株式会社OptFitの代表取締役を務める渡邉氏に、前号のFitness Businessに引き続き今回は「マシン・器具」というテーマでお話を訊いた。同社が手掛けるAIカメラの導入が進み、会員の行動データが蓄積。そこから様々な示唆が得られている。現在の施設の利用状況の分析から、根拠を持ってマシンやコンテンツを入れ替えられるほか、新規オープン前にメリットを享受できる方法も出現している。
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株式会社LÝFT(以下、LÝFT)は2018年にフィジークのIFBB PROを保有するエドワード加藤氏によって立ち上げられたアパレルブランド。2020年にはサプリメント領域に手を広げ、2023年5月にはLÝFT GÝMをオープンしてジム運営に乗り出した。表参道ヒルズの地下3階に堂々オープンした同ジムの総工費は3億円を超えるが、妥協を一切許さないハード面のこだわりや体験価値が伝わり、相場の倍近くの会費でも集客に成功している。その全貌に迫る。株式会社OptFit代表取締役渡邉昂希氏
フィットネスクラブのさらなるニーズに応えるAIカメラ
コロナ以降、急速に普及が進んだAIカメラソリューションの「GYMDX」。人員の配置を減らす動きが活発になるなかで、いかにして効率よく安全監視を行うかが焦点となったときに彗星の如く現れた同社のシステムのおかげで、従来よりも少ない人手で施設を回せるようになった事業者は多いだろう。
それだけに留まらず、AIをさらに活用して施設の混雑状況を会員に公開したり、器具や時間ごとの利用率の分析が行えたりする点に、最近ではクラブからの関心が高まっている。
マシンの利用状況を数値で把握しジムの経営戦略に活かすには
それでは、具体的にどのように分析をしていけばよいのだろうか?
「図1をご参照ください。このサンプルデータは実際に存在するフィットネスクラブのデータを抜粋して掲載しています。ランニングマシンは利用率が60%を超える時間が0%となっており、13台では過剰に設置されている可能性が高い一方で、パワーラックについては1台で利用率が14%なので、適切な配置となっているという示唆を得ることができます」。
一般的に30%を超える利用率の器具は、追加で類似器具を導入した方が、会員の利便性や満足度は高まると渡邉氏は過去の事例から読み解いている。
「例えば、新店舗をオープンしたいと考えていたときに、既存店舗のマシンの利用率が低いとわかり、そのマシンを新店へ移設することで、数百万円の購入コストを削減できた事例もあります。事業者の実利的な面のみならず、利用者目線で導入されているコンテンツの魅力が最大化している状態をつくるサポートをしていきたいです。現在蓄積しているデータに基づいた施設開発のアドバイスも対応可能です」と渡邉氏は呼びかける。
マシン・器具のみならず施設全体の最適化を目指して
GYMDXで分析できる対象を、器具だけではなくエリアにまで拡充。さらには図2のように曜日ごとにマシンやエリアごとの混雑状況を簡単に会員と事業者ともに把握できる機能を7月1日からアップデートした。
今後は、経験や勘にだけ頼り過ぎない、より合理的な施設運営が求められる。まずは、現状を数値化して把握するところから始めよう。