「札幌から世界へ。ウェルネスカルチャーを発信する」をミッションに、北海道内を中心に、パーソナルトレーニングジムや、デイサービス、脳梗塞後遺症リハビリセンターなど、多数のブランドを運営する株式会社SHARE(以下、SHARE)。このマルチブランド経営により、様々な生活レベルの会員に「健康」を提供している。そんなSHAREが切り札として活用するマシンが、本誌でもたびたび登場しているパワープレートだ。日本の最北端で、SHAREの熱い想いをどのように実現しているのか。代表取締役を務める佐伯輝明氏に訊いた。
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株式会社SHARE代表取締役佐伯輝明氏
フィットネスや医療・介護の領域で手軽な健康を届ける
afterコロナを迎え、フィットネスクラブ各社が業績の回復に向けて、しのぎを削るなか、格安フィットネスや女性専用などのコンセプト型のジムが頭角を現している。これからのフィットネスクラブには、明確なコンセプト、つまり、顧客の「課題」を解像度高く捉え、それに対するソリューションをわかりやすく、簡便な方法で提案・提供することが求められると言えよう。
北海道内を中心に、フィットネスや介護・医療事業など、様々なブランドを展開するSHAREも、明確なコンセプトを打ち出し、事業を成功させている企業の1つだ。
同社で代表取締役の佐伯氏は、SHAREのビジョンについて、「より多くの人に、疾病や加齢現象に対して、適切な知識や経験を持ったトレーナーが付いているような社会を実現したいと思っています。美容室で散髪をしてもらうくらいの手軽さで、週に一度は、トレーナーに会い、自身の健康状態についての相談や指導が受けられるような環境になっていることが理想です」と話す。
その想いを実現するべく、SHAREは、北海道内で店舗数No.1を誇る個別指導フィットネス「スマートウェイ」や、20分で運動が完結し、アクセスや通いやすさを追求した「スマートスタジオ」を展開。多くの住民に“手軽な健康”を届けている。
フィットネス事業でも成功を収めているが、元々は、介護・リハビリテーション領域で事業を開始した企業だ。
「この領域の事業を開始したきっかけは、母が骨折をきっかけに、要介護状態になってしまったことでした。中高齢女性は骨密度が下がりやすく、軽く尻もちをついた程度の転倒でも骨折してしまい、要介護状態になってしまうという母のようなケースが、稀ではないということを知り、そういった方々の『健康』に貢献できる場所を作りたいと思ったことがスタートです」
このようにSHAREは、運動特化型のデイサービス「スマートライフReha」や脳卒中患者の後遺症改善を目指す「ストロークジム」などを運営し、多様なライフステージにある人々にサービスを提供している。
パワープレートの導入により他業種の多店舗展開を実現
これらの4ブランドで、SHAREが活用しているのが、パワープレートだ。佐伯氏は、「骨粗鬆症の改善につながるというエビデンスを見つけたのが、パワープレートを知ったきっかけです」と言い、導入を決断した理由について、さらにこう続ける。
「多数のエビデンスが出ていることは、介護やリハビリ事業を行っていくうえで、非常に魅力的でした。また、フィットネス事業をスタートさせる際にも、私たちのビジネスモデルにマッチしていたので、導入を決めました」
SHAREの事業は、手軽にトレーナーからマンツーマンでサービスを受けることができる機会を提供している。介護保険制度のあるリハビリテーションは良いが、通常、パーソナルトレーニングは、会費が高額になってしまい、誰でも手軽にサービスが受けられるわけではない。
「パーソナルトレーニングを安く提供するためには、どうしてもトレーナーとの1対1での指導の時間を短縮するしかありません」
そこで、SHAREは、ウォーミングアップの段階で、パワープレートによるセルフトレーニングをメニューに組み込んだ。各パワープレートの近くには、モニターが設置され、指導者が不在でもトレーニングができる工夫を施している。
「パワープレートの振動により、簡単な動作やストレッチでも効果を高めてくれるので、パーソナルトレーニング前の準備段階でも、しっかりとしたコンディションを作ってくれます」。パワープレートの導入により、スマートウェイでは、月4回のパーソナルトレーニングを、月額5,980円~という破格で提供しているのだ。
「もちろん、ウォーミングアップだけでなく、メインのトレーニングでも使用しています。ダイエット目的で通う会員さまからも、『体重の落ち方が変わった』など、満足のお声を多数いただいていますし、スタッフが何も言わずとも、自発的にパワープレート上でトレーニングしています」
また、フィットネス事業のみでなく、スマートライフRehaやストロークジムなどの介護・リハビリ事業でも、パワープレートを活用。「パワープレートの上に足を乗せるだけや、できれば足踏みをしてもらうだけでも利用者さまからは『すっきりした』という感想をいただきます。また、パワープレートパルスは、部位別に刺激を与えることができ、この2つのブランドでは、重宝しています。これらのアイテムを使うことで、感覚的・数値的にも利用者さまの健康状態の改善が見られています」と佐伯氏は説明する。
特に、パワープレートパルスによって、拘縮のある部位に直接刺激を与えることで、リハビリ中の会員からはポジティブな意見も多い。
パワープレートの“振動”は、多彩な用途を持ち、ブランドごとのコンセプトの実現に役立つツールなのだ。
日常生活に溶け込ませる継続しやすいビジネスモデル
SHAREの特長の1つとして、各ブランドの出店方法が挙げられるだろう。SHAREの店舗は、スーパーマーケットやドラッグストア、クリニックなど、生活圏内に併設して出店している。
「なかなか、運動習慣を身に付けることができない人にアプローチするためには、その人たちが『毎週必ず行く所』に存在することが大切だと思っています」
こういった場所への出店では、スペースの確保が重要課題となるが、パワープレートは、省スペースでのサービスも実現する。
「SHAREでは、ストレングスマシンは一切、設置していません。パワープレートがあれば、私たちの求めるトレーニングは、十分に遂行できます」
クリニックと併設することで得られるメリットもある。「医療機関と連携することで、SHAREのスタッフが、医師などの専門家から、高度な研修を受けることができます。お客さまの健康に貢献するためには、知識のアップデートは欠かせません」と佐伯氏は語る。
このように、スタッフ教育には決して手を抜かないSHARE。佐伯氏は「パワープレートの正規販売店である株式会社プロティアジャパンが定期的に開催する勉強会にも参加しています。まだまだ我々も知らないパワープレートの使い道があると思っていますので、こういった勉強会があるのもありがたいです」と話す。
北海道から発信するウェルネスカルチャー
今後のビジョンについて訊ねると、佐伯氏は「日本が高齢化先進国と呼ばれているなかで、北海道はさらに先進地域だと評されています。だからこそこの地域で根を張り、北海道から自分たちの想いを発信することが大切だと思っています」と、力強く答える。
現在、SHAREの店舗は、仙台や名古屋などにも出店を拡げており、今後も積極的に、日本国内や海外への出店を視野に入れて進めていく。
「北海道という高齢化先進地域で、SHAREのビジネスモデルを確立することができれば、そのノウハウは、これからさらなる深刻な高齢化を迎える国や地域でも、貢献できるはずです」
SHAREというブランドを、文字通り世界で共有できる会社にしていくと熱意を見せる佐伯氏。北の大地から発されるその熱い想いが、パワープレートの振動とともに、世界中に轟く日も、そう遠くはないだろう。