会員制健康ビジネス専門のコンサルタント、田村真二氏にフィットネスビジネス・マーケティング戦略を連載でご紹介いただいている本稿。「高額商品の販売で売上・利益を増やす方法」についての考え方と効果実証済みの手法について解説する

 

コロナ禍でも高額商品は大人気!

「パーソナル会員の会員数がコロナ前の3倍近くに増えました」

こう語るのは、総合型フィットネスクラブ(以下、「総合型クラブ」という)を経営するクライアント先の社長。コロナ前より3倍近く増えたパーソナル会員は、レギュラー月会費の2~10倍高い会員種別(月額2~10万円)です。本稿では、高額商品をつくって販売することで売上・利益を増やす方法についてお伝えします。

「戦略的に」客単価を上げる

このクライアントもほかの多くのフィットネス企業と同様に、コロナ禍で会員数が減少しました。しかしながらその間、一部の会員に高額商品を販売することで、会費を値上げすることなく「戦略的に」客単価を上げ黒字経営を維持してきました。

私は会費の値上げを否定しているわけではありませんが、会費を値上げせずとも「高額商品をつくって販売する」ことで、会員満足度を高めつつ高収益を実現することは可能です。この戦略は今後、あらゆる企業にとっても重要になるのは間違いないでしょう。なぜなら…。

フィットネス経営を取り巻く環境は
大型台風並みのアゲインスト

厚生労働省の発表によると、2022年の物価高を考慮した実質賃金は前年比0.9%減少で、2年ぶりのマイナスとなりました。多くの人が生活必需品を買うのに精一杯ななか、経営上やむをえない判断とはいえ、会費の値上げは入会者数や会員数へのマイナス影響は、必至。

とはいえ、コロナ禍で会員数の減少や感染症対策費用が増加していたことなどを受けて、会費値上げに踏み切った企業は少なくありません。また、昨今の物価高(中でも光熱費等の高騰)や業界の垣根を超えた競合の増加、さらに少子化・高齢化・人口減少など、フィットネス経営を取り巻く環境は大型台風並みのアゲインストとなっています。

実際当社の調べでは、フィットネス上場企業(上場企業の子会社含む)主要11社の2023年3月期第3四