オンラインにシフトが進むフィットネスクラブの集客だが、対象顧客によって、チラシの配布など、オフラインだからこそ高い効果を得られることもあるはずだ。「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」の企業ビジョンそのままに、これまで多数のクラブの販促業務に改善をもたらしているラクスル株式会社。本誌でも、その好事例を多数紹介してきたが、同社のエンタープライズ事業部で、マーケティングリーダーを務める千賀 亮氏は「顧客の獲得には、オフライン集客が効果的」と語る(以下、敬称略)。

  • ラクスル株式会社
    エンタープライズ事業部 マーケティングリーダー
    千賀 亮氏
     

現状のオフライン集客における課題をどのように捉えていますか?

千賀:現在は、オンライン集客が主流になっていますが、「狙ったお客さまに、確実に届ける」という意味では、オフライン集客として、チラシやDMの配布は、価値が高いと考えています。

そのなかで、オフライン集客の課題としては、本部が販促活動を集約しており、現場レベルで状況が把握されていないことが挙げられます。エリアが違うにも関わらず、本部では同じチラシが作成され、一斉にばら撒かれるということもあります。いわゆる「エリアマーケティング」が機能していない状態で、現場では、来店客の特徴がわかっているのに、チラシには反映されないということもあります。

ラクスル エンタープライズは、この課題をどのように解決できるのでしょうか?

千賀:ラクスル エンタープライズ(以下、ラクスル)プラットフォーム上で管理ができるので、本部と現場で一緒に販促業務を作り上げることができます。現場で、集客用のチラシをゼロイチで作るのは、業務量的にも難しいと思います。かといって本部が全エリアのマーケティングを現場レベルで把握しろと言うのも少し酷でしょう。本部からはラクスル上の登録テンプレートなどを用い、デザインのベースや企画のみを提供し、あとは現場で、配置やメッセージを変え、印刷から配布まで行います。これにより、自由度と管理統制を両立できます。こういった課題をシステムとして解決するのです。

また、従来は、本部で一括して発注することで、コストの削減を図っていました。しかし、これでは地域特性に合わせた告知ができません。ラクスルでは、少ロットの印刷物を低価格でご提供していますし、チラシの作成からポスティングまでもワンストップで行い、すべてオンライン上で完結します。

つまり、金銭的にも人員的にもコストを削減し、店舗ごとの特徴をチラシに反映できます。顧客の獲得施策を効果的に行うためには、この個別最適化されたマーケティングは必須と言えるでしょう。

集客を個別最適化したうえで、次のステップを教えてください。

千賀:やはり、効果検証です。オンライン集客では、A/Bテストなど、定期的に効果検証を繰り返しますが、オフラインとなった途端に、チラシを出して終わりというケースが散見されます。

チラシ集客は、オンライン広告に比べ、手間がかかることが原因だと思いますが、ラクスルではそこを簡略化し、配布から効果検証までのPDCAをより早く回すことができます。

また、ラクスルでは、チラシにQRコードを複数載せることも提案しています。どのQRコードからの流入が多いのかを観察し、ターゲティングやキーワードの検証につなげることが大切です。この検証についてもラクスルのサポートチームとすり合わせをしながら、進めていくことができます。

これからのオフライン集客に求められることは、何でしょうか?

千賀:オンラインと同様に、多種多様な施策を、トライ&エラーを繰り返していくことですね。

オフライン集客というと「チラシ」をイメージする方が多いと思いますが、ラクスルでは、はがきや手紙形式のフォーマットも用意しています。例えば、一定期間利用していない会員や退会者に、手紙を送っているクラブはどのくらいあるでしょうか? メールなら読み飛ばされてしまうこともあるでしょうが、封筒入りのお手紙なら、リーチ率はぐっと上がります。そして反応を見える化し、効果的な施策を絞ることが必要です。

集客を行う目的を見失わないことも大切です。顧客獲得の本質は、お客さまを集めることではなく、良いフィットネス体験を多くの顧客に受けてもらうことのはずです

ラクスルは「販促・印刷業務をもっと楽にする」ということが由来ですから、集客の部分では、“楽”をしていただき、フィットネス事業にしっかり注力してほしいというのが私たちの想いです。そのためには、現在も好評をいただいているUI/UXのさらなる強化を続けてまいりますし、より使いやすく効率的なシステムを作っていきます。ラクスルによって、「大切なこと」にリソースを割けるクラブが増えてほしいです。