フィットネス業界にバックグラウンドを持ち、アントレプレナーとして活躍する溝口氏。FincTechnologiesの創業者として、名を知る読者も多いだろう。スタートアップへの支援や投資、格闘技やメタバースなど、多岐に渡る事業領域とフェーズを経験する溝口氏が語るリーダーシップとは。
既存の事業を復活させるのに必要なリーダーシップについて、どのようにお考えですか?(CBJ)
立て直すことは相当難易度が高いと思います。無理ではないけれども、ものすごいリーダーシップやマネジメント能力が必要です。
例えば、今、ファミレス業界は業績が落ちてきています。色々なメニューがあるなか、カレー屋やパスタ屋など個別に専門店の業態があります。フィットネスクラブも低価格帯が台頭してきていますよね。競争が激化してきています。私は、かつて、総合型のフィットネスクラブを運営していましたが、施設を満遍なく使っている会員は少なかったです。
つまり、ジムやスタジオやプールをつくっても、実際はニーズを掴めているようで、掴めていないのです。では、その使われていない施設はどうしたらよいのでしょうか。
遊園地のアトラクションは、スクラップ&ビルドで別のアトラクションに変えたりして、来園者が並んでくれるような施設に変えていっていますよね。既存のものを大きく変化させずに、再生させようとするのはかなり難しいでしょう。加えて、フィットネスクラブでいうところの現場の支配人には意思決定権がないことが多く、そのなかで、すでに傾いている事業を復活させるのは、かなりの難易度になると思います。
例えば、飲料ブランドも競争が激化しています。一度地に落ちたブランドを、そのままの外装や味、マーケティングのままで、昔のように一世を風靡したブランドに戻せるのでしょうか? そもそも、戻せる権限がなければ難しいでしょう。
フィットネスクラブ業界の場合、多くの場合は本部が意思決定権を持つことがほとんどだと思います。そして、現場の支配人も、優秀な人ばかりではありません。もし、強烈なリーダーシップやマネジメント能力があったら、役員クラスや本部の部長になっていることでしょう。
そうしたポテンシャルがあるのは、抜擢人事の若者です。私には、既存のフィットネスクラブの再生をした