スポーツクラブNAS株式会社(以下、スポーツクラブNAS)は、総合型フィットネスクラブの草分けのような存在で、1970年代から同サービスを提供しており、現在は全国に71店舗、北は北海道から南は九州まで店舗を展開している。

その歴史ある同社としても初めて経験することになった、コロナの感染拡大。多くの施設同様、同社も日夜の報道、社会情勢の変化による影響を大きく受け、迅速な対応を迫られることとなった。

その1つとして取り組んだのが、オペレーションの効率化だ。会員管理・予約・決済システム「hacomono」を導入したことで、運営が大きく改善したという。現在、7割(2022年3月現在)の店舗に導入が進んでいるというが、その魅力とは何だろうか? 実際に「hacomono」を利用する3店舗の担当者に話を聞いた。

  • 大脇健一朗氏
    スポーツクラブNAS 株式会社 大分店
  • 井上祐介氏
    同 小阪店支配人
  • 新里 隼氏
    同 高尾店支配人

オペレーションの見直しが重要かつ緊急の課題に

withコロナ、afterコロナという言葉も生まれているが、フィットネスクラブも社会の変化に対応しなければならない。

かの有名な「進化論」を執筆したチャールズ・ダーウィンは「生き残る種とは、最も強いものではない。 最も知的なものでもない。 それは、変化に最もよく適応したものである」という名言を残しており、フィットネスクラブについても従来のやり方に固執していては恐らくコロナ禍を乗り越えることはできないだろう。

総合型フィットネスクラブとして日本に誕生してから長い歴史を誇るスポーツクラブNASも、数々の取り組みを行うなかで、激しい時代の変化に適応している。では、コロナ前のオペレーションはどのようなものだったのだろうか?

「紙を多く印刷していました。例えば、スタッフのシフト表、インストラクターの代行案内、スタジオレッスンのスケジュール表などです」と話すのは、大分店を担当している大脇氏だ。

また別の観点から、小阪店の支配人である井上氏は「スタジオの予約受付、スタジオ前にできた行列への対応、電話対応、料金の支払い対応など、人員を割かなければならないタスクが山のようにありました」と話す。

高尾店で支配人を務めながら、同じくこれらに課題を感じていた新里氏は「コロナ禍の2年間は経営的にはもちろん難しい期間でしたが、裏を返せば様々なことを見直すためのいいきっかけになったと思います。特に、見えない原価をどのように減らすかをテーマに、DX化に力を入れてきました」と語る。

長期的な目線でペーパーレス化を推進

まず取り組んだのが、無駄な印刷物をすべて廃止するという取り組みだ。1回あたりの印刷がたとえ数枚であっても毎日のこととなれば、塵も積もれば山となる。

「大分店では、レッスンスケジュール表の紙での配布を廃止して、web掲載に移行しました。シフト表についても紙からタブレットでの確認とすることで、急なシフト変更があった場合でも入力するだけで済むようになりました」(大脇氏)

「小阪店ではキャンペーンなどの告知をチラシからLINEへ切り替えました。そうすることで、ペーパーレスの実現のみならず、より確実に会員さまへ周知できるようになったと思います」(井上氏)

印刷する紙の量を減らすことは、業務そのものの効率化につながるケースも多い。「まだまだペーパーレス化できる余地は大きい」と新里氏は分析しており、今後も取り組みを継続していくようだ。

レッスン開始前にできていた行列がweb化で解消

スタジオを抱えるフィットネスクラブは、オペレーションをスマートにすることがコロナ禍で一層求められるようになった。もちろん、スポーツクラブNASも対応している。それらは、「店舗ビジネスの、ネクストスタンダードをつくろう。」という想いでサービスを展開しているhacomonoのソリューションによるものだ。

「特に人員を割く必要があったのが、レッスン開始前の会員さまの行列を整理する業務でした。感染症対策のため、会員さま同士の私語を極力お控えいただくために、スタッフが張り付いていなければなりませんでした。小阪店の場合はスタジオが2つあるため、常に2人が担当せざるを得なかったのです」(井上氏)

この課題を解決したのが、レッスンの予約機能。店舗に足を運ばずとも、会員さまは開催の14日前から好きなレッスンを予約することができる。

「今までは、店舗に来て並んでいただかなければ参加できるかできないか、わかりませんでした。それゆえに行列が発生していたのですが、それがすべてweb上から事前予約かつ場所まで指定できるようになったことで顧客体験が格段に向上したうえ、感染のリスクとなる密も回避することができました」(新里氏)

行列が発生しなくなったということは、今まで身動きがとれなかったスタッフ2人も、別の業務にリソースを割けるようになったということになる。まさに、会員さまと運営者にとってwin-winとなるソリューションといえるだろう。

スタッフの作業時間を短縮しより付加価値のある接客へ

スポーツクラブNASではほかにも多くの場面でスタッフの業務負担を減らしている。予約システムによって行列をなくしただけでなく、予約の電話対応も不要となったためだ。

「hacomonoを導入する前、ホットヨガのレッスンは電話で予約を受け付けていたのですが、予約開始の瞬間は電話が殺到するため、必ず複数のスタッフを配置する必要がありました。人気のレッスンだと、予約開始5分で定員に達することもあり、電話がつながらない間に受付終了となってしまうなど会員さまにもご不便をおかけしていたのですが、完全に解消されました」(大脇氏)

また、hacomonoには予約だけでなく決済機能もついているため、それに関する業務負担の削減にも役立っていると、大脇氏は次のように続ける。

「フロントでの金銭の受け渡しがなくなり、会員さまご自身で予約〜決済までが完了するので、利便性が高まりました。大分店ですと予約だけで月に大体300件の電話対応が必要だったのですが、今では一切必要ありません。特に、急なキャンセルによる返金対応などのイレギュラーが発生してもシステム上で完結できるので、本当に重宝しています。また、web上で気軽に予約ができるようになったことで、これまで並ぶことを嫌っていた方が参加してくれるようになったのか、参加者が増えたことを感じています」

この事例から、予約や決済に関する業務の効率化を実現すると、間接的に売上の増加にも寄与しうることがわかるだろう。

店舗間で分析結果を共有しクラブを最適化するヒントに

どのレッスンが、どの会員さまに支持され、いつ、何人が参加したのかという情報は、その後のレッスンスケジュール作成やプログラムの開発に必要だが、ここでもhacomonoはフィットネスクラブをサポートしている。

「カラフルな配色で、どのレッスンが人気なのか一目でわかるようになっているので助かります。スタジオやアクアプログラムの研修時にも、その情報をスムーズに共有できるようになりました」(井上氏)

かつては、レッスンに参加した人数を各インストラクターに報告してもらっていたが、その手間が省けるうえに、人数の数え間違いも起こらない。より早く、より正確な数値を元に分析をし、それを店舗間で活用することで、会社全体でスタジオやプールの稼働率を高めることにつながっている。

複数のツールで全年齢層に対応し会員さまとコミュニケーション

新里氏が特に価値を感じている部分がhacomonoのコミュニケーションツールとしての一面だ。例えば、レッスンに急な変更が発生した場合、予約サイトを通じて該当者にピンポイントでメールを送ることができる。全体的なアナウンスであれば、予約サイトに掲示することで、周知が可能となる。

「予約サイトは、店舗のホームページよりも会員さまに毎日のように見ていただける場所となっています。そのため、貼り紙が不要となり、ペーパーレスにつながっています。また、LINEとメール両方の配信機能がついているので、どの年代の方にも最適なツールでリーチできるところが素晴らしいですね。ご高齢の方はLINEよりもメールを好まれる傾向にあります。なかには手紙を送って欲しいという方もいらっしゃるのですが、そこはwebから操作いただけるよう丁寧に説明しています。実際に触ってみていただければすぐに慣れてくださいます」(新里氏)

LIVE配信サービスの拡大を含めさらなるDX化を推進

最後に、今後の課題や展望について話を訊いた。

「やはり最初は、操作について丁寧にサポートすることが大切だと思います。そうすることで、会員さまもスムーズに利用できるようになります。将来の効率化を見据え、そこにはしっかりとマンパワーを割いていこうと考えています」と新里氏は話す。そして、自社のオペレーションをITで効率化できる余地はまだまだ多いと述べる。

大脇氏は、hacomono導入のきっかけとなった「いろいろな方が便利にレッスンを受けられる環境をつくること」を目標として述べ、それによって、会員さまの満足度と継続率の双方を高めていくことを目指していきたいと語った。

続けて井上氏は、2020年末より開始した、レッスンのLIVE配信サービス「NAS LIVE」の活用を通じて、たとえ店舗に足を運べなくても運動習慣を継続できる環境を提供することの重要性に触れた。

いざ店舗に足を運びたくなれば、hacomonoから予約すればよいので、クラブへの復帰のハードルが下がる。ハード面が充実した総合型クラブだが、これからはソフト面の強化もカギとなるだろう。