長年、フィットネス業界において、施設デザインから集客までハード面・ソフト面において幅広い経験をもつ中村良明氏による連載。中村氏が考えるデザインに影響を与える要素の「質」「形」「色」「光」のなかから、今号では「光」をテーマとし、照明の色温度と間接照明について事例を紹介する。
アイレクススポーツライフ株式会社
デザイン&コンサルティング チーフディレクター
デザインに影響を与える要素
さて、空間プロデュースにおいてデザインに影響を与える要素として、私の考えでは「質」「形」「色」「光」があります。
「質」については、材質・質感などの要素があり、自然素材と人工素材・艶・仕上げ加工などをどう使っていくかです。「形」については、フォルム・ラインなどの要素があり、平面と曲面・直線と曲線・ディテールなどをどう使っていくかです。
「色」については、色相・明度・彩度などの要素があり、それらをベースカラー・メインカラー・アクセントカラーとして、どう使っていくかです。
「光」については、輝度・照度・色温度などの要素があり、それらを主照明・補助照明・間接照明として、どう使っていくかです。
私なりに4つの要素を整理すると上記のような感じになります。
さて、前振りが長くなってしまいましたが、今号では私がこれらのなかで最も重要視している光をテーマにしたいと思います。具体的には「ライティング」について取り上げます。
私は長年フィットネス施設の空間づくりに携わっていますが、ライティングについてその重要性に目覚めたのは、20年程前本誌主催のマンチェスター・ロンドン・ミラノの海外視察研修ツアーに参加した際、ロンドンのAMIDACLUBというクラブを訪問した時でした。蛇足ですが、メンバーズサロンのサインが日本語の「TAMARI(溜まり)」と表示されていたのを今でも覚えています。
AMIDACLUBでは、各所で照明の演出がなされており、壁面ロゴを照らし出す照明などに感心させられましたが、とりわけジムのダクトを利用したLEDの間接照明は私にとっては初めて見る演出で感嘆に値するものでした。
日本に戻る飛行機の中では、この時の強烈な印象が残り、ライティングに関するアイデア発想が頭を巡って止まりませんでした。
結果的にその後の新店舗づくりでは、「プール天井にLED投光器を当て、発光の変化による様