コロナ禍で甚大な被害を受けたフィットネス業界。日本においては、未だに業績の回復に苦しむフィットネスクラブが多数を占めるなか、欧米のフィットネスクラブでは、高い回復ぶりをみせている。

高い回復率をみせるクラブとそうでないクラブとの差は何か。また、日本のクラブは海外の成功事例から何を学び実行していくべきなのか。2022年6月にアメリカのフロリダで開催された「IHRSAコンベンション」から得られた知見をもとに、Fitness Business編集長の古屋武範、副編集長の岩井智子が質問会を行った。

Part1では、海外の最新事例や成功するための要素について、Part2では、実際に日本でクラブ運営に携わるセミナー参加者とのQ&Aを紹介する。

米、コロナ前の8割の戻り

アメリカのフィットネスクラブの業績回復率は、平均してピーク時の約80%、優良クラブでは85%、コロナ前の業績を超えているクラブも存在する。日本では、総合型クラブでも8割に満たないところが多く、アメリカと比較すると差が生まれている。その傾向を以下に示す。

まず、月会費30ドル以内の安価なフィットネスクラブは高い会員の在籍率で推移している。高価格帯のクラブであってもファミリー層を対象としたクラブでは成功を収めている。コロナ禍で、家族全員で健康に投資しようする人が増えているのが要因だろう。反対に、月会費が30~80ドルの中価格帯のクラブは苦しんでいる。だが、コロナ前から適切な企業文化があり、戦略をとっているクラブは堅調だ。

プログラム・サービス別では、パーソナルトレーニングを実施しているクラブでは戻りが遅く、スモールグループのファンクショナルトレーニングが人気となっている。また、ヨガやカーディオ系のエクササイズなど、もともと人気の高かったプログラムが不調となり、メンタルケアやコンディショニングなどが求められている。コロナによって運動から離脱した人を対象に、現状の身体レベルをアセスメントし直すサービスも人気となっている。

さらに、都市部よりも郊外のクラブの方が会員在籍率は高く、イギリスでもファミリー向けの郊外型クラブが該当する。大都市では、ロックダウンによって集客難に陥り、大手クラブであっても破産しているケースもあっ