世界100カ国以上でのシェア率を誇り、世界トップクラスのマシンメーカーであるジョンソンヘルステック。その日本法人であるジョンソンヘルステックジャパンは、ヨーロッパを中心に、世界で驚異的な拡がりを見せるEGYMと販売代理店契約を締結し、2023年より日本においても展開を開始した。ヨーロッパではすでにEGYMの導入によって、様々なクラブで成功事例を生み出しているが、その根拠は何か? 世界での成功事例や、日本での最適な活用方法について、ジョンソンヘルステックジャパンでEGYMのマーケティング戦略を担う安田氏に訊いた。

  • 株式会社LÝFT(以下、LÝFT)は2018年にフィジークのIFBB PROを保有するエドワード加藤氏によって立ち上げられたアパレルブランド。2020年にはサプリメント領域に手を広げ、2023年5月にはLÝFT GÝMをオープンしてジム運営に乗り出した。表参道ヒルズの地下3階に堂々オープンした同ジムの総工費は3億円を超えるが、妥協を一切許さないハード面のこだわりや体験価値が伝わり、相場の倍近くの会費でも集客に成功している。その全貌に迫る。
    ジョンソンヘルステックジャパン株式会社
    マーケティング&PQM部 主任
    安田雄二氏

退会率を抑制し会員数の増加を実現

EGYMは世界で注目を集める、新しいデジタルソリューションである。欧州DACH地域(ドイツ・オーストリア・スイス)では、27%という圧倒的なシェアを占め、主にヨーロッパやアメリカを中心に約14,000件もの導入実績を持っている。

そんなEGYMが世界中で認められている主な理由は、会員の退会率の低下会員数の増加を実現できることであると安田氏は指摘する。

実際に、ヨーロッパでは改善事例が多数報告されている。ドイツで5,000人の会員数を有する総合型フィットネスクラブのスポーツミュールヒルデンでは、EGYMの導入後、年間の会員退会率が19%に抑えられ、毎年5%の推移で会員数が増加している。年間の退会率が約50~60%と言われている日本のフィットネスクラブからすると、この5人に1人という退会率は驚くべき数値である。またEGYMは、若年層からも好評を得ている。25歳以下が会員の50%を占めるスイスのフィットネスクラブでは、導入後半年で15%会員数が増加。若年層の集客合戦が激化するヨーロッパのフィットネス市場でも、退会率を20%程度に抑えることに成功している。

さらにオランダのメディカル系ジムであるポルダーフィットでは、会員数が200名と閉店寸前の状態から、EGYMの導入によって1,300名まで増加させた。今では、新規入会者を増やせない状態までになり、店舗拡大も視野に入れるほどに成長している。

初心者から上級者まで多くのユーザーに価値を提案

EGYMはフィットネスクラブのソリューションである

このように世界では、日本の多くのフィットネスクラブの課題でもある、在籍会員数の増加や退会率抑制を実現している事例が多数あります。EGYMはこうした課題を解決するソリューションです」と安田氏は胸を張る。

またEGYMは、新規入会者の獲得にも、効果を発揮する。

「EGYMは、もともとフィットネス初心者の利用促進を想定して作るところからはじまっています。EGYMの開発者兼CEOであるクリストフ・ビジョフ氏が、初めてフィットネスクラブを利用したときに、マシンの使い方がわからないなか、説明をしてくれるスタッフもおらず困ったという経験をもとに、『初心者がジムに行きたくなるにはどうしたらよいか』という着眼点から開発されています。ジム初心者が安心して使えるマシンがあることは、新規入会者の獲得につながるのです」

EGYMは、自身の身体をスキャンすることによって、ユーザー情報をマシンが覚えてくれる。使用時は、リストバンドをかざすだけで、初心者が苦手意識を持つ、シートやアームなどのワークアウトポジションを自動でセットアップする。また、緻密に設計されたプログラムゴールを選択するだけで、初心者が苦手とする負荷設定、回数、運動スピード、TUT(筋肉を緊張状態下に置く時間の長さ)、休憩時間も、簡単な筋力測定により自動で設定されるため、安心してトレーニングを行うことができる。さらに、コインを集めるようなゲーミフィケーションUIにより、ついトレーニングに没頭してしまうという、まさに、フィットネスクラブ初心者の「わからない」や「不便」を取り払ったマシンなのだ。

完全にパーソナライズされたトレーニングを、無理なく行うことができるので、初心者でも続けやすく習慣化しやすいのも魅力です。結果として、退会率を抑制することにつながり、口コミによって新規入会者が増えるという良いループが回るようになります

没入感のあるゲーミフィケーションUI

初心者に易しいEGYMだが、中・上級者のユーザーからの満足度も高い。プログラムされたメニューとは別に、運動パラメータを自由に変更できる機能も備えており、中・上級者が最も自分に適した環境で運動することが出来る。「EGYMは、サーキットモードとオープンモード(通常のストレングスマシンと同様の使い方ができる)の2つを使い分けることができます。前者では、比較的初心者や高齢の会員からの評判が良く、後者はしっかりトレーニングしたいという若年層や中・上級者に人気です」と安田氏は笑顔を見せる。クラブのターゲットによって、モードを使い分けることができるEGYMは、顧客層の拡大にも役立つのだ。

スタッフは会員とのコミュニケーションに注力を

ヨーロッパでは、EGYMのことを「低価格なパーソナルトレーナー」と例える声もあるという。

トレーナーのサポートが重要

安田氏は、ヨーロッパでの成功事例をふまえ、EGYMを日本で導入していく際のキーポイントとして、「スタッフとのコミュニケーションが非常に重要」と指摘している。

「いくら自動でトレーニングができたとしても、1人で黙々と行っていては、多くの人は長続きしません。とはいえ、現状のフィットネスクラブでは、省人化の経営方針もあり、スタッフがマシンの使い方から、負荷量の設定、さらには評価までをすべての会員に行うことは困難でしょう。EGYMは、モニターのディレクションに沿って、マシンを動かすだけです。これにより、スタッフは結果の評価や会員とのコミュニケーションに注力し、会員の退会を抑制できるのです。また、EGYMではアプリによって、会員とのタッチポイントを増やせるので、クラブへの帰属意識を高めることに役立ちます」

Club in Clubの活用で顧客単価の向上につながる

欧米ではclub in clubの事例も多数

顧客視点で設計されたEGYMだが、クラブ側にも、恩恵をもたらす。導入が加速する欧米では、施設内のデッドスペースの有効活用として、Club inClubのかたちでEGYMを導入するクラブも少なくない。

「クラブ内のデッドスペースを、再活用する方法としてもEGYMは効果的です。ヨーロッパでは、会員があまり使っていないトレーニングスペースなどをEGYMエリアとして改修し、利用するには追加料金を設定することで、顧客単価の増加に成功したケースもあります。日本のフィットネスクラブでも、あまり使われていないスペースは存在すると思います。各施設のリソースを最適化し、収益化を高めることができるのです」と安田氏は説明する。

実際にEGYMの導入は、ちょっとしたスペースでも可能である。マシン8台のスタンダードのセットは40㎡のスペースがあれば、十分に設置できる。これくらいのスペースであれば、既存の施設内でも、導入への障壁もそう高くはないだろう。50㎡もあれば、悠々と使えるエリアになると言う。

「日本では、まだClub in Clubの事例はあまり多くありませんが、欧米ではかなり広まっており、施設の付加価値を高めています。EGYMを導入するクラブが増え、日本でも好事例がたくさん生まれることを望んでいます」と安田氏は目を輝かせる。

EGYM はマシンではなくソリューションである

最後に安田氏は、EGYMについて次のように語る。

「私たちはEGYMをマシンだと思って販売をしていません。EGYMはあくまで、フィットネスクラブやそのクラブ会員の課題を解決するソリューションです。これまで海外での成功事例を私たちはたくさん見てきました。日本でも同様の課題を抱えたフィットネス事業者は多いと思います。そのような方々に、EGYMを活用したソリューションを提供していきたいです」

ジョンソンヘルステックジャパンは、2023年8月2日に開催されるSPORTEC®2023内で、セミナーを開催予定。

「デジタルを活かしたジムオペレーション~EGYMはなぜ選ばれるのか~」というタイトルで、フィットネス業界の課題に切り込み、その課題を解決するためのソリューションを提示する。本稿で紹介した内容について、より深堀し、生きた情報を得られる貴重なセミナーとなるだろう。