私たちには、毎日無意識にこなしている行動があります。

マスクでお出かけして、検温、除菌。

帰宅したら手洗い、うがい。

そして、おおむね決まった時間にお風呂に入って、ニュースをチェックして就寝します。

曜日によって異なりますが、人にはそれぞれ1週間の生活リズムがあります(特に、歩数メモリーをみると明確)。

ルーティンに沿って日々を過ごすことで、人は無意識に快適だと感じています。災害やパンデミックなどによって、この生活リズムが壊されたときに、不快な日々を送ることを余儀なくされ、知らず知らずのうちに健康を失ったりします。

このことは、今まで活動的であったシニアほど、フレイル(虚弱)に陥る可能性が高いこともわかっています。

ルーティンメーカーという職種

これからのパーソナルトレーナーの役割は、こうした生活ルーティンのリズムメーカーとなることが期待されるかもしれません。健康寿命延伸に向け、情報提供や健康教育的な介入をするライフスタイルコーチです。決して大それた介入ではなく、小さなおせっかいレベルのナッジで構いません。

ナッジ(nudge)とは、「軽く背中を押す、肘でつつく」といった意味で、人々が行動を選択するときの癖(惰性・バイアスなど)を理解して、自発的に行動したくなるように、「小さなきっかけを与えて、人々の行動を変える戦略」を意味する行動経済学理論です。

最近では、保険会社のCMや検診受診やワクチン接種率向上施策として目にする機会が増えてきました。

ナッジは健康教育とセットで

ナッジは、最初の一歩を踏み出すキッカケづくりには最適ですが、継続させるにはヘルスリテラシーを高める健康教育やコーチングをセットで支援する必要があります。フレイルに陥る手前の早い段階からの介入であれば、可逆性の原理に沿って健康を取り戻すことが可能です。

介入のはしご(大島明2013)によれば、人を動かす4段階は以下の通りとなり、ナッジは2段階目の健康行動へのキッカケ提供となります。

1)情報提供

2)背中を押す(ナッジ)

3)ご褒美(インセンティブ)

4)強制

ナッジのフレームワークEAST

人に行動を促すために効果的な条件として、簡単で(Easy)、魅力的で(Attractive)、皆がやっている(