネスを主軸としたフィットネスクラブであるPHYSITを開業するに至りました」

今では、フィットネスの考え方が都心だけでなく地方にも広がっていき、北見市にも総合型クラブや24時間ジムがいくつか見られるものの、大森氏がPHYSITを開業した当時は、人口に対する施設数が全国ワースト10に入ることも珍しくないほどだったという。そのような状況下で、地域住民の健康増進そして機能改善にPHYSITが寄与したことは間違いなく、その功績はあまりにも大きい。

ニーズだけでなくレディネスに沿ったソリューションを提供

大森氏は、地元である北見市だけでなく網走市にもPHYSITを展開しているが、その経緯について同氏は以下のように話す。

「北見も網走も、身体の調子が悪く困っている方が非常に多いのです。もちろん程度は異なり、病院で診てもらわなければいけないくらい重症の方や、医療に頼るほどでなくとも何らかの治療を施す必要がある方、それぞれいらっしゃいます。大都市ではそれらをカバーできる施設はいくらでもありますが、地方になればなるほど、医療も充実しておらず健康増進施設もほとんどないというのが現状です。だからこそ、どちらのニーズ(医療と健康増進)にも対応できるメディカルフィットネスの意義は大きいのだと思います」

とりわけ網走においては、北見に比べていまだにフィットネスの認知度は低く、PHYSITのように充実した設備をもつフィットネスクラブはほとんどない。そのため、北見店と網走店ではそれぞれ別のアプローチを行っているという。

「先ほどお話ししたように、北見ではフィットネスへ関心をもつ人が増えており、それに合わせてニーズがハッキリしている方も多くなっている印象です。そのため、北見店に来てくださる方の多くは比較的年齢層が高めでメディカル寄りの指導を求めています。対して、網走ではスポーツクラブの認知自体がほぼないため、メディカルの要素を加えると複雑になりすぎてハードルが高くなってしまいます。そこで、まずはフィットネスの要素を多く含ませた明快なアプローチを行った後、『実は身体の不調は病院でなくても改善できます』と、徐々にメディカルフィットネスという概念を広めていきたいですね」

お客さまのもつ課題やニーズに対してソリューションを提供するのはもちろんのこと、お客さま自身の、自分の身体への理解度やフィットネスへのレディネス次第で、アプローチの質や強度を変えているということだろう。

夢のために始めたパーソナル指導 普段の生活にも大きな変化が

ここで、PHYSITの実際のエンドユーザーさまの声を紹介したい。今回インタビューにご協力いただいた花田眞由美さん(以下、花田さん)は、走ることが大好きで、フルマラソンを完走するのが夢だという。退職をきっかけに以前通っていたスポーツクラブを退会、より自宅に近いPHYSITに入会し、自身の夢のためにトレーニングを続けていたものの、家庭内での事故により右膝の靭帯を2本切ってしまった。

「手術も検討していて、フルマラソンへの挑戦はもう無理だと思っていたのですが、インストラクターさんからの、『手術をしなくとも、トレーニングで筋肉をつけることで十分に改善できるので、一緒に頑張りましょう』という一言から、手術をしないと決断しました」(花田さん)

これまでご自身でのみトレーニングしていたものの、今回の事故をきっかけにPHYSITのパーソナルコンディショニングを開始。身体機能の改善・向上に向けてトレーニングをした結果、今でも靭帯1本は切れたままにもかかわらず、怪我をした以前よりも筋肉が強くなり走っているときの安定感が増したという。身体の数値を見ても、体重2キロ減、筋肉量2キロ増、体脂肪率が24%から17%へ。身体が軽くなり、走りやすい体型になった。さらに、ライフスタイルのなかでも明確な変化があると花田さんは話す。

「毎日孫を3人見ているのですが、一緒に遊んでいても疲れなくなりました。また、寝起きもとてもよくなりましたし、体の状態が、40代の頃と同じくらい調子がいいです。走るためにパーソナルトレーニングを受けていますが、身体全部を見直すきっかけになりました。外反母趾が治ってきたり、バランス感覚がよくなったり、肩こりが治ったり、良いことがたくさん。パーソナルコンディショニングは、今後もずっと続けていきたいです」

まさに、「夢を叶え、最高の人生を送るための身体づくりをサポートします」というコンセプト通り、もはやそれ以上の価値を提供していることが、お客さまの声からもわかる。

テクノジムと共創し、最高のメディカルフィットネスを

唯一無二のメディカルフィットネスソリューションで、道東エリアの健康を支えているPHYSIT。各種マシンやアイテム、システムもテクノジム製品を揃えているが、その最たる理由は何なのだろうか。

「お客さまのさまざまなニーズに対応可能という点が、大きな理由です。PHYSITのお客さまは年齢層も幅広ければ抱えている課題や症状も違いますし、アスリートの方々も利用します。ただ『痩せたい』や『筋肉をつけたい』といった見た目上でのお悩みだけでなく、リハビリテーション/身体機能向上のための指導や、花田さんのような方々の『夢を叶えるためのお手伝い』もしなければなりません。テクノジム社には、高齢者の方の歩行をサポートするマシンや、ランナーの方が効率よくトレーニングを行うためのマシン、ファンクショナルトレーニングを指導するためのマシンなど幅広いラインナップが揃っていますし、mywellnessの利用でお客さま個人の運動管理も可能ですので、まさに理想以上です」

大森氏が20年前に感じた「お客さまの声に応えることのできない無力感」は、大森氏自身の知識やスキルによるものもあっただろうが、「十分に指導・治療するだけの環境が整っていなかったこと」も要因としては大きいのだろう。

今、PHYSITには、代表である大森氏を筆頭とした素晴らしいスキル・マインドをもったトレーナーの方々に加え、テクノジム社が提供する、人間工学に基づいたマシンの数々やお客さまの日々の健康を管理できるハイテクなシステムが揃っている。そのような環境があるからこそ、お客さまの夢だけでなく、大森氏自身の20年越しの想いを叶えるためのメディカルフィットネスソリューションが実現できるのだろう。

今後のPHYSITの、道東エリアにおける活躍に期待したい。