株式会社OptFitの代表取締役を務める渡邉氏は、フィットネスクラブのスタッフ数が少ない(もしくは無人)の業態が増えてきた一方で、モラルの低い利用客への注意喚起が不足してしまうという課題を抱えるケースが増えてきていると指摘する。AIカメラを活用すれば、そのような行動を、無人ジムでもいち早く特定することができる。

施設の秩序を保つことも、退会率の縮小には重要な要素と言えよう。

  • 株式会社OptFit
    代表取締役
    渡邉昂希氏
     

無人ジムなどに多いマナー違反の事例とは

「弊社のお客さまから寄せられる一番多いマナー違反の事例は、会員証を持つ人が非会員の友人と入館して、一緒にジムを利用してしまうケースです」

と渡邉氏は説明する。QRや顔認証などでロックを解除した後、複数人で入室することで突破できてしまうため、たとえ規約で禁止されていても「バレないだろう」という意識の低さから違反をする人は少なからずいるようだ。

「今のGYMDXの機能で、この『複数人入館』は検知することができ、アラートをメールで送ることができます。いくら監視カメラを設置していても、すべての映像を最初から最後まで確認する時間はないと思いますので、本当に必要な映像をピックアップして通知できるところが強みです」と渡邉氏は説明する。

その映像をもとに、その会員が誰なのかを割り出したうえで、施設のスタッフから注意喚起をする。しかし、中にはそれでも違反行為をやめない人もいるというから驚きだ。

「何回注意しても改善が見られない場合は退会していただくこともあると、弊社のカメラを導入しているフィットネスクラブ様から伺いました。短期的に見れば会員数を減らしてしまいますが、長期的に見れば施設にとってリスクの排除につながるとのことです」(渡邉氏)

1人の迷惑客が施設全体に与える影響は計り知れないほど大きい

1回の解錠で複数人が同時に入館している場面を検知し、該当のシーンとともにアラートを送ってくれる

2023年、回転寿司チェーンを展開するスシローでの迷惑行為が収められた動画が拡散され、それの影響で客足が遠のき、時価総額としても1日で約160億円下落するという事態に発展したことを記憶している人もいるだろう。

たった1人の迷惑行為が、これだけの金額の損害を与える可能性があるのだ。だからこそ、施設を快適に利用するためのルールを定め、それを守っていただけない人には退会してもらうという対応も、ときには必要となる。さもなくば、優良会員は別の施設へ流れてしまうだろう。

迷惑行為の検知機能によってより快適な施設の実現に貢献

フィットネス施設におけるマナー違反というのは、細かいことも含めれば多岐に渡るだろう。重いダンベルを床に落とす、器具を使いっぱなしのまま片づけない、インターバル中にスマートフォンを操作する、禁止されているのに上半身裸になってトレーニングをする、など挙げればキリがない。渡邉氏は、まずは周りの会員にも甚大な影響を与える違反行為を検知できるよう、開発を進めていると言う。

「例えば、24時間ジムの会員さまが泥酔した状態で来館し、そのまま施設で寝てしまう、というケースも耳にします。吐しゃ物をまき散らしてしまう可能性もありますし、このような行為をする人がいれば、たとえ会費が安くても通いたくはないですよね。だからこそ、検知できる不良行為を増やしていきます」と意気込む。

また、AIカメラにはマイクも付いているため、今後は映像と音の双方を活用し、より正確な検知が可能となるようだ。例えば、施設内での会員同士の喧嘩。怒声が飛び交っているかどうかは映像だけではわからないので、必要な機能アップであろう。今後の開発に期待したい。

混雑状況の可視化も会員の満足度へ影響?

秩序を乱す会員がいないことが快適な施設への第一歩であるが、とはいえ良識のある会員だけだとしても、施設が混雑しすぎて使いたい器具が使えないという状況では、顧客の満足度は下がってしまう。

GYMDXでは器具毎の混雑状況をリアルタイムで可視化することができるので、来館前にあらかじめ目星をつけることができる。

もし、混雑しているのであれば、時間をずらす、別日に行く、という選択ができるので、来たのに使えなかったという「時間の無駄」をなくすことにつながる。

AIカメラを活用することで居心地のいい施設を作りやすくなる。それが実現できれば、会員は喜んで施設に足繫く通ってくれるはずだ。会員と施設の質を高め、量を増やそう。