会員制健康ビジネス専門のコンサルタント、田村真二氏にフィットネスビジネス・マーケティング戦略を連載でご紹介いただいている本稿。日本のフィットネス参加率が長らく4%で推移していることについて、アメリカ・プラネットフィットネスを事例に突破口を示す。
先進国ではフィットネス参加率が10%を超える国が珍しくないなか、なぜ日本の参加率は、長らく4%前後のままなのか? 業界内では24時間ジムなど「競合」が増えていると思われていても、現在はまだアメリカのような「競争」としての業態開発のあり方になっていないことが理由として挙げられます。本稿では、4%前後の小さなパイを取り合うのではなく、需要をつくり出して9割を超える「非会員マーケット」の開拓について提案したいと思います。。
参加率が上がらない最大の理由
なぜ日本のフィットネス参加者のパイ全体が拡がらないのか? 考えられる原因はいくつかありますが、最も大きな原因は「大部分の人々が気軽に入会できる会費水準になっていない」からだと私は思います。
月会費が1,000円だったら?
『「HV/LP(大型&格安)業態」に会員数増大の余地あり』でご紹介した、会員数世界No.1プラネットフィットネスの月会費はわずか10ドル(本稿執筆時の1ドル150円換算で1,500円)から利用できます。しかも今のアメリカの(日本と比べて)高い物価および給料水準と高インフレにも関わらず価格を維持したままです。アメリカではHV/LP(大型・格安)業態への参入企業は多くありますから、コロナ禍で会員数が減ったからといって(競合段階の日本とは違い)安易に「値上げ」はできません。それが、競争段階における厳しい現実です。
価格の維持は、プレイヤーにとっては経営手腕が問われますが、会員さまや多くの生活者からは歓迎されるでしょう。物価水準の違いと急速な円安ドル高を考えると、アメリカにおける月会費10ドルの価値は日本でなら実質800~1,000円程度といったところでしょうか。もし日本でも「月会費1,000円