神奈川県茅ケ崎市で1967年に設立された株式会社林水泳教室(神奈川県茅ケ崎市若松町12-1 代表取締役 林 正基)は、OPENから34年を迎えたパルバル湘南スポーツクラブを、2025年4月1日にジムエリアをフルリニューアルし、料金体系・営業時間などの運営システムを抜本的に改革した上でリニューアルOPENした。

パルバル湘南スポーツクラブ 

1967年創業の同社は2011年に、施設OPEN時からパルバル湘南スポーツクラブを所有・運営していた株式会社山田スポーツ企画をM&Aにて買収し、株式会社パルバル湘南スポーツクラブとしてグループに迎え、施設の土地建物も取得した上で新たな運営主体として運営を行ってきた。
同施設はウェット動線・ドライ動線が混在し、各居室の面積按分やシャワー基数・カラン基数の設定が論理的に整合しておらず、かつて中嶋 良一氏が提唱していた戦略3要素のうち、施設競争力が近隣の競合他社に対して大きく劣後するという構造的課題を抱えていた。

加えて茅ヶ崎駅から徒歩15分以上かかる立地の劣後要素も抱え、フィットネス会員は毎年在籍会員数が減少するというダウントレンドに陥っていた。
一方、スクールバスを運行することで広域から集客が可能なスイミングスクール、体操教室は34年の歴史で培ってきた茅ヶ崎市内における高い認知度により、会員数・売上・利益共に順調に推移してきた。

更に同店の山田 琢氏がディレクションしているダンススクールは650名を超える会員数を擁しており、ダンススクールとしては神奈川県で最大規模のスクールとなっている。
以上の経緯から同店の収益構造はキッズスクールに大きく依存する構造となっていた。同社はスタジオ・ジム、フィットネス会員用ロッカーなどの居室が既に所与条件として存在する以上、店舗ビジネスという側面から坪効率を高めるため、フィットネス在籍会員数のダウントレンドに楔を打ち、在籍会員数を増加トレンドに転じる事が急務であると判断した。

そこで同社は上席執行役員開発本部長の吉永 大介氏をプロジェクトリーダーに任命し、スクールフィットネス事業部長 横沢 陽大氏、パルバル湘南スポーツクラブマネージャー野崎 直美氏・ブランディングディレクターの佐藤 有一郎氏をプロジェクトメンバーに選任し、リブランディングプロジェクトを立ち上げた。

リブランディングプロジェクトチームは最初に競合ポジショニング分析を行い、商圏内での自社の立ち位置を明確化した上で、価値>価格を実現するために15種類以上存在していた会員種別を3種類に絞り込み、価格を大幅に引き下げる事で対応を行った。
(例:レギュラー会員/11,350円(税抜)→6,980円(税抜)U30会員/7,350円(税抜)→U40会員/3,980円(税抜))

昨今、フィットネス業界では付加価値を上げて会費を上げるべきだという声が喧しいが、同社は「HAYASHIフィットネス&スパリゾート24平和台」で取り組んだように、あえて会費を30%以上値下げし、同社が掲げるフィットネス民主主義の実現にまた一歩足を踏み出した。

総合型スポーツクラブにおいてスタジオは大型化がトレンドであるが、同店は所与条件として小型スタジオしか有していないため、ジムエリアに相対的競争優位性を持たせるべく、ジムエリアの床面張替えを行い、ストレングスマシンを全て短時間で成果を出すことを標榜しているノーチラスマシンに入れ替え、プレートローディング式マシンの導入にも踏み切った。マシンの入れ替えにあたっては、吉永氏が全幅の信頼を寄せる株式会社THINKフィットネス(東京都江東区南砂3-3-6 代表取締役社長:手塚 栄司)の白井 啓之氏が搬入搬出のマネジメント及び最適配置に大きく貢献した。

加えて昨今の営業時間延長のトレンドに逆行し、平日/9:00~23:30→9:00~22:00 土/9:00~23:30→9:00~20:00 日・祝/9:00~19:30→9:00~19:00に短縮し、コスト構造の最適化を図っている。

同時にこれまでフィットネス部門では定休日が存在しなかったが、毎週水曜日を定休日とするなどコスト構造の最適化とサービス水準及び従業員の労働環境向上のバランスを模索する取り組みを進めた。
情報空間上の店舗の役割を有するHPは新たに作り変える意思決定を行った。

同社が2022年9月にOPENした「HAYASHIフィットネス&スパリゾート24平和台」HPの作成を依頼したステージグループの株式会社アイウェイヴ(東京都千代田区神田三崎町2-4-1 代表取締役 小田 栄美)と佐藤 有一郎氏がワイヤーフレームの製作段階から共創し、情報空間上の店舗建替えに相当するホームページの作り変えを行った。

吉永氏は入会導線を整えたホームページはランディングページの機能も有するという考えを有しており、フィットネス会員の集客ではLPはあえて製作していない。
更にオペレーションを支えるバックオフィスシステムでは同じく「HAYASHIフィットネス&スパリゾート24平和台」で導入した株式会社両備システムズ(岡山県岡山市北区下石井2-10-12 代表取締役社長 松田 敏之)のATOMSを導入し、会員管理システムを段階的に同システムに移行・集約することで間接業務の効率化とデータ分析体制を整えた。

株式会社林水泳教室はバックオフィスの構成要素である会員管理システムとしてATOMSを他社の類似システムと比較して同社が考える合理的なオペレーションと相対的に相性が良く、業務フローに合わせたカスタマイズにも柔軟な姿勢で対応可能なシステムと会社であると高く評価していることに加え、平和台導入時の他社と比較して圧倒的に手厚いアフターフォロー体験も追加導入の決定打となった。

これらの戦略要素・戦術要素を整合的に整えた上で、満を持して2025年3月から先行募集を開始した。広告宣伝面では初めての取引となる株式会社シーズコア(東京都荒川区西日暮里2-10-2 代表取締役細野 大樹)と効果的なチラシ制作及びWEB広告に取り組んだ。
吉永氏は総合型フィットネスクラブの広告宣伝で最も効果的な媒体はWEBではなく、チラシのポスティングであると考えており、探索品質の訴求にフォーカスしたチラシの制作を重視している。

株式会社シーズコアは吉永氏からのジムエリア・マシン訴求に関する細かいオーダーに対し、単にそのオーダーに応えるだけではなく、プラスαのプロフェッショナルな提案を行うことで信頼を獲得し、今後のパルバル湘南スポーツクラブの販促においてパートナー企業として永く一緒に取り組むことになった。

それらの媒体政策、適切な配布範囲の決定、WEB広告の最適化、入会導線を徹底的に意識したホームページの導入等の総合的・体系的な施策の結果、3月・4月の2ヶ月だけで2024年の年間総入会者数の2倍以上の入会者数を達成した。同社の取り組みは業界のトレンドに完全に逆行した正に逆張り経営であるが、戦略三要素に難があり、経営資源の制約条件の下で経営を進めていかなければならない多くの中小企業にとってメルクマールとなる取り組みといえよう。

同社は今後もフィットネス会員数の増加を目指し、創出した収益で施設への再投資及び維持修繕を行うための原資を捻出し、施設運営における天使のサイクルを回したいと言う。

またスクール事業は同店の山田 琢氏・熊澤 智典氏・川島 蓮氏・山下 さくら氏・深沢 千智氏を中心に更なる拡大を目指すという。
今後の同社の取り組みに注目したい。

パルバル湘南スポーツクラブ
HP: https://pal-ball.com/