複数の収入の柱

スタジオ・ジム経営者にしろ、インストラクター・パーソナルトレーナーにしろ、今回の件で収入減という方が大多数でしょう。しかし、ビジネスをしていると不測の事態というのは必ず訪れます。記憶に新しいところでいえば、昨年秋の台風15号や19号。停電や浸水などによって大きな被害を受けた方もいるでしょう。また、少し前になりますが、2011年の東日本大震災。このときの被害は尋常ではありませんでした。当時、私の経営する治療院は、売り上げが20%(80%減)まで落ち込みましたが、かろうじて廃業せずに済みました。しかし、周囲では廃業したところも多くありました。残念ながら、今回の件でもすでに廃業したスタジオや、転職したインストラクターもいると聞いています。こういった不測の事態に備えるために、大好きなフィットネスの仕事を続けるために、複数の事業・複数の収入の柱をもつ必要があります。

ではこのような事態の今、何をどうやっていけばよいのでしょうか?

 

オンラインレッスン

先ほども書きましたが、「オンラインレッスンをやります」というSNSでの投稿をよく目にします。たしかに、配信する側としても、さほど大きな手間がかかりません。また、こんなときですから、外出せずに自宅で運動したいという方も大勢いることでしょう。

スタジオ・ジム経営者や、個人で活動しているパーソナルトレーナーであれば、既存の会員やクライアント向けに提供するのはいいでしょう。インストラクターでも、もともとご自身のサークルをもっていたり、コミュニティをつくっている人であれば、集客もうまくいくでしょう。この機会にオンラインレッスンを仕組み化し、収入の柱の1つにしてください。

しかし、スポーツクラブやほかのスタジオで業務委託だけで活動していたインストラクターはどうでしょう? 顧客やリストをもっていない人が、たいした準備もせずにオンラインの市場に参入しようとしても、集客できるでしょうか? かなりハードルが高く、そこからすぐに収益を上げるのは厳しいでしょう。もちろん今回の件をきっかけに、将来的に確立していくことは賛成です。しかし、今すぐの収入を得ようとするのであれば、短期でアルバイトするほうが確実です。

 

好きなことをして生きていくために

いうまでもなく、小さなスタジオ・ジム経営者も、フリーインストラクター・パーソナルトレーナーも自営業者です。好きなことをして生きていくという道を選んだということです。私もあなたと同じです。今や会社員でも副業をする時代。誰も保証などしてくれない自営業者こそ、複数の収入源を確保しなくてはなりません。その確保の選択肢としては大きく分けて2つあります。

1つ目は、まったく違う職種で雇われる(アルバイト含む)ということです。インストラクターをしながら倉庫の仕分けだったり、スタジオやジムを経営しながらヘルパーという具合です。そのほかにも、コンビニやファミレスのバイトもあれば、週2日の派遣事務、在宅での入力の仕事だってあります。好きなフィットネスという仕事を安心して続けるために、一方で雇われるという選択です。それも業務委託ではなく、雇用されるというかたちでです。こうすることで、万が一に備えることも可能です。

そして2つ目は、新たなスキルをしっかり学び、新たなビジネスを立ち上げるということです。先ほども書いたようなオンラインでのレッスンもいいでしょう。もともともっている知識やスキルを活かしたり、新たな知識を身に付けてコンサルタントとして活動するのもいいでしょう。またはまったく違う分野で起業・事業展開するのもひとつです。

私自身、’02年に整体院を開業しましたが、そのほかマーケティングコンサルタント、人材派遣業、サプリメントの開発とオンライン通販、患者向けのDVD制作とオンライン販売、ダイエット事業、フィットネス事業、子どもの教育事業などなど相当数のビジネスに参入しました。大きく成長し継続しているものもあれば、事業譲渡したものもあります。なかには、思ったように伸びずに撤退したものもあります。また、現在準備中のビジネスもあります。これだけやっていると、「何屋なの?」と聞かれることがありますが、そもそも「何屋」と定義する方がナンセンスだと私は思っています。

一昔前は、「手に職をつけて云々」という考えがありましたが、今はそれで食っていけるほど甘くはありません。むしろ、時代の流れや社会を見つつ、マルチに活動できる人間だけが残っていける時代です。

 

老いはすべての人にやってくる

せっかく複数の事業や収入について考えるのであれば、もう1つ併せて考えてほしいのが“老い”についてです。私が現在のように複数の事業・収入の柱を考えるようになったのは、治療院だけを経営していたころです。収入を伸ばすためには施術回数を増やさなければいけない。反対に体力的なことを考えると収入は伸びない。プレイヤーである限り、これは永遠のテーマです。

しかし、年齢とともに必ずパフォーマンスは落ちます。生涯現役というのは現実的に無理があります。いかに自分が動かずとも売り上げが上げる方法や、年齢関係なく可能なビジネスというのも、この機会に考えてみてください。

今のあなたの行動が大きな転機となるはずです。ぜひ真剣にこれからのことを考え、そして取り組んでみてください。

 

※執筆者プロフィール
株式会社Scoop 代表取締役/マーケティングコンサルタント 板倉陽一
フィットネス業界未経験ながら、2017 年4月、千葉市緑区にブティックスタジオ「おゆみ野スクエア」をオープン。スタジオは「駅から10 分以上かかる住宅街の中」「マシンなしのスタジオレッスンのみ」「タオルやウェアなどのレンタル一切なし」「入会キャンペーンなし」という条件にも関わらず、「月会費2万円」「半年以上の継続率98% 以上」という経営を行う。そのほか、スモールスタジオやマイクロジムのコンサルティング活動も行っている。