現在順調に運営をしている企業であっても、ここまでくる道のりでは様々なことがあっただろう。どのような苦労や失敗を乗り越え、またどこに成功要因を見つけたのか。当業界のリーダーらから、それぞれが学んだことについて披露していただく本連載。第47回目は、株式会社ヤマウチの中山知真氏に話を訊いた。

フィットネス事業だけでなく、介護や、エネルギー、外食産業など、様々な事業を展開し、人々の日常に寄り添ったサービスを提供する株式会社ヤマウチ(以下、ヤマウチ)。“Move to Happy”のスローガンのもと、街に唯一無二の空間を創出し、多くの顧客を「ハッピー」にしている。同社のフィットネス部門であるジョイフィット・ヘルステック・カンパニーFC事業本部で統括本部長を務める中山知真氏は、新規事業の創出を担うイノベーターだ。JOYFITを中心とした数々の挑戦の裏に秘められた、中山氏の想いやエピソードについて訊いた。

多数の立ち上げを経験
これまでにないモデルにも挑戦

ヤマウチは、JOYFITを中心に、JOYFIT24やFIT365など、全7業態の多彩なフィットネスブランドを、日本全国で展開する業界屈指のリーディングカンパニーだ。

中山氏は、ヤマウチで27年間、フィットネス業界の成長に寄与してきた大ベテラン。これまで同社で、多数の新規事業を実現させてきた。中山氏に、これまで担当した新規事業の中で、最も労を執ったものは何か訊ねると、「やはりJOYFITですね。オープンした2001年当時は、フィットネスクラブ数も現在のように多くありませんでした。フィットネスクラブと言えば、ジムエリアがあり、スタジオ、プールがあって当たり前という、いわゆる総合型のクラブが主流でしたから、ジム・スタジオ型(以下、ジムスタ型)の新店オープンは苦労も多かったです」と快活に話す。

当時は「プールがなければ、フィットネスクラブではない」とも言われるような時代だった。今では当たり前となっているジムスタ型のクラブのオープンに、同業者からの批判的な意見も耳に届いたという。

「オープン1年後には、FC展開も始めました。当時、フィットネス業界でFC展開を行っているクラブは、ほとんどなく、ノウハウの無いなかでの挑戦でした」

否定的な声を背に受けつつも、新たな取り組みを進めてきた中山氏。新規