小型のパーソナルスタジオや、マイクロジムが増えている。なかでも、経営が順調な施設の成功要因は何だろうか。本連載で、マーケティングや経営・運営の手法に迫る。第57回目は東京都世田谷区豪徳寺にあるFLATTE豪徳寺店。OMO(Online Merges with Offline)型のセミパーソナルジムを運営している。

●コンセプト
運動へのハードルを徹底的に下げたカフェのようなジム

株式会社ファノーヴァは東京都世田谷区の駒沢大学駅前に、FLATTE駒沢大学店を2021年6月に新規オープン。’22年4月には、2号店となる豪徳寺店をオープンさせた。元々インバウンド向けの美容事業を展開していた同社が、フィットネス業界で事業の拡大を図っている。

舟久保氏は、日本の美容体験を世界に広めるため、’19年に同社を設立。インバウンド向けの美容ツーリズム事業を行っていた。しかし、新型コロナウイルスによってマーケットが縮小。新たな事業を模索するなかで、日本のフィットネス業界には、まだポテンシャルがあると気づいたという。
「海外で美容事業を展開していたときに、現地の人が当たり前のようにジムに通っていたことを思い出しました。日常の一部になっているイメージ。その辺では、日本はまだそこまで到達していないのかなと思いました」

日本では、フィットネスクラブに対して、キラキラしたイメージが先行している人が多く、心理的なハードルが上がっていると考え、心理的にも物理的にもハードルを徹底的に下げることをコンセプトとした。

FLATTE(フラッテ)はふらっと気軽に立ち寄れるという意味と、カフェに行ったような気分になれる世界観を実現するという意味で、カフェラテのラテをあわせた造語である。「カフェに行った後のように、その1日が少しだけ幸せになれるような世界観を実現したい。社内でも『フィットネスで毎日を彩る』という言葉を共有し、生活動線の一部にしてもらいたいというコンセプトをもっています」と舟久保氏は快活に話す。

また、ハードルを下げるという意味においても、オンラインとオフラインを融合したOMO型を採用している。コロナ禍で注目を集めたオンラインフィットネスは、オフラインを掛け合わせることで、より継続率を高めることができるという。
「入口はオフラインでジムに来てもらい、レッスンの意図を知ってもらう。慣