昨今、多店舗展開しているクラブは、プロモーション上のプロセスでどのようなことに注力しているのだろうか?

ラクスル株式会社 小暮氏によると、それには①事業づくり、②組織づくり、③仕組みづくりの3つが重要だと言う。

今後、成長していけるクラブに求められることとは?

  • ラクスル株式会社 ラクスル事業本部 エンタープライズ事業部
    小暮敬大氏
     
     

違いを訴求するためにやること

昨今、出店が増えてきている業態には、24時間型セルフジム、ヨガ・ピラティス、マイクロジムなどがあるが、なかでも低価格帯のジムが目立っている。多店舗展開が成功の証とは一概にはいえないが、クラブの想起性を高め、アクセシビリティを向上させていることは挙げられよう。どんな業態のクラブが近隣に出店していようと、喫緊の課題となるのは、入会・集客の面で、他クラブとの違いをいかに訴求し、いかにクラブに来ていただけるか。

小暮氏は、うまくいきにくい事例をいくつか挙げる。

「広告のデザインをする際、0ベースで、全部を本部もしくは現場に任せてしまうケースです。現場は、会員へサービスを提供するのがメイン業務のため、あまりPCスキルが高くなく、法律等への知識も深くありません。逆に、本部が0から100までやろうとすると、それはそれでうまくいきません。店舗数が増えていくと、ある一定までは何とかなるものの、店舗数が数十を超えてくると、広告の内容も配布先も何十パターン、何百パターンとなり、制作だけで手一杯となります。競合が増えるなか、刺さるメッセージングを考える時間を確保しづらくなります」

いずれの場合も、どのポジションでも人手不足は待ってくれない。パーソル総合研究所によると、2030年には、サービス業界では、400万人の人手が不足すると言われている。少ない人数で、効率的な体制をどのようにつくったらよいのだろうか。

事業、組織、仕組み

小暮氏は、多店舗展開しているクラブには、プロモーション上の特徴があると言う。①事業づくり、②組織づくり、③仕組みづくりだ。

「事業づくりでは、商品・サービスのコンセプトの明確化が大切です。販促では、SNSだけでなく、チラシなどのオフラインも含めた立体的な接点づくりが行われますが、この商品・サービスの内容が、広告での表現に直接関わってきます。商品・サービスそのものと、正しいことが伝わる表現との整合性が取れているかということです」

次に、小暮氏は組織づくりを挙げる。

「実行体制づくりです。多店舗展開での管理体制では、本部と店舗が連携できる仕組みが確立されているかが重要です。例えば、広告のデザインの大枠は本部が決めますが、具体的な文言や訴求は店舗が決定する等、相互の強みを活かす体制がつくられているクラブはコンセプトが伝わりやすいです」

つまり、一番、入会者と接している現場と本部が連携し、個別最適化できる体制づくりが大切ということだろう。

3点目に仕組みづくりを挙げる。

「法規制、レギュレーションを遵守した実行体制の管理と構築です。最低限、押さえておきたい法律を把握し、遵守できているでしょうか? 景品表示法や消費者契約法、健康増進法などが挙げられますが、それらに抵触しないよう、クラブ内でガイドラインをつくり、守る仕組みの構築が大切です。国民生活センターには、スポーツジム等に関する契約トラブルなどが2017年度時点で3,500件寄せられ、増加傾向です※1。損害賠償やブランド毀損につながり、フィットネスクラブの価値を脅かすことになってしまいかねません。また、前述の通り現場はその部分の知識は深くないため、本部が主導のもと、仕組みづくりを行う必要があります」

3つを守っていないと、リスクが大きすぎるのではないだろうか?

小さく試して最適化を

しかし、開業時は資金力に乏しく、開業していても大掛かりな投資は難しいこともあるだろう。そこで大切なのは、小さくたくさん試せることだ。

「ラクスル エンタープライズでは集客サポートを行っています。小ロットで試せるので、徐々に最適化していきやすい設計になっています」(小暮氏)

また、本部も現場も余裕がないときに助けてくれるデザイン制作サービスもある。

「これからは、より上流工程にあるデザイン制作も行っていきます」

まずは、自クラブの広告を今一度、確認しよう。そのうえで、事業、組織、仕組みを見直そう。4月24日(水)19時より開催のセミナーで、詳細をチェックできる。特に、法規制については要確認だ。

セミナー開催

タイトル:多店舗展開企業におけるリージョナルマーケティングー在籍会員を伸ばすために、すべきこと&してはいけないことー
日時:4/24(水)19:00 〜
場所:Zoom

※1 独⽴⾏政法⼈国⺠⽣活センター  
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20181011_1.html