2022年12月、FIA(一般社団法人日本フィットネス産業協会)は、新型コロナウイルス感染拡大ガイドライン第11 版への改定(以下、本改定)を行った。本改定は、国から発布された新たな「基本的対処方針に基づく対応」に基づいた、見直しの要請を受けての改定となる。

マスクの着用義務は各社で設定

本改定では、特にマスク着用のルールや、消毒対応といった点が改定の対象となった。マスクの着用については、「全館において適切な距離が確保でき会話を行わない場合を除き、引き続きマスクの着用を推奨する」ことを原則としつつも、会話をほとんど有さず、感染予防のための適切な距離を確保できる環境においては、マスクを着用の義務が免除される。さらに、各クラブは、マスクを外してよいエリアを明記することが、本改定によって求められている。結果として、マスク着用ルールに代表される感染予防対応設計の幅が今までよりも大きく広がり、各社の状況や考えに応じて独自に設定ができるようになった。

フィットネス関連施設各社は、このガイドラインを、遵守すべき最低基準という前提で、必要に応じてガイドラインの基準を積み上げることで、最終的な感染予防対応ガイドラインを策定するように求められる。

マスク着用ルールについて改定の方向性とポイント

FIAは、国の示す『基本的対処方針に基づく対応策』を受け、特に以下の2点について、マスク着用に関連するガイドライン改定の検討を進めるようコロナ対策室から要請を受けた。①厚生労働省が示すルールに則し、フィットネスクラブにおける感染予防ガイドラインにおいてもマスクを外しても良い場面を明記する。②「病気や障害等でマスク着用が困難な場合には、個別の事情に鑑み、差別等が生じないよう十分配慮するともに適切な感染対策を講じる」という対応について、ガイドライン上に明記する。

以上2点の国の新たな方針を受け、 FIAは、フィットネスクラブにおけるマスク着用について、以下のようなルール化を決定した。・全館においてマスクの着用を引き続きお願いするという考え方を前提とし、場面ごとの状況を踏まえマスク着用の推奨という方向で一元化する。・最終的に一定のルール(会話をしない、必要な距離を確保するなど)を守る前提で、着用の是非の判断を利用者に委ねるというルール化も可能。・マスクの着用をお客さまにお願いする立場から、スタッフは指導者も含め全員がマスク着用を必須とする。

出典:厚生労働省 「マスクの着用について」より

消毒への対応について

これまでの「こまめな」消毒という対応方針から、業態を踏まえた適度な頻度への修正の検討要請を、内閣官房より受けて、フィットネス関連施設における消毒対応についても、「要所における適度な消毒が履行できるよう、適切な消毒液の設置の推奨」という対応の方向性で統一することとなった。

接触感染防止対応に関して、「要所における消毒対応、共有部分の使用禁止や消毒実施強化等、特記されるような指定箇所はなく、各社の判断のもと適宜対応する」とされている。

これにより、ガイドライン中の消毒に関係するすべての記載に対して、上記が反映されている。スタッフの負担も、幾分か軽減されるだろう。

本改定で削除となった項目も

そのほか、本改定では、入口・フロント業務における「入場者・退館者の記録を管理して、最短でも1ヶ月分は保持する。万が一、感染が確認されたときに追跡できるように整理しておく」ことが削除となった。また、「従業員(インストラクターも含む)の健康管理を徹底する。普段から、健康観察アプリなどを活用し、毎日の健康状態を把握する」ことも、必須事項から推奨事項へと変更となっている。

本改定では、比較的自由度の高い方針が示されたと言えよう。各フィットネスクラブは、国の示す方針に則ったうえで、顧客の「安心・安全」と、「使いやすさ」の適切なラインをしっかりと見極め、各社のガイドライン策定を行ってほしい。